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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十四章

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生き残れ!2

「魔獣はなし。武器は相手を殺さぬよう木製のものを一人一つ渡す。もし壊したら自分でどうにかしろ。食料も基本は自分で確保だが……島の数カ所にあらかじめ置いてある場所もある。一日ごとに新しく食料も投下するから仲良く分け合うといい」


 そんなわけないだろとジケは思った。

 生き残りをかけた戦いの中でニコニコ笑って食料を分け合うはずがない。


 木札をかけた戦いだけでなく食料をかけても戦い合いを起こそうとしているのだ。


「それでは木札を配り12の組に分ける」


 特に順番とかもなく子供たちが呼び寄せられて木札を渡される。

 木札を受け取った子供たちは12の組に分けられていく。


「246……」


 わざわざ子供たちの中に入って並ぶのも面倒だったのでジケは木札が配られていくのをのんびりと眺めていた。

 木札には数字が書いてあり、最後の方に木札と武器をもらったジケは数字の大きさに驚いた。


 多いとは思っていたがこんなにいたとは予想外だった。

 これでも島に来るまでに結構な数減っているはずなのだ。


 12組の一つに振り分けられたジケは他の子と共に移動する。

 小舟に乗せられて移動している子たちもいるがジケの組は徒歩で島を横断していく。


 ジケの感覚として最初にいた場所から島の反対側までやってきた。


「昼頃に開始の合図が上がる。それまで島の中を好きなように移動してもいい。ただし攻撃はなし。攻撃した時点で失格だ」


 神炎祭の管理をしている大人がさらに細かな説明をする。


「それともう一つ、一日の終わりの時点で木札を持っていないものは脱落だ」


 これはなかなか大きなルールなのではないかとジケは思った。

 木札を奪われたからと即失格ではない。


 取り返す、あるいは他の人から奪い取ることによって脱落することを免れるのだ。

 そして一日の終わりでその判断が下されるということの裏を返せば残りたい子は夜まで必死になるということ。


 みんな休むだろうなんて考えは捨てねばならない。

 知り合いもいないジケにとってはかなり過酷なルールであると思わず渋い顔をする。


 誰か味方でも作っておくべきだったかもしれないとは思うけれど、12組に分けられる以上仲良くなった人と一緒になれる可能性も低い。

 今から同じ組の人に声をかけてもよそ者のジケを受け入れてくれるか怪しいものである。


 孤独な戦い。

 しかしやるしかない。


「それでは後は三日後に会おう。……あるいは脱落したら明日にでも会うことになるがな」


 管理の大人が立ち去っていき試練開始まで自由な時間となった。

 島の大きな部分は森になっているようでジケたちは今現在森の中に置いて行かれた状態である。


 周りの子たちは敵である。

 しかし一方でうまく手を取り合えば試練を乗り越えるための仲間にもなりうる。


 試練が始まるまでの間に周りの地形の把握や良い場所を見つけておきたい思惑もあるし、動き回れば設置してある食料の補給品も見つかるかもしれない。

 ただみんなも同じように考えていて互いの動きを警戒して動き出さない。


 最初に動き出したのは視線を合わせて同じ方向に走り出した二人の子だった。

 どうやら最初から知り合いだったみたいで手を組んで行動するようだ。


「やっぱり警戒されてるな……」


 ジケの動きは周りの子から警戒されている。

 よそ者であるのでしょうがないと思いつつ誰かと手を組むのは非常に難しそうである。


「動くか」


 このままここに留まって試練が始まれば周りの子は全員一斉に敵になる。

 その前にここを離れて周りの把握に努めようとジケは考えた。


 ジケが動き出すと周りの子たちがピクリと反応を見せた。

 まだ始まるまで時間はある。


 ジケは焦ることなく森の中をゆったりと歩いていく。

 与えられたのは木で作られた一本の剣だけ。


 フィオスもおらず身一つで仲間もおらずに森の中をさまよう。


「こんなに孤独なのは久々だな……」


 今回の人生では周りに誰かいることが多かった。

 誰かがいなくてもフィオスがいた。


 だから完全に一人になることはそうない。

 過去ではフィオスすら呼び出しておらずに孤独な時もあった。


 そんな時を少し思い出してしまう。


「フィオスはどうしてるかな」


 そんなことばかり考えてしまう。

 きっとみんなに可愛がられていることだろうと思うのだけど、あのプルプルとした可愛らしいボディが妙に恋しくなる。


「ウルシュナの方はどうだろうか」


 ふと着飾ったウルシュナのことを思い出す。

 ルシウスたちがついているし、神女というのはとても大切なものであるので悪いようにされていないだろう。


 いつものウルシュナでいるのか、アカデミーなんかの外用の顔をしているのかちょっと気になる。


「ただ気に入らなくてムスッとしてそうだよな」


 何にしてもウルシュナにとっては望まぬ状況なことは間違いない。

 不機嫌な顔してることが目に浮かぶようでジケはクスリと笑った。


「せめて水の確保だよな」


 みんなに思いを馳せるのもほどほどにして改めて必要なものを考える。

 食料は最悪我慢するとしても水ぐらいなければ厳しい。


 割と湿度のある森の中なので沢など水がありそうな雰囲気はあった。

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