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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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骸骨と戦って4

「ふふ……」


 グルゼイは思わず笑ってしまった。

 ジケもリアーネもそれなりに強者である。


 しっかりしているし注意されるようなことはあっても怒られるようなことはない。

 そんな二人が女の子に怒られてしょんぼりしてしまっているのはなかなか見られる光景ではないと思った。


「グルゼイさんも!」


「お、俺もか?」


「ジケの師匠でしょう? 危ないことはするなって止めるものじゃないんですか!」


「むっ……」


 まさか自分に飛び火するだなんて思っていなかったグルゼイは困惑する。

 こんな状況でまとめて怒られるだなんて誰が想像できるだろうか。


「危ないことをしろとも言っては……」


「言い訳しません!」


「……弟子よ、危ないことはするな」


「し、師匠?」


 グルゼイもエニには弱い。

 言ってやったぞという視線をグルゼイはエニに向けるけれどエニはどうせ口だけでしょという目を返していた。


 グルゼイは比較的放任主義である。

 やるというのなら止めることは少ないし、むしろ見守ってやることの方が多い。


 死なないのなら失敗もまた糧になり、成功するのならそれでいいと考えている。

 特にジケは考えなしに行動したりしないので危険なことでも意味があるとグルゼイも受け止めて協力することがあっても止めはしないのだ。


 だからこれから先も同じようにするだろうことは間違いない。

 エニはそのこともちゃんと分かっている。


「怪我したらぶん殴ってやるんだから!」


「怪我人にそれはないんじゃない?」


「どうせ私が治すもの」


「ふっ、逆らえないな」


「まあ出来るだけ怪我しないようには頑張るよ。俺だって痛いのは嫌だからさ。でも怪我したら治してくれよ?」


「治すわよ。ただし危ないことしたって怒るけど」


「……治してくれるなら文句はないさ」


 ーーーーー


 ジケたちはひとまずオオツアイまでやってきた。

 もちろん戦うのはジケたちだけじゃなくシダルケイは兵士も派遣している。


「お久しぶりですね、ジケ様」


「久しぶりです、カイトラスさん」


 兵士側のリーダーはカイトラスであった。

 カイトラスはシダルケイの信頼が厚く、忙しく動き回っていた。


 ジケたちが襲撃された時に捕らえた兵士やガデンから話を聞いて内通者の炙り出しを前線で行っていた。

 カイトラスの働きで何人もの内通者が捕まったらしい。


 基本的にカイトラスはシダルケイの直属の兵士のようでこうした場合でも行動に自由がきく。

 今度は魔物討伐に駆り出されたのだ。


 ジケとしても知らない兵士よりカイトラスたちの方が多少お互い知っているので気は楽である。


「状況はどうなってるんですか?」


 前線の戦場から駆けつけたカイトラスの方が先にオオツアイに着いていた。

 魔物はどうなっているのか、オオツアイを狙っているのかと質問する。


「相変わらずです。魔物の群れは移動を続けていてその先にはここオオツアイがあります」


「そうなんですか……」


「移動経路直線上にある町で魔物に襲撃されてしまったものもありますが、今はもうすでに襲われそうな町は避難が終わっています」


「どういう計画で魔物と戦うつもりですか?」


 このままオオツアイの町で魔物を迎え撃つことはリスクも大きい。

 オオツアイはかなり大きな町であるが城壁など防衛の備えはない。


 オオツアイに近いところで戦うと町に被害が及んでしまう可能性がある。

 万が一の時に引いたりすることも考えればどこか適当な場所で迎え撃つのが良さそうである。


「オオツアイから少し行ったところに草原があるのでそちらで迎え撃とうと思っています。相手は昼も夜もなくゆっくりとした速度で移動していて、その場所ならば昼に戦えると思います」


 相手はアンデッドモンスターとなる。

 アンデッドモンスターは昼の日の光に弱く、夜の闇で活発になるという特徴がある。


 少しでも優位に戦いたいなら昼に戦うべきなのだ。

 カイトラスは相手の移動スピードから逆算して昼間に戦えそうな場所をすでに選んでいた。


 ややオオツアイには近くなってしまったけれど視界の開けた場所で昼間に戦えるベストなところだった。


「すでに部下たちが戦いの準備を進めております」


 まだ魔物が到着するまでには時間がある。

 カイトラスは草原で戦いの準備を進めていた。


「今回オオツアイの職人組合の方にも協力を得られましたので多少は優位に戦えるようになっています」


「何か準備で手伝えることはありますか?」


「いえ、今のところは特にございません。ジケ様はお体休めて戦いに備えてください」


「少しワシにも手伝わせてくれんか?」


「ダンデムズさん?」


 話を聞いていたダンデムズがジケの肩に優しく手を置いた。


「ワシも少しは恩を返さねばならないからな」


 ーーーーー


 迎え撃つ草原は草原といいながらも非常になだらかな傾斜があってジケたちが陣取るところは若干高くなっている。


「すごいな」


 草原には背の低い木製の柵がランダムに配置されている。

 スケルトンは知能が低くて効率的な戦いをできない。


 柵に阻まれるとただ迂回するしかなくなる。

 適当に配置された背の低い柵でもアンデッドは簡単に行動を阻害されてしまい、人間側は柵の上からスケルトンを攻撃することができる。

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