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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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泥棒に狙われる宝石1

「私の命をもって償います!」


「いや……そこまでしなくていいですよ」


 祭りも終盤に差し掛かり明るい出来事への楽しさよりもそんな時が過ぎ去ってしまう寂しさを感じ始めた頃だった。

 床にへばりつくようにして頭を下げるバーヘンにジケは苦笑いを浮かべる。


 いきなりジケの元を訪ねてきたバーヘンはジケを見るなり床に打ち付けるように頭を下げた。

 まともに顔すら見れないぐらいでただただジケは困惑した。


 バーヘンと一緒にウェルデンとヘギウス商会の警備部門のトップの人も来ていてバーヘンほどではなくてと深々と頭を下げている。


「宝石が盗まれてしまったのですね?」


「全て私の不徳の致すところです。この命一つでお許しいただければ……」


「命で償うとかはいいので何があったのか教えていただけますか?」


 なんでもジケがヘギウス商会に預けていたピンクダイヤモンドが盗まれてしまったという話らしい。

 バーヘンはそのことに対して自分が責任を取るというのだが何があったのか分からないのに責任を取らせるも何もない。


「金庫に入れて最も厳重に宝石は保管させていただいていたのですが強盗が入りまして、宝石が盗まれてしまったのです」


 ウェルデンが申し訳なさそうに状況を説明する。


「金庫に入れていたのに盗まれたんですか?」


「ええ……最高峰の防御魔法を施してあった金庫だったのですが破られてしまいました……」


 ジケのピンクダイヤモンドはヘギウス商会の方でしっかりと保管されていた。

 金庫に入れて警備の人員が金庫を守っていた。

 

 けれどその金庫が襲撃にあってピンクダイヤモンドが盗まれてしまったのである。

 祭りの期間中だからとヘギウス商会が手を抜くことはない。


 むしろ祭りで多くの人の流入があるからと警戒を強めていたのにも関わらずである。

 さらには金庫だってただの金庫ではない。


 大型で丈夫な金庫な上に魔法によって保護までされていた。

 魔法も魔塔に依頼して最上級のものをかけてもらっていた。


 それなのに金庫は破られてしまったのだ。

 なんであれ金庫を破られて預けていたものを盗まれたことに変わりはない。


 なので宝石を扱う責任者のバーヘン、ヘギウス商会の商会長ウェルデン、警備を担当する責任者まで来てジケに頭を下げていたのである。


「それなら誰の責任でもありませんよ」


 警備を怠っていたとか持ち出していたわけではなく保管していた上で盗まれてしまったのならどうしようもない。

 誰かの責任ではなく悪いのは盗んだやつであり、バーヘンが命で償う必要などないのだ。


「ジケ様……」


 バーヘンを始めとしてウェルデンもジケの度量の大きさに感動したような目をしている。

 超がつくほどに高値がつく宝石を盗まれたというのに文句の一つどころか誰の責任でもないと言える人がどれほどいるだろうか。


「犯人は分からないのですか? 追跡したりは?」


「そこら辺は抜かりありません。盗まれた宝石には追跡の魔法をかけてありますので現在ヘギウス商会のものが追いかけております。加えて魔塔の魔法使いも今回協力してくださるようです」


「魔塔の魔法使い……ですか?」


 過去一度人生を生き抜いたジケであるが魔塔というもののことはほとんど知らない。

 名前のみは有名であるので知っているが何をするところでどんなものなのかは聞いたこともなかった。


 魔法使いが集まって研究したり切磋琢磨しているところというのがジケが抱いている印象である。

 魔塔というのは排他的で世の中に出てくることに消極的。


 だからジケでも聞いたことがない。

 なのに今回の事件に協力するというのだからジケも首を傾げた。


「金庫に魔法をかけたのは魔塔の魔法使いです。自分たちの魔法に絶対的な自信がある彼らは自分たちの魔法が破られたと聞いて居ても立っても居られないのでしょう」


 金庫の防御魔法をかけたのは魔塔の魔法使いである。

 ヘギウス商会がやってもらったことなので当然魔塔の中でも相当高いレベルの魔法になる。


 どうやって魔法を破ったのかという理由も知りたいが破られたことによってプライドが傷つけられたことが大きい。

 追跡魔法をかけてくれているのも魔塔の魔法使いなので協力してくれれば追跡も容易になる。


「すぐに見つけ出して取り戻します」


「無理はなさらないでくださいね」


 ピンクダイヤモンドは大事である。

 しかし元々狙って取りに行ったものでもない拾ったような物なのでジケにそれほど執着心はない。


 盗まれて誰かに売りさばかれるのは嫌だから取り戻しはしてほしいけれど無理なことはしなくてほしいなと同時に思う。


「いえ、これは我が商会の名誉にも関わることです。絶対に取り戻してみせます」


 盗まれた挙句取り戻すこともできなかったと周りに知られてしまったらヘギウス商会は信頼を失うことになる。

 誰も商品を預けてくれなくなるだろう。


 これは単にジケの宝石だけの問題ではなくヘギウス商会の今後にも関わる話になるのだ。


「ちなみにそんな魔法をどうやって破ったのかって分かってるんですか?」


 ヘギウス商会が保有している金庫なのだ、安物ではない。

 魔法を破り、禁錮を破るなど並大抵のことではない。


 どんな方法を使ったのか気になった。

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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?これ合ってます? 生誕祭で祭り?とも思いましたが、それまではパーティーと書いてらっしゃったのと、流石にそんな場で謝罪とかはしないだろうと思われ…
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