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MAD KNIGHT-怒り狂う悪魔たちと歪んだ閉鎖都市-  作者: 竜
Season1

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10/22

Episode7 作戦開始!!!!

ここは黒い(車の)バンの中。囚人のように怖い顔が並んでいる。まあ、チンピラとヤンキーとの乗車、そして堅物が運転してる状況。堅物というのは、よくほざいてるコウね。

それにしても、隣に座る幼い子供を利用するなんて、私・クミホはどこか心を痛めていた。いくらドーム内で裕福な暮らしをしている子供とはいえ、大切な家族のことを想う気持ちは同じ。そんな私の心は、やがて過去の自分と重ねたフラッシュバックが巻きおこる。私もこうやって大切な人を想う日があったのに・・・今はそんなものない。

気づけば、私は彼の小さく柔らかい子供の頭を撫でていた。

『大丈夫。トウクマ君の母さんは必ず助けるから』

その優しい私の一声に、心の声が溢れたのか頬から静かに涙の線を描いていく。

『こら。泣くのは今じゃないでしょ!』


*  *   *


挿絵(By みてみん)


そんな会話もあっという間にホテルへたどり着いた。いかにも外観の壮大さを表した高層ホテル。時間も夕方の時間帯であることから、紺色の空にいくつかの紅色の光がビルの窓ガラスに輝きだす。そんな場所で何が起きるのか?どうやら大きいホールで、お偉いさんが第2新京東の開発に務めた政治家の受賞と今後の計画について話す会があるのだとか。そこに、トウクマ君の父も来ているという情報が。じゃあ、彼の母さんは?父である月田冬至の不審な動向、もしくは他の不正に気付いたのか、刑事たちもこのホテルに来てるらしい。厄介だ。


そのまま私たちが乗るバンは薄暗い地下駐車場へとたどり着く。灰色のコンクリートで埋め尽くされたこの空間に、味気ない暗さ。私たちは、その重たい空気の中でそれぞれ配られた携帯電話を手に取る。もちろんただの携帯電話じゃない。携帯電話という名の変異物質・ミュータジン。ミヤビの細胞から採取して作り出したもの。私たちの脳内に埋め込んだチップ情報を元に、私たちが求める武器・物に成り代わる大変優れた代物だ。


『状況確認だ。ガードも警察もいて厄介だが、一つ有利な状況がある。環境大臣・月田冬至の不正がバレるよう警察に情報を流したおかげで、奴はこのホテルから離れなければならない。そこで奴の命をもらう・・・お前を利用してな』


コウは、子供に容赦なく指を指す。私の言葉なんて全く効かなかったようだ。彼女の判断に、頬と真っ赤に染める勢いで怒鳴り散らかしたいけど、もうキレても意味ない。この子に何かあれば、私が独断で彼を救う。そう冷静さを取り戻す。


『そして、もう一人の標的がいる』

私の言葉に、コウもうなずく姿。

『そう。この第2新京東の都市開発を推奨した代表・芳樹よしき 和人かずと。この男も同時に叩く。この男を叩くのはSPに成りすますミヤビ、お前だ』

コウの状況説明に向き合うヒョウガ、ミヤビ、そして幼いトウクマ君。だが、さっきからトウクマ君は何かを察するように、目を見開いた表情を見せ続けている。

『警察に不正情報を流した?そのせいで母も巻き込まれた?』

感づいた彼の姿に私は目を逸らしたくなるが、現実と向き合うほかなかった。だが、コウは冷たい目つきを変えることはない。

『そうだ』

当たり前のようなオーラを醸し出したコウに、トウクマ君も黙っちゃいない。幼い手が彼女の元へと降りかかる。

『なんで!!!!なんで母さんを巻き込んだ!!!!!』

作戦実行の前にこれ以上の支障を追いたくない。さすがの暴走に横に並んでいたヒョウガが彼を押さえつける。

『お前らが俺らを利用したように、俺たちもお前たちドーム内の人間を利用するだけだ』

そのまま、暗い雰囲気の中、任務は開始した。


*   *   *


まずは俺・ミヤビからだ。

『ミヤビ。芳樹和人を誘導しろ』

SPの如く、耳に取り付けられたコウからの無線で任務開始。ちょっと・・・その前に。

『いやいや、リーダーさんよ。真面目にするとは言え、楽しまないと!!!』

俺はもう片方のワイヤレスイヤホンで曲をチョイスする。仲間たちとの共有モードで、その曲が響くように。

『あ!!それ私の大好きな曲!!!!』

クミホはファンなことなだけあって、すぐK-POPのノリのいいメロディーとクセになるリズムに過剰反応な声が表れている。

『じゃあ、早く動け!!!』

コウの怒り混じりの命令で、作戦実行の1歩を踏み出す。

ひとまず、その政治家パーティーが行われているホールまで向かっていく。立派な色合いを披露した大きな廊下にふかふかしたカーペット式の床を歩いていく。あらゆる壁や天井には高級そうな白い大理石で埋め尽くされている。その先を突き抜け、ホールに続くであろう大きな扉を目の前にする。


その先には、お偉いさんがゲラゲラと笑いながら、テーブルの辺りで楽しく会話している。ホールの隅っことドア付近には見張りのSP。俺が入ってきたことに一瞬、SP注目の的になるが、あとは問題なさそうだ。ひとまず、その芳樹和人という男を探す。あたりにチラチラ視線を移すも、他のSPにとっては俺に対する疑いの種にもなる。自然に振る舞おう。


俺の両隣を掠めていくお偉いさんの顔たち。だが、一人一人の顔に注目していくより、笑い声ですぐメインの相手は見つかった。目の前にいる男。額を見せる白髪スタイルに、小さい目の形、そして眉間に濃く刻まれたシワが特徴的。だが、急いでターゲットを仕留めるのは、逆効果。次にフォーカスするのは、そいつの隣にいるSP。骨格のいい肩幅に、エラのはった白肌の男に声をかける。


一歩一歩の歩幅を大きくした俺は、少しずつ彼の元へと歩み寄っていく。詰め寄っていく圧に目を背けられないのか、守りの体勢で、俺に警戒を見せる。だが、見覚えあるSPに擬態してたおかげか、すぐ誤解は解けた。ちなみに俺が擬態したオリジナルのSPは今頃、どこかのトイレでおねんね中だろう。

次はターゲットの芳樹和人を、ホールから人気のない廊下へと誘う口実をつくる。一番誘いやすいのは、人類選別するべく使った不正データが見つかったのか、刑事が来ていると。その話を耳打ちすれば。芳樹和人は絵に描いたように驚いた表情を見せる。

『わかった。私をここから逃がせ』

あっさり、人を信用したターゲットを誘導するためこのホールから退散。そして人気の少ない狭い廊下へと目指す。

『とりあえず必要なものは、部屋から回収する』

そう、芳樹和人はSPに変身した俺と共に(自分の)部屋の号室へと向かう。


*  *   *


43階という高さの急上昇に耳鳴りのような感覚が襲いかかる。エレベータはもう少し高性能になってると思っていたが。この現象にはまだ改善の余地があるぜ。まあ、それはいいとして!!後は部屋へと向かうだけ。ターゲットが手に握る部屋のキーカードを頼りに、"4306"室へと踏み入れる。部屋に入った号室には一瞬で違和感を覚えた。服をハンガーに掛けている形跡もなければ、荷物なんてものはどこにもない。何よりベットなんか全くと言っていいほど使った形跡がなかった。辺りの様子を360度見渡す俺に感づくように、ターゲットは疑問を投げかけた。

『お前、どうやってデータのことを知った?』

『何のことです?』

『人類を選別したデータのことだ』

彼に感づかれたのか、明らかにホールで披露したゲラゲラした笑い声とは異なる人柄を見せる。低いトーンにただ冷静沈着な様で言葉をぶつけていくその反応。あー、データのこと部下には話してなかったパターンか。ワイヤレスイヤホンで聴いてる曲が良すぎて、忘れてたわ。まあ、とりあえずテキトーに流そう。

『さあ、私に聞かれても・・・』

『SPに、その話を漏らしたことはないはずだが?』

窓の外から眺める後ろ姿からは、敵意剥き出しのオーラが溢れている。なら、こうだ!!その勢いとともに、俺は芳樹 和人に詰め寄った距離感で彼の口を塞ぐと同時に、音無しのピストルを腹部に撃ち込む。

『どうせ、大量の血を出させないと、死なないんだろ?新人類』

鋭い視線とニヤけた口元をターゲットの彼に見せた次の瞬間、あたりは何かしらの衝撃波で身を投げ出される。煙が舞い上がり、綺麗な建造物は瓦礫と化していた。その煙の奥から見えるのは、あの怪物と化した変異者でありコピーマンだ。人外としか思えない牙を見せるその口元、そして人狼のようなスタイルと爪が俺へと襲いかかる。

7話まで読んでくださり、ありがとうございます!!少し今後のことについて触れると、次回のエピソードから後半戦に突入します!!!このまま最後まで、"MAD KNIGHT"を応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!!


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