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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十五章

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ミノタウロスのダンジョンを攻略だ4

「やあっ!」


 エニが放った魔法がキモミノタウロスの左の頭に直撃した。

 すると左側の腕の動きが止まる。


 やっぱり腕に関しては左右それぞれの頭が左右それぞれの腕を統括しているようだ。


「チッ……凶暴化だ! 気をつけろ!」


 キモミノタウロスが咆哮した。

 目が赤く染まりキモミノタウロスの筋肉が一回り大きくなる。


 ここまでずっと組み続けていた真ん中の腕が解き放たれた。


「ミュコ、やめろ!」


「にゃっ!」


 キモミノタウロスのバトルアックスを受け流そうとしたミュコの襟をジケが引っ張った。

 ミュコがいたところにバトルアックスが振り下ろされて地面が砕け散る。


「あんなの受け流せないぞ!」


 凶暴化とは一つの技のようなものである。

 体の中の魔力を暴走させて大きな力を得る魔物に特有の状態異常だ。


 大きくパワーアップする代わりに大量の魔力を消費し、理性が吹き飛んでしまうデメリットがある。

 ただ魔物において理性なんてあってないようなものなので理性が吹き飛ぶデメリットなんて影響は少ない。


 ミュコは通常状態のキモミノタウロスの攻撃も受け流すのにギリギリだった。

 凶暴化してパワーが上がった今受け流すことは危険である。


 ミュコの技術が足りていないとかではなくキモミノタウロスの力が強すぎるのだ。

 力に自信があるリアーネですら正面から当たることを避けているのだからここはできるだけ回避するのが好ましい。


「激しすぎて近づけねえよ!」


 三本ずつそれぞれの腕がそれぞれ絶え間なく動き続けている。

 近づこうにも近づく暇がない。


 攻撃を受け流したり防いだりと隙を作れなきゃただかわし続けるだけになってしまう。


「んじゃ、フィオスにお任せだな」


「フィオス? あれ、そういえば……」


 ライナスは気づいた。

 ここまで剣にしたり盾にしたりとジケは状況に応じてフィオスの姿を変えながら一緒に戦っていたのに、今はレーヴィンしか持っておらずフィオスがいない。


「ここまででも足元はおろそかだったけど……」


 ジケはキモミノタウロスの拳をかわして腕を切りつける。

 しかしキモミノタウロスは全く怯む様子もなく続けてバトルアックスを振り下ろす。


「今はもっと足元がおろそかになってるな」


 バトルアックスをかわしたジケはニヤリと笑った。


「こっちこいよ!」


 バトルアックスを持った手をチクリと突き刺してジケは下がる。

 チクチクと攻撃してくるジケを追いかけようとキモミノタウロスが足を一歩踏み出した。


「おわっ!?」


 キモミノタウロスが転倒した。

 踏み出した足を投げ出すようにして思い切り後ろに倒れて転んだのである。


 何かに滑ったようにキモミノタウロスが急に転んだのでみんなが驚いている。

 その中で一人ジケは素早くキモミノタウロスに接近して膝に剣を突き立てた。


「あれは……フィオス?」


 よくキモミノタウロスが滑ったところを見るとフィオスがいた。

 地面にへばりつくように薄く広がったフィオスはニュルンといつもの丸い姿に戻ってキモミノタウロスの膝を突き刺したジケのところに跳ねていく。


「あれですね……」


 フィオスを見てニノサンが苦々しく笑う。

 攻撃と言っていいのかどうかも分からないが、ジケとフィオスのやり方にはニノサンも大いに覚えがあった。


 かつてニノサンは王弟側についてジケと戦った。

 橋を落とした渓谷を前にニノサンはジケと決着をつけようと激戦を繰り広げて、キモミノタウロスのようにフィオスにしてやられた。


 得意とする高速移動を逆手に取られてフィオスを踏み抜いたニノサンは制御不能に陥ってそのまま渓谷に落ちていってしまった。

 そこから長い船旅が始まったことはあまり思い出したくもない。


「みんな今だ!」


 凶暴化して痛みに対してさらに鈍くなっているが、膝のど真ん中に剣を突き立てられると簡単に足を動かせなくなる。

 大きなチャンスにみんなで攻撃を仕掛ける。


「ミュコ、足を狙うぞ!」


「りょーかい!」


 腕はまだ現在なのでキモミノタウロスは抵抗して暴れる。

 まだ経験の浅いミュコが頭や腕を狙うのは難しい。


 腕に集中しているのか足の動きは少ないのでジケはミュコと足を狙う。

 完全に起き上がれないようにしてしまうのだ。


 突き立てた剣はそのままにフィオスを剣にしてジケはキモミノタウロスの足を切りつける。

 ミュコも双剣を使ってキモミノタウロスの足をひたすらに切り裂いていく。


「チッ! 邪魔だな!」


 ライナスは頭を狙おうとするけれど振り回される腕が邪魔して近づけない。


「ライナス、ニノサン、左から片付けるぞ! エニとリンデランは右から魔法を放て!」


 リアーネが声を上げて指示を飛ばす。

 ダメージを与えて倒したわけではないのでいきなり頭を狙っても上手くはいかない。


 ちゃんと順番に処理をする。

 エニとリンデランの魔法で右側の気をひいている間にリアーネたち三人で左側から攻略していく。


「あらよっと!」


 地面の平行に振られたバトルアックスを飛んでかわしてライナスが腕に近づく。


「だりゃー!」


 魔力を噴出して体ごと回転させながらキモミノタウロスの腕を切りつける。

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