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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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商人の情報集め

「どうやら一悶着あったようですね?」


「あはは……お耳が早いようで……」


 ジケはマクサロスに呼び出されていた。

 てっきり先日スカーアモ商会で色々あったことを怒られると思ったけどそんな雰囲気ではなかった。


 けれども二、三日前のことなのにもうマクサロスはスカーアモ商会のことを知っているようで流石の情報力だと感心する。


「構いません。私とは取引もありませんし商人ギルドにも所属していませんので潰れたところでなんともありませんからね」


 冷たいようだが所詮そんなもんである。

 たとえ隣で商いをしていても取引相手でなければただのライバルであり、なくなっても悲しみはしない。


 両手を上げて喜ぶようなことはしないがライバルが減ったことは商人としてありがたいことであるのは否めない。

 何か問題があれば商人ギルドの方で対処が必要になることもあるけれど、スカーアモ商会は商人ギルドに所属していないので商人ギルドで関わる必要がない。


 だからマクサロスはサラッとしている。

 たとえ関わりなくても同じ商人じゃないかなどと怒る人も中にはいるが、マクサロスからすればそんなのは同じ商人から足を引っ張られたこともないような経験不足な商人に他ならない。


 全員がそうであるとは言わないけれども、商人としての規模が大きくなるほどに他の人も関わるようになるし自分が部下を持つこともある。

 ライバルとなる他の商人の存在を意識することは大切で、あるいはどうなったとしても割り切って考えることも大切なのである。


「今回お呼びしたのはスカーアモ商会について多少調査が進んだからです」


「何かわかったんですか?」


「スカーアモ商会そのものについてはほとんど何もありません。不自然なほどに情報を隠している」


「じゃあ……何が?」


「人は生きています。そうすれば何か活動をし、何かを食べたり買ったりします。スカーアモ商会も商会である以上何かの活動をします。スカーアモ商会を調べて分からなければ周りから攻めればいいのです」


 スカーアモ商会そのものの実態は相変わらず調査しても掴めない。

 巧妙に活動が隠されていてなかなか尻尾が掴めないでいるのだ。


 マクサロスも歴戦の商人であって相手を調べることだって不得意ではないのにも関わらず掴めないのだから相当上手く隠している。

 普通の商人なら諦めて手を引くかもしれないがマクサロスは普通の商人でもない。


 完全に何の活動もしないことなどあり得ない。

 少なくともシゴム商会と関わりがあるように他と関わらず生きていくことなどできはしない。


 何かを買ったり行動しているはずなのでそこからマクサロスは調べていた。

 実態が見えないというのなら周りから固めて浮き彫りにしてしまえばいいというのである。


「実態が分からない割には多くの人が働いているようです」


 浮き彫りにしても実態はわかっていない。

 しかし分かることもある。


 食料品の購入などからどれほどの人がいるのか推測できる。

 明らかに一人二人の量ではなく、どれほどの人数がいるのか分からないけれどそれなりに人がいそうであった。


 毎回買いにくる人は同じで顔も覚えられていた。


「他にも定期的に薬草や製薬にも使われる道具を購入しているようです。先日お伝えした出回っている薬に関して関わっている可能性があるかもしれません」


 薬草はギリギリ理解できるとしても製薬用の道具は普通の人は買わない。

 一回買ったら買い換えるようなものでもない。


 そこからも道具を買い替えないといけないような怪しい薬を作っているのではないかと予想ができた。


「それともう一つ……スカーアモ商会となっている建物の他に拠点があるかもしれません」


「どういうことですか?」


「食料品をよく購入している構成員を追いました。普段はスカーアモ商会に近いところで買い物をしているのですが、スカーアモ商会から離れたところでも食料品を購入しています」


「その辺りに家があるのでは?」


「その可能性もあるでしょう。ですが購入していく量が多く、頻度も多いことを考えるに自分一人で食べるものではないと思われます」


 家族がいる、大食漢など理由を探せばつけられるものもあるけれどマクサロスはスカーアモ商会が表に出していない別の拠点を持っているのだと睨んでいる。

 そう考えるとスカーアモ商会の方から何の情報も出てこなくても納得はいく。


「場所はどこなんですか?」


「食料品を購入しているのはスカーアモ商会がある町の西側から真逆の東側です」


 場所を聞くとさらに怪しく思える。

 それなりの規模がある町でわざわざ働いている場所から反対側に家を持つ人は少ない。


 いないとは言い切れないのがまたもどかしいところで疑いが深いぐらいであるけれど別の拠点があるのは十分に考えられる。

 ウィリアたち異端審問官とスカーアモ商会に乗り込んだ時にはすでにもぬけの殻だった。


 どこへ行ったのかと思ったけれど最初から別の拠点があるならすぐに逃げ出せたのも理解できる話である。


「食料品を買ってどこに行っていたのかは調査中ですが今のところはこんな感じですね」


「さすがですね、マクサロスさん」


「ふふ、私の息子になればこの手腕も伝授しますよ?」


「ちょっと魅力的です」


「ふふふふ……そう思っていただけて光栄です」

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