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ミノタウロスのダンジョンを攻略だ3

「反応は早いな!」


 キモミノタウロスは魔法の接近に気づいて振り返った。

 感覚も鋭いのだけれどやはりエニとリンデランの魔法が強すぎて気づかれたのかもしれないとジケは思った。


「まあでも気づくのがちょっと遅かったかな?」


 振り向いた時にはもう近くまで魔法が迫っている。

 かわすには少し遅すぎた。


 上の腕それぞれでエニとリンデランの魔法を打ち落とそうとバトルアックスを振り下ろした。

 魔法が爆ぜる。


 エニの魔法を攻撃した腕は大きく弾き返されて、手からバトルアックスが飛んでいく。

 リンデランの魔法を攻撃した腕は一瞬でバトルアックスごと凍りついてしまった。


 それぞれの魔法によるそれぞれの結果がある。

 どちらもキモミノタウロスを怯ませるにふさわしい威力があった。


「いけー!」


 魔法に続いてジケたちが一斉に襲いかかる。


「くっ……はっ! 甘かねーな!」


 リアーネは振り上げられる左下の腕のバトルアックスを受け止めようとした。

 力が強くリアーネですら受け止めきれなくて弾き返される。


 近づいてみると他のミノタウロスよりも一回り大きいのだが、ただ見た目だけ大きいのではなかった。

 力も普通のミノタウロスより強い。


「力も強いようですが……耐久力も高いですね」


 舌打ちこそしないがそんな気分だったのはニノサンである。

 一人だけ突出しないようにリアーネに合わせて攻撃を仕掛けた。


 流石にニノサンの速度には反応しきれなかったけれど、キモミノタウロスの肉質はさらに硬くて太ももが表面だけしか切れなかった。


「おりゃっ!」


「ナイス!」


「ひぇぇ……力強いねー!」


 ミュコが右下の腕のバトルアックスを受け流してライナスが腕を切りつける。

 かなりギリギリの受け流しだった。


 キモミノタウロスの力が強すぎて受け流すことですら簡単ではないのだ。


「ミュコ、逃げろ!」


「うわわっ!?」


 結構ざっくりと切ったつもりだったのだがキモミノタウロスはすぐさまバトルアックスを振り下ろしてきた。

 ライナスとミュコは横に飛んで攻撃を間一髪回避した。


「一つの致命傷も無し、か」


 みんながキモミノタウロスを引きつけてくれている間にジケは正面突破を狙った。

 上手く接近できて足元に潜り込んだジケは股下をスライディングで通り抜けながら足を切りつけた。


 けれどもキモミノタウロスはそれでも膝すらつかない。

 元よりミノタウロスは痛みに対してもやや鈍い傾向にはある。


 全体的に普通のミノタウロスの強化版であるキモミノタウロスはさらに痛みに対しても強いのかもしれない。


「翼はお飾りみたいだな……」


 短い間に分かったことが一つある。

 背中に申し訳程度の翼が生えているのだけど、どうやら見た目だけの存在らしい。


 時々動かしているがキモミノタウロスが空を飛ぶ様子はない。

 本当に見た目だけの翼のようである。


 なんだよ、見た目だけの翼ってと思うけれど、魔物の造形にツッコミを入れても仕方ないので飛ばないだけありがたいと思うことにした。

 見た目キモいしすごく頑丈ですごく力が強い。


 なんだかすごく厄介な魔物である。


「安全第一だ! 怪我しないように立ち回るんだ!」


 ただ基本的な戦い方は変わらない。

 みんなで攻撃して隙を作り出して足を狙う。


 キモミノタウロスは特にでかいのでやはり足を狙って倒さないと頭を狙えない。


「……なるほどな」


 戦いながらジケはキモミノタウロスの観察をしていた。

 左右三本ずつある六本もの腕をどうやってコントロールしているのか謎だった。


 どうやらキモミノタウロスは二つの頭で片方の頭につき三本ずつ考えて動かしているようだ。

 だから体の右側と左側で狙いや動きが違う。


 その代わりの弱点も浮き彫りになってきた。


「足の動きは鈍いな」


 左右それぞれで狙いが違うために足はほとんど止めて攻撃している。

 ミノタウロスの機動性は高くないけれど体が大きいので一歩が大きく意外と速い。


 腕がよく動く代わりに足が動かないというのは一長一短であるなとジケは思った。

 加えてもう一つキモミノタウロスには大きな弱点があった。


「もう一丁!」


 真正面が弱い。

 頭それぞれが左右を気にするためだろうか、逆に真正面から突っ込むとキモミノタウロスの反応がとても悪いのである。


 正面を左右のどちらで攻撃するのか統率が取れていない可能性すらある。

 戦いの中でみんながキモミノタウロスの攻撃を引きつけてジケが正面から抜けて足を攻撃するという役割分担ができていた。


「撤退!」


 身じろぎでもして踏まれればそれだけでも致命傷になる。

 足を攻撃していれば流石にバレるし適度に切りつけたところでサッと離れる。


「まーじで丈夫だな……」


 すぐに逃げられるようにしながらの攻撃とはいっても手を抜いて切っているわけじゃない。

 普通のミノタウロスなら膝をついていてもおかしくないのだけどキモミノタウロスは何度切りつけられても耐えている。


「やっぱり一撃かな……」


 しっかり一回切りつける方が有効かもしれない。

 次はそうしてみようとジケはキモミノタウロスの隙をうかがう。

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