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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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偏屈爺さん

「なかなか偏屈な爺さんだったな」


 スカーアモ商会が狙いなことは異端審問官も魔塔も同じである。

 当然のことながら異端審問官側は協力を申し出た。


 ダンデムズの力は確かだし、また勝手に一人でいかれて相手を全滅させられても困る。

 もし仮に薬を製造していたとしてダンデムズの力なら簡単に吹き飛ばしてしまいそうだった。


 けれどダンデムズは協力を拒んだ。

 自分たちだけで解決できるのだから異端審問官の力は必要ないと断ったのである。


 最終的には弟子のロクブとバーヘンの取りなしで協力することにはなったけれどダンデムズは不満そうだった。

 過去ではエニが魔塔にスカウトされたこともあった。


 魔塔には行かなかったけれど正しい選択だったなとジケは思う。

 もしかしたらこんな感じだったから行かなかったのかもしれないとすら感じる。


「終わりました……」


「どうだった?」


「まあ私の力は必要ありませんでしたね」


 ダンデムズたちが去った後のスカーアモ商会の建物にジケたちはまだ残っていた。

 ダンデムズに命乞いをしていた男は異端審問官の方に引き渡されていた。


 尋問のために上の階に連れていたのだが程なくして尋問を担当していた腫れぼったい目をした気だるげな表情の異端審問官が降りてきた。

 ダンデムズに引き渡さないという条件で相手はあっさりと全部吐いたらしい。


 革のエプロンをつけて何をするつもりだったのか気になるけれど怖いので聞かない。


「やはりただの下っ端……いや、下っ端ですらないようです。雇われた連中でもうすぐここに誰かが来るからとにかく殺してほしいと依頼されたとのことでした」


 ダンデムズに一掃された男たちはスカーアモ商会の人ではなかった。

 ただ金で雇われただけの人たちで、スカーアモ商会を襲撃に来る人がいるから逆に倒してほしいと依頼されていた。


 スカーアモ商会の人たちは荷物を持って避難してしまったらしく、男はその行方も知らなかった。

 つまり何も情報はなかったということになるのだ。


「うむ……仕方ないか」


 無い情報は引き出せない。

 バルダーの目にも男はそこらへんにいる荒い者たちに見えていたのであまり何か知らなそうだとは感じていた。


「建物の調査終わりました」


「お疲れ様です、ウィリアさん」


 何か証拠となるようなものがないかウィリアは建物内を捜索していた。


「残念ながら何もないですね」

 

 薬の製造に関わっていそうなものや隠されたものや部屋なんかがないかなど隈なく探してみたけれど何も見つからない。

 綺麗なもので証拠はおろか、スカーアモ商会が活動していたようなものすらない。


 帳簿や真っ当な商品すらなくもぬけの殻だった。


「ここまでいくとむしろ怪しさが目立つな」


 何もないということは事前に誰かが来ることを察していたということになる。

 その相手が異端審問官なのか、あるいはダンデムズたち魔塔の魔法使いなのかは不明だが、来ることは分かっていたことだけは確かだといえる。


 警戒心が高く周りの情報にも敏感なことは他にもあり得る話なので特別気にはならない。

 しかし知った上で人を雇って待ち伏せまでしたことはやりすぎな方に入る。


 時として異端審問官も襲われることはあるけれどその頻度は高くない。

 そして襲われる時は大体相手が何か悪いことを抱えているのだ。


 加えて全てのものがなくもぬけの殻になっているなんてかなり手慣れている感じがある。


「どこにいったのか……」


 こうなると事前に逃げる先も用意してあったと考えるのが自然である。

 もしかしたら薬に関わるものも逃げる先にあるのかもしれないとバルダーは考えた。


「こちらの調査も続けながら向こうからの情報を待ってみよう」


 現在の状況では異端審問官の方でこれ以上の追跡は難しい。

 しかし魔塔の魔法使いの方は追跡魔法から追跡できるかもしれないと聞いている。


 そちらに期待したいとバルダーは小さくため息をついた。


「ただ素直に教えてくれますかね……」


「それは言うな」


 ジケはダンデムズの態度を思い出す。

 最後もやや不貞腐れたような感じだったダンデムズが素直に情報を渡してくれないような気がしてならなかった。

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