表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

870/1259

船の上での時間の使い方3

「ゲームはいいが熱中しすぎるなよ」


 サーシャという勝てない相手がいるから二度とやらないというのは賢い判断である。

 やはりサーシャはカードゲームにおいてかなり強いようであることも分かった。


 騎士たちも輪に加わってカードゲームに興ずる。

 人が代われば戦略もやり方も代わってくる。


 大胆な人もいれば慎重な人もいる。

 ゲームに加わる人によって同じゲームでも展開が大きく変わるのだから意外と見ているだけでも飽きないものである。


「おっと、大丈夫か?」


「あ、うん。ありがとう」


 突如として船が大きく揺れた。

 ジケは隣にいたエニのことをさっと支えてあげた。


 男らしい気遣いにエニも笑顔を浮かべる。


「魔物だ! 騎士のみなさん仕事だぞ!」


 船の船長が船室に声をかける。

 和やかだった空気が一変して緊張感が高まる。


 騎士たちは素早く甲板に上がっていきジケたちも続く。


「休んでてもいいぞ?」


「いえ……大丈夫です」


 こんな時に丸くなってはいられないとニノサンも来ていた。

 けれどやはり顔色はかなり悪い。


「マーマンだ!」


 船を襲っていたのはマーマンであった。

 半魚人とも言われるような魔物であるが二足歩行なこと以外人といえるような共通点もない。


 以前も戦ったことがある相手で騎士たちと一緒にジケも剣を抜いて戦い始める。

 時々錆びついたような武器を持っている個体もいるが、基本的には何も持っていなくて爪で切り付けてきたり噛みついてこようとするのがほとんどである。


 船に上がってくるとマーマンの動きはかなり鈍くなるし戦うのにも問題はない。


「ウルシュナ、そっち行ったぞ!」


「オッケー!」


 熟練した騎士たちがマーマンに遅れをとるはずがないし、ジケたちもしっかりとマーマンを倒していく。

 ニノサンはちょっとコンディションが危ないのでエニの護衛になってもらった。


「ふむ、良い動きだ」


 ルシウスはあえて動かなかった。

 マーマンなら騎士もジケたちも大丈夫だろうと思った。


 いつでも助けに入れるように待機しつつここはジケに経験を積ませようと考えたのだ。

 続々と船に登ってくるマーマンだが続々と倒される。


「逃げるぞ!」


 ジケたちの方が強くとてもじゃないが倒せないと察したマーマンが逃げ始めた。

 そろそろ倒して床に転がるマーマンが戦いの邪魔になってくるなとジケが思い始めた頃だった。


 残っていたマーマンも海に飛び込んでいく。

 恐る恐る海を覗いてみると水面に見えるマーマンたちの影が離れていって消える。


「はっ、襲う相手を間違えたな」


 逃げたマーマンを見てリアーネが鼻を鳴らす。

 マーマンから見ればただの商船にも見えるのかもしれないが中には手練れの武人でいっぱい。


 マーマンの方は運が悪かったとジケも思う。


「まあ良い運動だったな」


 体を動かしたい頃だったからちょうどいいとリアーネは笑う。


「よう、ボウズ。まだ若いのにやるじゃないか!」


「いてっ!」


 いかにも海の男らしい髭面の男がジケの背中をバンと叩いた。


「ガハハっ! 嬢ちゃんにも負けてないな!」


 ジケたちが乗っている船の船長で、実はルシウスとはアカデミー時代からの旧知の仲であるらしい。

 ボージェナルの別荘に来た時にはウルシュナを船に乗せたこともあるのでウルシュナも船長のことは知っている。


 ウルシュナのことを嬢ちゃんなんて軽く呼べるのも船長の豪快な人柄によるものだろう。


「ルシウスたちが乗ってるなら俺たちが戦うこともなくて楽でいい!」


 今回は騎士たちが戦ったけれど普段は船の船員も魔物と戦う。


「ただ戦わなきゃ体鈍ってしまうかもな」


 あまり騎士たちにばかり任せていると戦い方を忘れてしまいそう。

 そんな冗談を船長は言う。


 船の上での時間の使い方として襲いかかってくる魔物と戦うということも一つであるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ