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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十二章

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ドレス作りも大変なんです1

「ジー」


「なんだよ?」


 朝の鍛錬を終えたジケは服を着替えて朝食を食べていた。

 その様子をミュコはじっと見つめていた。


 アユインとその弟のお披露目パーティーで演劇することになったのでミュコにもスケジュールの余裕ができた。

 劇団に与えられた家でも暮らしているのだけど長期間の休みがあるとジケの家の方でミュコは過ごすこともあるのだ。


 だから今はジケの家で過ごしている。

 見つめられては食事も取りにくいとジケは困惑する。


「よそ行きの服かな?」


「よく分かるな」


 ジケも経済的な余裕が出てきた。

 特別ファッションに気をつかうことは少ないけれども小綺麗な格好をすることは増えた。


 貴族的な服装はしないけれど平民ぐらいの服装ではある。

 そんなジケの服装がいつもよりちょっと良いことにミュコは気がついた。


 変化としては微妙なところでご飯を作ってくれたタミとケリは気づかなかった。


「どこか行くの?」


「人に呼ばれているからな」


「人?」


「そう……リンデランのところなんだけどミュコも行くか?」


「リンデラン? 行く!」


 ミュコの見立て通りジケは人に呼ばれていた。

 だからちょっとだけ良い服を着ていたのだが、よく見抜くものだと感心してしまう。


 どこに呼ばれているのかというとヘギウス家だった。

 リンデランに呼ばれているわけではないけれど多分リンデランもいるだろうと思うからミュコも誘ってみる。


 ミュコの気質としてはタミとケリに近いものがあるとジケは思う。

 明るく懐っこい感じで人の懐に入るのが上手い。


 リンデランでもエニでもパッと距離を詰めて仲良くなってしまうことができる。


「ちょ、待って! 今着替えてくるから!」


 今ミュコは室内用のゆるめの服装をだった。

 ちゃんと外に出れるような格好をしなければいけないと慌てて2階に上がっていく。


 実はミュコはエニの部屋に服をいくつか置かせてもらっているのだ。

 半分住んでいるようなものだしエニも快く受け入れている。


 そんなに焦らなくともジケはまだ食事中なので時間はある。


「うーす」


「おはよう、リアーネ」


 食事を食べ終わってお皿をフィオスに綺麗にしてもらっているとリアーネが家の中に入ってきた。

 今日の護衛係はリアーネだ。


 リアーネもよく見ると小綺麗になった。

 孤児院がピンチの時はリアーネも経済的にピンチで服にまで気を回す余裕がなかった。


 だが今は孤児院の方も余裕がある。

 ジケからもちゃんと給料をもらえているし服装も綺麗になっている。


 自分の身の回りに気を遣えるようになった変化は非常に良い傾向だ。


「朝ごはんリアーネの分もあるよ」


「おっ、悪いな」


「お礼ならタミとケリに」


「そうだな」


 リアーネは台所からご飯を持ってくると食べ始める。


「……なんだよ?」


 今度はジケがリアーネのことをじっと見つめる。


「リアーネ綺麗になったね」


「なっ……!」


 思いがけない言葉にリアーネの顔が一気に赤くなる。

 実際にリアーネは綺麗になった。


 不潔だったわけではないが食事や精神的な環境も改善されたおかげなのか肌艶が良くなっている。

 比喩でもなんでもないのだ。


 ジケの言い方が勘違いさせるようなものであることは否定の余地もないが表現としては間違っていないのである。


「ふ、ふふん! そ、そうだろう!」


 しかしリアーネもやられっぱなしではない。

 大人なお姉さんを演出するために顔を赤くしながらも余裕を持って受け取ったように胸を張る。


「ほら、口の端についてるよ」


 ただお姉さんぶるにはちょっと抜けている。

 リアーネの口の端に食べ物がついていた。


 ジケは食べ物を取ってあげるとニコリと微笑む。


「くぅ……ずりーよ」


 一度はなんとか耐えたリアーネだったが流石にこれは耐えられなかった。

 顔を真っ赤にしたリアーネはうなだれる。


 こうしたことをそうしたつもりも悪気もなくやるからタチが悪い時があるとリアーネは思う。


「食べないのか?」


「もう……胸いっぱいだよ」


「お腹……じゃなくて?」


「腹もいっぱいだ」


 何もわかっていないジケは首をかしげる。

 いつもなら全部食べていくのに体調でも悪いのだろうかと心配するほどだ。


「体調悪いなら……」


「うりゃ!」


「なんだよー」


「鈍感ってのも行き過ぎると罪になるんだからな!」


 リアーネはジケの頬に指を突き刺した。

 ジケがこんな気持ちに気づいていないことにホッとする反面気づかないことにちょっとした苛立ちもある。


「……やっぱり食べたかった?」


「そうじゃねえよ!」


 リアーネがお腹いっぱいだというのでフィオスは料理の残りを食べている。

 ジケは鈍感と言われたことを実はまだお腹が空いていたのだと解釈した。


 いつもは勘が良い方のジケなのにどうしてこんな時ばかりとリアーネは盛大にため息をついた。


「お待たせ〜。あっ、リアーネさんおはよー」


「おう、おはよう」


 服を着替えたミュコが降りてきた。

 リアーネに手を振り、リアーネも笑顔で振り返す。


 一方でジケは何が鈍感なのかと頭を悩ませていたのであった。


 ーーーーー


 わざわざヘギウスの方から馬車を送ってくれた。

 それに乗ってヘギウス家までやってきた。

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― 新着の感想 ―
男もそうだけど女も超が付くほど鈍感系居るよね
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