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骸骨と戦って7

「ユディット、ニノサン、リアーネ、まずはスケルトンナイトを倒すぞ!」


「分かりました!」


「ご命令とあらば」


「おうよ!」


 スケルトンは心配するほどの敵じゃない。

 今倒すべきはスケルトンナイト、そしてリッチである。


 ジケはユディットたちと共にスケルトンナイトの方に向かった。

 こんな時に一人一体ずつ正々堂々となんて言ってられない。


 ジケはまずカイトラスが戦う剣のスケルトンナイトに狙いを定めた。

 バルダーとグルゼイはスケルトンナイトと対等に戦っているけれどカイトラスはスケルトンナイトに押されていた。

 

 このままではカイトラスはやられてしまうかもしれない。


「はっ!」


「ジケ様!」


 剣のスケルトンナイトの横に回り込んだジケが剣を振る。

 普通の人間相手なら不意をついた一撃だったが、剣のスケルトンナイトは悠々とジケの攻撃を防いだ。


「強いな……!」


 リアーネとユディットが続けて攻撃し、ニノサンがさらに追撃する。

 しかし剣のスケルトンナイトはそれでも完全に攻撃を防ぎ切ってしまった。


 スケルトンにはあり得ないような身体能力だけでなく、反応速度や戦い方まで高いレベルにあって隙がない。


「……こいつらまた別なのか?」


 怪我をしたカイトラスは下がり、ジケたち四人で剣のスケルトンナイトの相手をする。

 完璧な連携とは言いがたいがジケたちもそれぞれ弱くはない。


 互いの動きを見ながらしっかりと連携をとって戦っている。

 リアーネを中心にしてガンガンと攻めているにも関わらず剣のスケルトンナイトは巧みな防御とわずかな隙をつく反撃を見せている。


 剣のスケルトンナイトを見ながらジケは気がついた。

 他のスケルトンよりもスケルトンナイトたちは装備が古そうに見えるのだ。


 スケルトンたちの装備は比較的新しめに見える。

 戦争で亡くなった人の装備品だとすると理解できなくもない。


 対してスケルトンナイトたちの装備は新しいような感じはない。

 しっかりと手入れされているものの使い古したような落ち着いた感じが見受けられた。


 ふとこのスケルトンナイトは戦争で死んだものではないんじゃないかとジケは思った。

 スケルトンナイトは生前の経験を活かして戦っているので、もしかしたら生きていた時は強かった人がスケルトンナイトとされていのかもしれない。


 仮にそうだとして今は何かに影響を及ぼすものじゃない。

 けれどだとしたらわざわざ強い人の死体でも探してきたのかとかちょっとした疑問が湧いてくる。


「おっと!」


 ジケは剣のスケルトンナイトの反撃をフィオス盾で防ぐ。

 鋭い反撃に少しも油断できない。


 それでもやはり四人という数の差は少しずつ剣のスケルトンナイトを打ち崩しつつあった。

 ジケたちも焦ることなく攻め続けて剣のスケルトンナイトの動きを読みつつあったのである。


「オラっ!」


「やっ!」


 リアーネが正面から剣を振り下ろし、ジケは横から切りつける。

 剣のスケルトンナイトはリアーネの攻撃を防いだがジケの攻撃はかわしきれなくて鎧がザックリと切り裂かれる。


 体はスケルトンと同じく骨なので鎧を切り裂いてもダメージはないのだけど攻撃がしっかりと届き始めたということが重要なのである。


「行くぞ!」


 ジケ、リアーネ、ユディットが三方向から同時に攻撃を仕掛ける。

 流石の剣のスケルトンナイトであっても防御できないので唯一空いている後ろに下がった。


 ただそれは狙い通りの動きである。


「食らえ!」


 少し離れていた位置にいたニノサンが一瞬でスケルトンナイトの後ろに回り込んだ。

 相変わらず目にも止まらない速さをしている。


 以前ヘレンゼールに指摘されたような直線的すぎる動きは改めて、少しは高速移動しながら曲がれるようになっていた。

 急に後ろに現れたようなニノサンに対して剣のスケルトンナイトは反応してみせた。


 振り返って剣を受け止めた。


「伸びろフィオス! おりゃあー!」


 攻撃をかわされたジケはすぐに次の動きに移っていた。

 大きく足を踏み出すとフィオス盾を持っている手をグッと引き絞る。


 フィオスも日々進化を遂げている。

 これまでニューンと形を変化させていたフィオスであるが弛まぬ努力によっていくつか慣れた形ならニュンッと素早く変形できるようになっていた。


 ジケの手から伸びていくフィオスは槍の形を成していく。

 そしてニノサンの剣を防いでいる剣のスケルトンナイトに向かってフィオス槍を突き出した。


 剣のスケルトンナイトにとっても予想外の攻撃だっただろう。

 盾が槍になるなんて誰にも予想ができないことで、圧力をかけるように剣を押し込むニノサンのせいで剣のスケルトンナイトは回避も防御もできなかった。


 ジケもただフィオス槍を突き出したのではない。

 しっかりとヘルムと鎧の間にある首裏の隙間を狙った。


 背骨にフィオス槍が当たった。

 鈍い音がして剣のスケルトンナイトの首が折れて頭が転がっていく。


「まだまだぁ!」


 普通のスケルトンなら頭をやられると倒れるものだがスケルトンナイトがそれで止まるかは分からない。

 リアーネが剣を振り下ろして硬直している剣のスケルトンナイトの体を鎧ごと真っ二つに切り裂いた。

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