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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十二章

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達筆か、下手くそか

「イバラツカ?」


「はい、そこに彼がいるそうです」


 最近アユインはリンデランやウルシュナと色々としているらしい。

 演劇行ったり料理もしたりしているようだ。


 だから時々タミとケリやエニも誘われている。

 楽しそうでなによりだ。


 ジケはヘギウス商会を訪れていた。

 色々とピンクダイヤモンドを売る準備をしてくれているようであるが物が物だけに慎重に事は進められている。


 一応進歩は聞いてみたが販売候補先のリストアップができたぐらいらしい。

 今回訪ねてきた理由はピンクダイヤモンドに関わることではない。


 しかしジケの対応をしてくれているのはバーヘンだった。

 元々仕事としても役職が高かったが今は他の仕事は辞めてピンクダイヤモンドに集中している。


 だがそれだけではどうしても暇は多いのでジケの担当窓口となっている。

 ウェルデンが毎回対応するわけにもいかないのでありがたい人選である。


「そこに読める人がいるんですか?」


「可能性があるという話でしょうか。どうやらパルンサンの研究をしているようで、もしかしたらその人なら解読できるかもしれません」


 ジケはヘギウス商会にピンクダイヤモンドの他にもお願いしていたものがあった。

 パルンサンの手記なのか、日記なのか、謎の手帳のことである。


 盃のこともあるし解読したかったのだけど手帳の中身は全く読めなかった。

 最初は暗号で書いてあるのかと思うほどに何も読めず、ヘギウス商会に助けを依頼した。


 おそらくとんでもなく癖の強い字であると言われた。

 宝物庫にあった紙は普通に綺麗な字で書いてあったのに手帳の字は暗号にも見えるほどに難解。


 言葉を選ばねばヘタクソな文字であったと言えた。

 そもそも文字に馴染みのない貧民街のみんなでは解読も難しい。


 だから読めないかとヘギウス商会に預けていたのだけどヘギウス商会でもお手上げだった。

 そこで読めるかもしれない人を探してもらうことになった。


 いわゆる学者なんかで良さそうな人がいないか探してくれていたのだが、良さそうな人がいるということで呼び出されたのである。


「モロデラ・コドラーソンねぇ……」


 その人こそモロデラであった。

 なんでもイバラツカという町でパルンサンの研究を行なっている人で手記も解読できる可能性がありそうだと言う。


「ただ少し問題がありまして」


「問題ですか?」


「便りを出したのですが……」


「断られたのですか?」


「そうでもないのです」


「正直に言ってくださいよ」


 バーヘンは少し困ったような顔をしていた。


「直接物を見るまで依頼を引き受けるか決めないというのです」


「なんでそんなことを?」


 パルンサンの研究をしているのならパルンサンの手記があると聞けば喜びそうなものであるがとジケは思った。

 しかしモロデラは警戒をあらわにしたような返事をバーヘンに返してきたのである。


 実物を見せろというのだ。


「どうやら向こう色々と騙されたことがあるようで偽物ではないことを証明しろというわけのようです」


「なるほどね」


 ただジケとしてはパルンサンの手記は本物であることに確信を持っている。

 そんな物を渡すことに不安もある。


 渡すかどうかについてヘギウス商会では勝手に判断もできない。

 だから今回ジケに直接どうするのか聞こうと呼び出すことになったのだ。


「よろしければ人をやって確認させることもできます。不安ならモロデラに依頼しないことも一つです」


「イバラツカですもんね?」


「ええ、そうですが」


 ジケは何かを考えるようにあごに手を当てた。


「じゃあ俺が直接行っても大丈夫ですか?」


「ジケ様が直接行かれることももちろん大丈夫です」


「ならイバラツカには俺が向かおうと思います。モロデラさんの情報まとめてもらえますか?」


「ええ、分かりました。そのように取り計らいます。イバラツカにもヘギウス商会の支部がありますのでそちらにも話を伝えておきます。困ったことがあればそちらに寄っていただければお力になりますので」


「分かりました。ありがとうございます」


 一冊だけ手帳を渡して人に交渉してもらうのも心配である。

 それなら直接自分で行って交渉するのも手段である。


「あそこ行かないとな……」


 ただわざわざ離れた町まで行くのは面倒。

 でも用事が他にもあるならまとめてやれば悪くない話であるとジケは考えていた。

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