表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

851/1258

チェック1

「いきなりすまなかったな」


「ううん、別に良いよ」


 ジケは今ゼレンティガム家を訪れていた。


「まあでもいきなりお風呂見せて、は驚きだけどね」


 ゼレンティガムを訪れていた理由はお風呂であった。

 世の中一般の認識としてお風呂は貴族のものという印象が強い。


 ジケとしても同じような印象でありおよそその認識は間違いではない。

 そのためジケにはお風呂が気持ちいいという情報以外に知っていることは少ないのである。


 ただ知らないなら調べればいい。

 お風呂がないなら見せてもらえばいい。


 ということでアカデミーに遊びに行ったついでにリンデランとウルシュナにお願いしてみた。

 風呂を見せるぐらいなんてことはないので二人ともすぐに許可をくれた。


 リンデランの方はパージヴェルもリンディアも不在だったので先にウルシュナの方に来ることになったのである。


「うちのお風呂は割と良いものだよ。お母さんの趣味で作ったからちゃんとしてるんだ。うちの騎士団専用のもあるし、私たち用のものもあるけどどっちも見る?」


「ああできれば見せてくれ」


「んじゃ行こうか。そんなに違いなんてないけどね。まずは騎士団の方行こうか。今ならみんな訓練中だから」


「おっ、ジケ君じゃないか」


「リンデランお嬢様もいるぞ」


 この方が近いからと訓練している兵士たちの横を通り抜けようとしたので当然ジケたちは見つかる。

 ゼレンティガムの騎士や兵士たちとも生死のかかった戦いを共にしたので多少は顔見知りになった。


 訓練の邪魔をしないように軽く挨拶を交わしてそのまま通って騎士たちが使うお風呂に向かった。


「ここが騎士たちが使うお風呂だよ」


「おや? お嬢様?」


 ウルシュナがお風呂のドアを開けるとモワッとした空気がお風呂場から流れてきた。


「あっ、テムサ」


 お風呂場にはローブを着た男性が立っていて、お風呂には湯気が立つお湯が張ってあった。


「どうかなさいましたか?」


「んーん、お風呂の見学」


「お風呂の見学?」


「うん、こっちの子がお風呂見てみたいっていうから」


 テムサという魔法使いはゼレンティガムで雇っている兵士の一人で普段は訓練にも参加するけれどお風呂を入れる係でもあった。

 個人用の浴槽ならともかく集団で入れるような大きな浴槽に水を運んでくるのは大変である。


 そこで魔法を使って水を出し、火を投入してお湯にするという方法でお風呂を沸かすのである。

 完全に専門ということではないけれどお風呂を沸かせるような魔法使いをゼレンティガムでは雇っているのだ。


 今は訓練後の兵士たちのためにお風呂を沸かしているところだったのである。

 

「なんてことはありません。普通の浴槽……とはいいますが兵士たちのためにこうして浴室を用意してくれているところは多くないですがね」


 個人で入るためのお風呂があっても自分で抱える騎士や兵士のためにお風呂を用意してくれるところなんてまずない。

 ゼレンティガムの騎士や兵士の忠誠心が高く優れていると言われる所以の一つがこうしたところにもあるのかもしれない。


「これはなんですか?」


 大きな浴槽の横にもう一つお湯が張ってある浴槽がある。

 ただそれはメインの浴槽に比べれば小さく、立って入るには浅くて座って入るには深いぐらいの深さがある。


「それは使うためのお湯ですよ」


「使う……ため?」


 ジケは首を傾げる。


「汗をかいたままお湯に浸かると汚れてしまいますから入る前に体を流したり洗ったりするのです。ですけど皆さんジャバジャバとお湯を使うのであっという間にお風呂のお湯がなくなってしまいます。そこで別に体を流すためのお湯を用意しているのです」


「なるほどなるほど」


「お嬢様方はそれほどお湯をお使いになられないのでそちらの方にはこうしたものはないのですよ」


 面白いことを聞いたとジケは思った。

 入る前に汗を流すとかそのためのお湯を別で用意しておくとかみんなのためにお風呂を作るなら参考になりそうだ。


「あとは熱めが好き、ぬるめが好きという好みに対応するために水も用意しています。体が浸かる方は対応出来ませんが洗う方はお好きに出来ます」


 体を洗うお湯を溜めてある浴槽の横に大きな樽も置いてある。

 樽には水が入っていて体を流すためのお湯の温度調節ができるようになっていた。


 お風呂の方は浴槽が一つしかないので温度調節しないで熱めとぬるめ交互に入れているようだ。


「お湯の温度にも好みありか……」


 色々と参考になったし考えるべきことがあるなとジケは感じた。


「あまりここに長居すると裸のみんなが入ってきますよ」


「そうだね。次は私たちが使ってる方に行こうか」


 ちょうど訓練を終えた兵士たちとすれ違って今度はウルシュナたちが使っているお風呂の方に行く。


「同じ……じゃなかったな」


「あはは、そういえばそうだったね」


 騎士団用のお風呂は木で作られていた。

 水に強い木の魔物の素材を使って作られたものであった。


 対してウルシュナたちが使うお風呂は石で出来ていた。

 浴槽は白い石であり騎士団用のお風呂とは全然違っていた。


 ウルシュナは同じだよなんて言っていたけど完全な記憶違いで曖昧に笑って誤魔化している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ