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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十二章

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シルウォーを守れ1

 見回りを行っていた人が魔物を見つけた。

 植物のドーム近くではなくドームがある森の外にいるのを見つけたのだ。


 一応森も自然環境なので普通に魔物はいる。

 だが普段はいない魔物だったので警戒するようにと言われていつでも出動できるように準備していた。


「10回目のシルウォーも安定期に入りました。近くに防衛線を張りましょう」


 様子をうかがうように魔物が森の周りを行ったり来たりしているらしく気の抜けない日々を過ごしていた。

 10回目のシルウォーが繭を作って中にこもり、成長に集中する安定期に入った。


 シルウォーを狙う魔物にとってこの安定期が一番狙いやすい時期となる。

 成長のためにエネルギーもピークになっているので狙いたい時期でもあるのだ。


 怪しい動きの魔物が偶然とは思えない。

 シルウォーのストレスになる可能性はあるが早めに守るための手段を講じることにした。


 先に生まれそうなシルウォーが出てきたのを見届けてシルウォーの繭を守るための準備をし始めた。

 といってもできることは多くない。


 あまりに大規模なことをやるとシルウォーのストレスになってしまうのでそうならないように配慮もしなければいけないのである。


「次お願いします!」


 ヘギウス商会の人たちが魔法で壁を作り出す。

 魔法を使うというのもあまり良くはないのだけどある程度は我慢してもらう。


「おお〜」


 植物のドームの周りをぐるりと囲むように壁を作っていく。

 さすがヘギウス商会では魔法使いも取り揃えていて植物のドーム周りなら1日で壁ができてしまった。


 ジケも作業の護衛として様子を見ていたけれど魔法が使えるってやっぱりカッコいいなと思った。

 今は剣を極めるのに忙しいから魔法を習おうとは思わないけれど憧れのような気持ちは多少ある。


「フィオス?」


 ピョンと飛び降りたフィオスがシルウォーの繭の方に向かっていった。

 前に見学させてもらった時にはなかった一際大きな繭がある。


 言われずともそれが10回目なのだろうとジケにも分かる。


「魔力を感じるな……」


 みんなはシルウォーにストレスがかかっていないか心配しているが魔力感知を鍛えてきたジケには分かる。

 10回目のシルウォーは外のことなど気にしていない。


 力強い魔力を放ち、完全な成体になろうとしているのである。

 まだ安定期に入ったばかりなので繭もほぐしていない。


 綺麗に巻かれた繭は美しくもある。


「気になるのか?」


 フィオスが体を伸ばして繭に触れる。

 どうにも10回目のシルウォーが気になっているようだった。


「きっと無事に成長して出てくるさ。俺たちが守るんだからな」


「お願いしますよ」


「あっ、すいません……こんな近くに来ちゃって」


 気づくと後ろにダスーミャが立っていた。


「いいんですよ。仮に死んでも繭はもう取れますからね」


「……ドライですね」


「本当なら全部生き残ってほしいのですがそうならないこともありますから。ここから巣立っていった子でも次に帰ってこないことも多い。あまり感情移入しすぎるとこちらが辛くなりますから」


 ダスーミャは悲しそうな目で繭を見た。

 ここでどれほど心を砕いても回数を重ねいくシルウォーの数は減っていってしまう。


 ある程度冷たいような考えでもそうしなきゃ悲しくなるばかりなのだ。


「10回目まで生き残った子は10年ぶり……多分この子は20年ほど前に産まれた子なのです」


「そんなに……」


 思っていたよりも長い時がかかっているのだとジケは驚いた。

 シルウォーも毎年帰ってくるのではない。


 最初の頃は毎年帰ってくるのだけど回数を重ねると帰ってくるまで長くなるのだ。

 非力で狙われやすい魔物として20年を生き残り、そして無防備な繭の状態も乗り越えてやっと完全な成体になる。


 シルウォーとは難しい生き物である。


「守りましょう。せめてここにいる間だけでも落ち着けるように」


「ふふ、ありがとうございます」


「ほれ、フィオス行くぞ」


 ジケがフィオスを抱えて繭から離れる。

 繭に価値があるのだけどここで働いている人たちはちゃんとシルウォーのことも思いやって関わっているのだなとジケは思った。


 ーーーーー


 壁を作ったのはただ魔物を防ぐだけではない。

 魔法を使って戦う時にシルウォーに影響を与えにくくするためでもあった。


 魔力や魔法の余波を防いで戦闘のストレスを極力減らすのである。


「意外と多いな……」


 とうとう魔物が森の中に入ってきた。

 ジケは壁の上から魔物を見下ろす。


 現れた魔物はラッドブというものでずんぐりむっくりとした体型の可愛くないネズミの魔物である。

 尻尾が短く耳が小さいネズミでパッと見た限り二十匹ほどが集まっていた。


 シルウォーが繭を作る森には生息していないのでシルウォーを狙いにきたと見て間違いない。


「楽な方の相手……と思いましたがそうもいかないようですね」


 ダスーミャが眉をひそめた。

 ラッドブはシルウォーを狙う魔物の中では比較的戦いやすい相手である。


 他にも虫や鳥など空から攻めてくる魔物もいて、そうした空から来る魔物は壁では防ぎきれないので大変だったりするのだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前話と話が微妙につながってませんよ。 1話抜けているか、冒頭のだからが不要なのではないでしょうか?
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