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ミノタウロスのダンジョンを攻略だ1

「はぁー……ここら辺は流石の経験値って感じがするな」


 しっかりと準備を整えてミノタウロスのダンジョンを攻略することになった。

 温泉が噴き出す崩落近くから入ってダンジョンに向かうことになったのだが、ダンジョンの中は軽く対策が取られていた。


 まず噴き出す温泉だがそのままでは坑道内の熱気が高くなり周りにも影響を及ぼしてしまう。

 そのために温泉が噴き出しているところを覆い、坑道の中に温泉が流れる道を水に強い木で作った。


 角筒状の木の中を温泉が流れて外に出てくるように対策したのである。

 どこか適当に掘ってお湯を溜めればそのまま温泉として使えそうだった。


 筒の中を温泉が流れるようにしたために坑道の中に温泉の熱気が出てこなくなって快適に通れるようになった。

 見張りを立てて温泉の熱気にやられないように休み休み作業をしてくれたのである。


 さらには坑道を進んでいくと崩落が起きたところも補強されて新たに崩れないように対策を講じていた。

 温泉も崩落の補強も完全なものではないがかなり不安は軽減されている。


 流石の手際の良さであるとジケは感心してしまった。


「ここまできたらもう行くしかないけど準備はいいな?」


 ダンジョンの入り口前まで来てジケは一度みんなのことを確認する。

 忘れ物もなくみんなやる気の目をしている。


「早く行こうぜ」


 リアーネはむしろ楽しみだというぐらいの顔をしている。


「んじゃダンジョン攻略と行きますか」


 入り口前でダラダラしてもしょうがない。

 ジケは早速階段を降りてダンジョンの中に入って行った。


「相変わらずだな」


 温泉が塞がれて暑くなくなった坑道から入ってくるとダンジョンの中は暖かいぐらいに感じる。

 日も照っていないのに明るい不思議な空が広がる森の中に出てきた。


「えーと……あちらに旧崩落近くの入り口で、あちらが迂回路の方の入り口ですね」


 ビリードが前に入った時のメモを見て方向を確認する。

 ダンジョンには他の出入り口があるかもしれない。


 さらにはダンジョンが消えたり、何かの事情でダンジョンを出なければならない時にジケたちだけでは迷子になる可能性もある。

 そのためにビリードも案内役としてついてきている。


 他の出入り口の場所を考えて向かっていない方向へ移動する。


「はっ、消えてしまうのがもったいなく思うな」


 二本腕、武器なしのミノタウロスを倒してリアーネは残念そうに口を尖らせた。

 ダンジョンの中での魔物は倒すと消えてしまう。


 ドロップ品として素材は落とすのだけどミノタウロスは食用として一般的でないためなのか肉をドロップすることがないのだ。

 ミノタウロスの焼肉は意外と美味しかったので肉落とせばいいのにとリアーネは少し不満なのである。


「みんなで戦えば危ないことは少ないみたいなだな」

 

 多分個人で正面からミノタウロスと戦うのはキツい。

 けれどみんなと一緒に連携をとって戦えばミノタウロスもあまり怖くはない。


 ミノタウロスが群れをなさず単体で現れることもジケたちにとっては都合がよかった。


「魔石とツノ……食えやしない」


 落ちたドロップ品を拾う。

 確かに魔石は食べられないがミノタウロスの魔石はそこそこ高価な値段で売れる。


 ミノタウロスの焼肉はできなくとも魔石を売れば普通に肉ぐらいは食える。


「ダンジョンのボスってどんなんなんだろうな?」


「お前はどんなんだと思う、ライナス?」


「んー……ここまで出たのが腕四本だもんな……次は腕六本とか?」


「なにそれ? 増えればいいと思ってんの?」


「ありえない話ではないですよね」


 二本腕のミノタウロスの一つ上の存在として四本腕のミノタウロスが出てきた。

 なら次は六本腕のミノタウロスなんじゃないかとライナスは予想する。


 エニはそんな単純じゃないだろうと呆れた顔をするけれどないこともないだろうとリンデランは思う。

 四本腕のミノタウロスだってイレギュラーなのだからそれ以上おかしなものがいてもあり得ないとは言い切れない。


「じゃあ私は翼でも生えてるってことにしようかな」


「おっ、言ったな? んじゃ予想当たってたら飯奢りな」


「なんでさー。じゃあ腕二本以上!」


「はい! 私は足二本!」


 話を聞いていたミュコも確実な予想で参戦する。


「お、お前ら、それはずるいぞ!」


「甘いもの奢りね」


「ま、まだ分かんないぞ!」


 ミノタウロスが相手であるというのにみんなの雰囲気も悪くない。

 多少軽いかなと思うけれど気負い過ぎているよりはいいだろう。


「お前はどうなんだよ?」


「何が?」


「ボスだよ、ボス。どんな感じか予想すんだよ」


「俺も? ……頭二つあるとか?」


 ライナスだけ奢りじゃ可哀想だ。

 ジケも奢ってやろうぐらいの考えで適当に予想する。


「流石にそれはないだろ」


「ね、それはない」


「おい、なんだよお前ら!」


 手のひらを返したようにライナスとエニ鼻で笑う。


「わ、私はあると思いますよ!」


「いいんだよ、リンデラン……」


 どうせ負けると思って口にした予想なのだ、慰められても悲しいだけである。


「まあどんななのかは探してみれば分かるだろ」


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