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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十二章

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秘密拠点と秘密の魔物1

「まひゃ……めいはくかけてもうひわけありません……」


「謝るにしても食べてからでいいよ」


 ジケたちの部屋で寝かされたモロデラはなんと1日半も寝続けた。

 寝る時の姿勢は綺麗でいびきもかかないような人だったので死んでるんじゃないかと心配になるほどだった。


 ぱちっと目を覚ましたモロデラだったのだが寝てないのだ、食事だってあまり摂っていなかった。

 ジケがクレモンドにお願いして用意してもらうとモロデラはすごい勢いで食べ始める。


 体に悪いんじゃないかと思うけどもう止める時はだいぶ過ぎちゃってる。

 結構な量を食べてようやく正気に戻ったモロデラが口に物が残ったままジケに頭を下げた。


 別に怒りもしない。

 むしろこんなんで体大丈夫なのかと心配になる。


「集中するのはいいですけどほどほどにしてくださいよ?」


 数日間も食事も取らず眠ることもなく一つのことに集中できる能力は素晴らしい。

 けれどやはり適度に休むことが集中力も最大限に発揮する秘訣となる。


「ははっ……面目ない」


 本当ならジケも帰っているはずだしモロデラもヨレヨレの姿で会いに来る予定もなかった。


「それで今日はなんのご用で?」


 全て解読するには早いと思うが寝ずに解読し続けたのならあり得るかもしれない。


「ぜひとも協力していただきたいことがありまして」


「協力ですか?」


「ええ、以前に秘密拠点を調べているとお伝えしたと思います」


 そんな話もあった。

 地図に印がつけられていてイバラツカ周辺の怪しい場所を調べてパルンサンの秘密拠点がないかを探しているという話だった。


「お借りした手記と私が持っている手記を比べながら解読を進めていました。するとたまたま似たような内容があることに気がついたのです」


 数人分の料理を平らげたモロデラは興奮したように抱えてきていた資料をテーブルに置いた。

 1日以上寝て食事も取ったけれど目の下のクマはまだ完全に消え去っていない。


「調査も残りの数カ所だったのですが、そこのどこかに秘密拠点があるようなのです!」


 手記だけではなくお金もジケは出してくれた。

 さらには本まで出したいと言ってくれた。


 モロデラは出資者であり協力者であるジケにこのことを報告せねばならないと思った。

 ついでに秘密拠点を見つける手助けをしてもらえればなんて打算もあったりはする。


 ともかく居ても立っても居られなくなったモロデラは資料を持ってジケのところに駆けつけたのだ。


「他の人にバレてしまうことはないと思うのですが、手記からより範囲が狭められてあるかもしれないと思うほどに不安もつのりまして……」


 パルンサンが亡くなってから今まで秘密拠点は見つからなかった。

 だから誰かが秘密拠点を見つけるようなこともないだろうと分かってはいるものの、もし誰かが先に見つけてしまったらという不安がある。


 秘密拠点がどこにあるのか全く分からない状態なら誰かが見つけてもしょうがないと思えるのだけど、ある程度目星がついた今誰かに見つけられてしまうと悔しさが先に来てしまう。

 

「とりあえず話は分かりました。秘密拠点がありそうな場所はどこなんですか?」


「イバラツカから西に行ったところにある森林地帯のどこかにあるようなんです」


「森林地帯のどこか……」


 地図を見てみると森林地帯も狭い範囲ではない。

 これまでのヒントの少ない状態でイバラツカ周辺全てが候補だった時に比べると狭まったと言えるが、森林地帯全体を見ると範囲は広い。


 手伝ってくれと言われても森林地帯全体を捜索するのにはどれほどの時間がかかるのか。

 多少手伝うぐらいはしてもいいけれど全てを調べるまで付き合っていられるほどジケも暇ではない。


「も、もちろんいくつか候補も絞ってあります!」


 ジケが少し乗り気でなさそうな雰囲気を感じたモロデラも慌てて補足する。

 何も森林地帯全体を捜索するだなんてモロデラも非効率すぎると分かっている。


 手記の中にあった記述から特徴的なものを抜き出して森林地帯の中でも目ぼしそうな場所をピックアップしていた。

 そうしたところになければ森林地帯をしらみつぶしにするしかない。


 だが今回はそうした目星をつけた場所を捜索する手伝いをしてほしいということだった。


「どうでしょうか?」


「まあ協力してもいいけど……」


 不安材料もある。

 先日デオクサイトから聞かされた正体不明の魔物は討伐されていないのだ。


 それどころか未だに正体不明のままなのである。

 イバラツカの外に出ることを禁じられてはいないけれどリスクは考えねばならない。


「行こう」


「えっ?」


「そろそろ体もなまってしまう」


 悩ましいところだったのだが予想外のところから声が上がった。

 話を聞いていたグルゼイがジケのことを見ていた。


 別にモロデラに協力してやろうなどという気はグルゼイにない。

 しかし町に留まって美味い飯を食べているだけというのは怠惰すぎると感じていた。


 そろそろ体を動かす必要がある。

 積極的に魔物退治までしなくても町から離れたところに行けば魔物と戦うこともあるだろう。


 さすがはこんな時でも師匠だなとジケは思った。


「そうですね。少し手伝いましょうか」


 タミとケリ、メリッサにはお留守番していてもらえばいい。


「ありがとうございます!」


 ジケたちはパルンサンの秘密拠点を探しに行ってみることにしたのだった。

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