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骸骨と戦って11

「ふん、認めよう。スケルトンだがお前は強かった」


 グルゼイは槍のスケルトンナイトを倒していた。

 体を真っ二つに切り裂かれた槍のスケルトンナイトはそれでもまだ槍を片手に抵抗の兆しを見せている。


 グルゼイはスケルトンナイトの頭に剣を突き立ててトドメを刺した。

 想定よりも粘られてしまったけれどグルゼイは無傷で槍のスケルトンナイトを倒していた。


 ただ認めざるを得なかった。

 槍のスケルトンナイトは強い。


 スケルトンナイトという能力の制限された体ではなく、生きていたころの自由に力を発揮できる状況だったのなら勝負は分からなかったかもしれない。

 スケルトンナイトではあったものの間違いなく実力者だった。


 たとえ敵でも認めるものは認めるのである。


「おいグルゼイ、こっちも手伝ってくれ!」


「そのような敵も倒せないのか? お前も老いたものだな」


「フハハッ! なかなかガードが固いのだよ!」


 一方でバルダーは優勢に立ち回りはしているけれど盾のスケルトンナイトを倒せないでいた。

 盾のスケルトンナイトも技術的に優れていてバルダーの攻撃をギリギリのところで防ぎ続けていたのである。


「手加減でも覚えたか?」


「そんなもの腕と一緒に捨ててきたわ!」


「……あっちは大丈夫そうだな」


 バルダーの方にグルゼイが手助けに行った。

 二人ならばスケルトンナイトも敵ではない。


「じゃああっちだな」


 スケルトンナイトが問題ないのならスケルトンの方に行くべきである。

 だいぶスケルトンの数も減っているが兵士たちにも疲れの色が見えている。


「みんな、残りのスケルトンを倒すぞ!」


「はい!」


「っしゃあ、もうひと頑張りだ!」


「やりましょうか」


 ユディットたちも最後だと気合を入れてスケルトンの方に向かう。


「大丈夫ですか?」


「……若くもないのに無茶をしすぎただけじゃ」


 ジケは膝をついて苦しそうにしているダンデムズに声をかけた。

 リッチの攻撃を防ぐために魔力を使いすぎてしまった。


「ジケ、本当に怪我ない? ダンデムズさん、大丈夫ですか?」


 駆け寄ってきたエニがジケの体をジロジロと見る。

 今回はダンデムズのおかげもあってしっかりと無傷である。


「ワシは大丈夫。スケルトンの方に行ってやりなさい」


「エニ、ダンデムズさんを頼むよ」


「うん、分かった」


 ダンデムズのことはエニに任せてスケルトンの方に走る。


「ワシは昔、人は魔力だと思うて見ていた」


「……どういうことですか?」


「魔力の量が全て、魔力の多い少ないが優劣を決めるものだと思っていたのだ」


 ジケを見ながらダンデムズがゆっくりと口を開いた。


「だがその考えは傲慢だった。魔力が少なくともすごい人はいる。強い人もいる。あの子もそうだ」


 あの子とはジケのことである。


「スライムが魔獣で魔力が少ない。だがあの子は努力とこれまで先人が積み重ねてきた技術、そして己の創意工夫で周りの魔力がある者と同等以上に戦っておる」


 今のジケはフィオスを凶悪な形の鈍器にしてスケルトンを殴り倒している。


「それに商会もやっているのだと聞いている。……捕まえて逃すでないぞ」


「へぇっ!?」


 大人しく話を聞いていたら予想外の方向に話が飛んでエニは顔を赤くした。


「ふっふっ……ワシも若い頃は怪我なんかしておらんかと心配してくれる相手がおったものじゃ」


「べ、別にジケと私はそんなんじゃ……」


「今そうでなくともこれからもそうでないと限らんだろう? それにお主もあの子もモテそうだ。うかうかしていられんぞ」


「お、怒りますよ!」


「ふっふっふっ! 年寄りの戯言だと思っておけ」


 そうこうしている間に盾のスケルトンナイトを倒したグルゼイとバルダーも加わってスケルトンは一掃された。

 緑の丘は倒されたスケルトンの骨で白っぽくなって兵士たちに怪我人もいたけれど死んだ人はいなかった。


 リッチは逃げてしまったので行方は分からない。

 明らかに悪魔教が関わっていそうなのでグルゼイは盛大に舌打ちをしていた。


 町の人にも手伝ってもらって骨や柵を回収しながら魔物の襲撃からシダルケイが守ったのだと町の人に印象を刷り込んだりとカイトラスもこの件を逆に利用していた。

 ジケたちはしばらくオオツアイの町に留まってリッチの襲撃なんかがないかと警戒することにした。


 後日シダルケイからはおかげで内戦に集中できると感謝の手紙が届いたのだった。

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