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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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骸骨と戦って10

「スケルトンナイトもタダじゃないんだけど……せっかく集めたのに」


 気づいてみれば槍のスケルトンナイトも盾のスケルトンナイトもボロボロになっている。


「失敗か……」


 状況を見てリッチは失敗を悟った。

 スケルトンの戦いを見ればもはや逆転はしないだろう。


 スケルトンナイトも近からず倒される。

 リッチが暴れることで多少被害は与えられるかもしれないけれど、ジケたちを全滅させられるかは微妙なところである。


 めんどくさいなとリッチは思い始めた。


「いや、そもそもこんなつまらない仕事を押しつけたのも悪いし、私を呼び出したのも悪い」


「……あいつどうしたんだ?」


 空中に留まったままブツブツと何かを呟いているリッチをジケたちは怪訝そうな顔で見ていた。

 空中では手を出せないし、無駄に刺激もしたくないので距離を置いたまま様子をうかがう。


 倒せるならリッチを倒してしまいたいが、今の最大の目的はオオツアイを守ることである。

 そのためにはスケルトンを倒す必要があり、リッチは無理に倒す相手というよりも今は引きつけて邪魔をさせないことの方が大事である。


「復活! ……何してんだ?」


 エニに治してもらったリアーネも戻ってきた。

 戦う気満々だったのだが肝心のリッチが戦う気もなさそうに宙に浮いているだけで首を傾げる。


 地面に落ちているリアーネの剣はいつの間にか氷も無くなっていた。

 リアーネが剣を拾い上げてもリッチは何の反応も見せない。


「……剣投げてみるか?」


「いや……とりあえず様子を見よう」


 ジケたちに空を飛ぶ手段はない。

 手を出してこないのならこのまま警戒を続けていてもいいだろうとジケは判断した。


 スケルトンと戦うみんなもスケルトンナイトと戦うバルダー、グルゼイも今のところ優勢であるので、リッチがそちらに向かわないよういつでも動けるようにしておく。


「奴は一人ではない」


「どういうことですか、ダンデムズさん?」


「奴は非常に高いプライドを持っている。接近されても魔法で対抗し、リッチになったことに微塵の後悔もない」


 気がつけばダンデムズもジケのそばにいた。


「言うだけの実力はある。きっとどこかで英雄視もされていたような死体からスケルトンナイトを作り出したのだろう。だがそんな実力のあるやつが町を襲うのに遠くから分かりやすくリッチを引きつれることなんかしない」


 リッチだけでも町を混乱に陥れられるだろう。

 スケルトンを連れて行くにしても町でスケルトンを呼び出してもいいし、バレないように連れて行く方法などいくらでもある。


 それができそうなリッチなのにそうしなかったのには理由があるはずだとダンデムズは思った。

 何かの指示を受けている。


 そうする必要があったから分かりやすくスケルトンの群れを動かしていたのだと考えると辻褄は合う。


「うん、やはりここは退こう! これ以上は無駄です! 何か言われたら殺せばいい」


 リッチがふいに左腕を伸ばした。

 すると地面に落ちていたリッチの左手が飛んでいってピタリと左腕にくっついた。


「あれは……もったいないけど仕方ない」


 スケルトンナイトは諦めようとリッチは思った。

 ジケたちが四人がかりで倒したスケルトンナイトをグルゼイは倒す寸前まで追い詰めていた。


 今ここでスケルトンナイトを回収すればグルゼイがリッチのことを攻撃してくることは想像に難くない。

 スケルトンナイトのためにリスクを負うことなんてできない。


 このまま敵を引きつけてもらっておこうと見捨てることにした。


「それじゃあ……ド派手にいくよ」


 リッチが両腕を広げる。

 一つ一つのサイズが大人の身長ぐらいはありそうな黒い魔力の玉が十数個も空中に浮かび上がる。


「私の邪魔してくれたお礼です」


「むっ、いかん!」


 全ての黒い玉が一斉に動いてジケたちに降り注ぐ。

 前に出たダンデムズが杖を振り上げて魔力のシールドを張って、黒い玉が次々とシールドにぶつかって大きく爆発していく。


「ジケ!」


 あまりの爆発に地面が揺れてエニは叫ぶようにジケのことを呼んだ。


「はぁ……はぁ……また助けられたな」


「それはお互い様ですよ」


 爆発の煙が晴れた。

 肩で息をして汗を流しているダンデムズは苦しそうな表情で膝をつき、その前にジケが立っていた。


 盾だったはずのフィオスはいつの間にか剣になっていて、ジケはダンデムズに笑顔を返した。

 ダンデムズのシールドは多くの黒い玉を防いだけれど全てを防ぎきれはしなかった。


 とっさにフィオスを剣にしたジケが双剣スタイルで黒い玉をいくつか切り裂いてようやく凌げたのだった。

 ジケたちの周りは魔法によって地面が大きくえぐれていてひどいことになっている。


 ジケだけでもダンデムズだけでも防ぎきれはしなかっただろう。


「逃してしもうたな……」


 気づくとリッチはいなくなっていた。

 派手な魔法はあわよくばジケたちが死ねばいいし、そうでなくとも逃げるための目くらましなのであった。


「ジケ! 大丈夫?」


「ああ、こっちは無事だ」


 エニの心配に手を振って答えてやり周りの状況を確認する。

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