やっぱり攻略が必要です3
「おかえりなさーい!」
「おかえりー!」
坑道から出てくるタミとケリが待っていてくれた。
手にはタオルを持っていてみんなに配る。
「はい、どーぞ」
「ありがとうございます」
リンデランもタオルを受け取ると汗を拭く。
「……リンデラン、少し大きくなった?」
「ひゃっ!? 何を見てるんですか!?」
汗をかいたリンデランの服はピッタリとくっついて体のラインがあらわになっている。
前に見た時よりも大きくなっているとエニは目を細めてリンデランのことを見ていて、リンデランは顔を赤くして体を隠す。
「き、着替えてきます!」
悠長に汗を拭いている場合じゃないとリンデランが立ち去り、着替えの服を持ったヘレンゼールがサッと後を追いかける。
流石できる男だなとジケはヘレンゼールのことを見ていた。
「私も少しは成長してんだけどなぁ……」
少し悲しそうな目をしたエニは真下に視線を落とした。
「何の話してんだ?」
「うっさい、ボケ!」
「なんだよ! 声かけただけだろ!」
何だか落ち込んでいるように見えたのでライナスがエニに声をかけたけど、今は声をかけるべきタイミングではなかった。
「そよそよ〜」
「それでは私は状況を報告してきますね」
「お願いします」
タミがフウレイを出して風を発生させて体を冷やしてくれる。
ビリードは崩落がどうなっていたかを報告するために汗を拭きながらテントの方に向かっていった。
「どうなるでしょうか?」
「さあね……ただ危険は大きいよな」
温泉はともかくとして崩落がさらに崩落したのはミノタウロスが原因であった。
重要なのはもう出てこないだろうと思っていたのにミノタウロスが出てきていたということである。
ミノタウロスが出てこないことを前提にひとまず崩落を片付けることを優先にするつもりだったのに話が変わってきてしまう。
さらに崩落の状況もだいぶ変わってしまったということもある。
どう判断を下すかはツケアワシを始めとしたプロの考えになるので分からない。
けれどもダンジョンを無視することはかなり難しくなるのではないかとジケは思った。
「そういえばリアーネは?」
「むこーでミノタウロス解体してるよ」
ミノタウロスの死体は好きにしていいとツケアワシから許可をもらった。
坑道ではリアーネも暴れられないので外で待機となっていたのだけどその間にミノタウロスの解体に挑戦しているようだ。
「リアーネ」
「おっ、戻ってきてたのか」
「……こうなるとただの肉だな」
リアーネの前にはバラバラにされた肉が並べられていた。
皮も剥がれてこうなるとミノタウロスだったのかすら分からない。
「あとは調理して食うだけだ!」
リアーネは親指を立ててニコッと笑顔を浮かべる。
「手慣れてるんだな」
「魔物の解体ぐらいできなきゃな。ジケもそのうち学んでおくといいぞ。便利な時もある」
「その時はリアーネに先生お願いするよ」
「ふふ、任せとけ」
魔物の解体は必須スキルではないがいざという時には魔物の必要なところだけ持って帰ったり、魔物を食料とすることもある。
覚えておいて損のないスキルなのだ。
「そんで、どうだった?」
「やっぱりミノタウロスが原因みたいだ」
「ふーん、なるほどね。これからどうなると思う?」
「まだ分かんないけど……もしかしたら一仕事、あるかもよ」
「ふふ、そっちの方が体動かせてありがたいかもな」
「とりあえずミノタウロス食べてみようか。実は俺も気になってたんだ」
どうなるのかは分からないけれど今確実に言えるのは目の前にミノタウロスの肉があるということだ。
せっかくなら新鮮なうちに食べてしまいたい。
「エニの力借りて焼肉にでもすっか」
「美味いっていうし期待だな」




