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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十三章

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トードスマイルの本気2

「テーマは……フィオスブルー」


「フィオスブルー……」


 シェリランがドアを開けて女性陣が入ってきた。

 今回パーティーに出席するのはエニとミュコだけでなく護衛としてリアーネ、そしてアユインと友達でもあるタミとケリもだった。


「おお……」


「これはすごいですね」


 ドレスアップした五人が並んでジケも思わず声を漏らした。

 なるほどこれがフィオスブルーかと思った。


 男性用の服もブルーを基調としているが女性用のドレスはより美しい青色が表立っている。


「ど、どう?」


「似合ってるかな?」


「ドレスって……恥ずかしいよな」


「くるり〜」


「くるくる〜」


 ここで意見を求められているのはジケである。

 ユディットとニノサンは素早く空気を察して一歩下がる。


「えっと……」


 みんなそれぞれ素敵である。

 だから一言でも順番に声をかけていこうとジケは決めた。


 まずはエニを見る。

 フィオスを思わせる青いドレスに身を包んだエニは顔を赤くしている。


 普段は地味めな格好であるしこうしたドレスなどでは髪色が鮮やかな赤ということでそれに合わせた赤いものが多かった。

 しかしふわりとした青いドレスはエニの赤い髪ともよくマッチしていて互いが互いを引き立てあっているかのようだった。


「そんな見つめられると恥ずかしいよぅ……」


 シェリランにドアを開けられる前まではちゃんと感想言わなかったら文句言ってやろうと意気込んでいた。

 なのにこうしてジケを前にすると感想を言って欲しいけど言われると照れるみたいな複雑な感情にエニ自身がどう対処していいのかわからなくなっていた。


「エニは青も似合うな」


 髪色や瞳が赤いからと赤が似合うから赤を合わせてしまいがちだけどエニは顔立ちも良くて他の色でも着こなせる。

 確かにフィオスを抱えていてもそれだけでも絵になりそうな時もある。


「あっ……うん、ありがとう」


 髪に負けないほどエニは顔を赤くする。

 もっと上手い褒め方もあるのかもしれないけどそんな褒め方をジケはできない。


 思った通り、そのまんまを言葉に出す。

 ジケも恥ずかしさで耳が赤くなっているけどこんな時は自分の恥ずかしさなんかよりも女の子を褒めるものだって分かってる。


「ミュコは……」


「どうかな?」


 ほんのりと頬を赤く染めてミュコがくるりと一回転する。

 エニはまだドレスを着慣れていない感じがあるがミュコはちゃんとドレスを着ていて馴染んでいる感じがある。


 近くで見てみると分かるのだけどミュコの髪は黒なのだがやや紫かがった黒なのである。

 だから舞って髪がふわりと光を受けるとどこかミュコが違ったようにも見えるのだ。


 フィオスも光の加減では紫っぽく見えることもある。

 それを再現したかのように少し紫を混ぜたような青色のドレスはミュコの美しさを引き出している。


 普段は明るく幼めに見えるミュコが今は踊っている時のように大人びていた。


「うん、似合ってる。すごく……大人っぽい」


 回帰前の大人の姿を思い起こさせる。

 ジケが褒めてあげるとミュコは嬉しそうに笑顔を浮かべた。


「次はリアーネかな」


「いや、私は別に……」


 ジケはリアーネに視線を向けた。

 恥ずかしそうに頬をかくリアーネは肩出しスタイルのちょっと大人なドレスである。


 リアーネは身長が高くてスタイルがいい。

 デカい剣を振り回すからがっしりとはしているのだけど体質なのかあまり太くならない。


 貴族のご令嬢に比べればがっしりとした体つきであるのだが健康的で見栄えのする筋肉のつき方をしているのだ。

 タイトにしてしまうとがっしり感が出てしまうので少し緩めにして背の高さを活かし、リアーネらしさもありながら普段とは違った女性らしさが上手く出ている。


「大人なお姉さんって感じしてるよ」


「ほんとか? なら……嬉しいかな」


 リアーネは普段から大人なお姉さんを自称している。

 お姉さんよりも姉ちゃんみたいな雰囲気なのだがドレスに身を包んだリアーネはまさしくお姉さんだ。


 ただリアーネは護衛でもあるのでガチガチのドレスでもなく動きやすさもある程度確保してあるのは流石のシェリランである。


「……分かってるよ」


 手を繋いだタミとケリが不安げにジケの服の裾を引いていた。

 端から順に褒めていったのでタミとケリは最後になってしまった。


 ジケは笑って不安そうな目で見上げてくるタミとケリの頭を撫でてやる。


「心配しなくても二人とも可愛いよ」


「ほんと?」


「可愛い?」


 タミとケリは何を着ても似合う。

 貧民街でボロをまとっていてもそれですらタミとケリは可愛らしかった。


 ふわりとしたドレスを着たタミとケリはまるで妖精のようだ。


「……さすがですね、トードスマイル」


 ジケが目を向けたシェリランは満面の笑みだった。

 ドレスも良く、着てくれる人もよく、着る人見る人どちらも大喜びしてくれている。


 ドレスを作ったシェリランとしてこれほど嬉しいことは他にない。

 これだけハッピーになってくれるのなら作った甲斐もあるというものだ。


 誰かのためになることができた。


「私……この日のことは忘れません……」


 笑顔を浮かべながらシェリランは一筋の涙を流した。

 自分でも人を笑顔にすることができる。


 ジケたちはシェリランのことを受け入れてこうして目の前でドレスも着てくれる。


「また次もお願いするよ」


 そしてジケはシェリランの腕前を信頼してくれる。

 ジケの周りに服を着てほしいほどの美しい方々が集まる理由がシェリランには分かった気がした。

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