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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十章

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仲間たちとのんびり3

 若干腕の気だるさも感じながら移動する。


「お邪魔するよ〜」


「あ、会長」


「コケェ」


 向かったのはコッコハウス。

 中に入るとフィオス商会の一員としてコッコたちの世話をしていくれているヒがいた。


 そしてパムパムがいつものようにポージングをして出迎えてくれる。


「お疲れ様」


「ありがとうございます! えと、産みたての卵、いりますか?」


 ヒは手に持っていたカゴから卵を一つ取り出す。


「さっき朝ごはん食べたから大丈夫だよ」


 卵はジたちの食卓に上がっている。

 美味いし栄養はあるしでジたちの健康にも寄与してくれている。


「何か不便なこととか問題はない?」


「全く問題はありません!」


「そう……またキックコッコ増えた?」


「ええ…………はい、そうです」


 少し売るぐらい卵あればいいなと思った。

 なので時々ユディットやリアーネ付き添いの下でパムパムは外出する。


 そこでキックコッコをスカウト、もといナンパしてくるのである。

 上手くやるものでそうしてコッコハウスのキックコッコはじんわりと増えている。


「まあ増えることは別にいいけど家に入り切らないほどには増やさないでよ?」


「コケッ」


 パムパムはうなずくけど本当に聞いているのか怪しいものである。

 増えたら増えたでまた大きな家を確保したり今のコッコハウスを改築するなどの手段もある。


 だけど時々暴走しがちなので早め早めにしっかりと釘を刺しておく。


「何かあったらいつでも言って。パムパムはちゃんと大人しくしろよ」


「コッケェ」


「いつもありがとうございます、商会長」


 ジがコッコハウスを出ていくとキックコッコたちも翼を振ってお見送りしてくれる。

 環境が変わった最初の頃はキックコッコたちも卵を産まなかったりした。


 けれどコッコハウスが安心安全な場所であることを身をもって理解するとまた卵を産み始めた。

 今では少し売ったりするぐらいは検討できるぐらいに生産量も増えてきた。


 ヘギウス家とかゼレンティガム家で買わないかな、なんて思っている。

 少し考え事をしながら別の家に行く。


「もう、また朝ごはん食べてないんですか!」


「むむ……実験があった」


「実験があっても食べなきゃダメです!」


「分かった……食べる」


 今度やってきたのは魔物の研究をメインでやっているユニダロス親子が住んでいる家。

 本来は親子で住んでいたのだけどヒにも名前が似ているヒスというファイヤーリザードが魔獣の女の子が半ば住み込みで一緒に生活していた。


 ややもすればすぐに食事や睡眠を忘れてしまうキーケックとクトゥワのお世話を焼いてくれていた。

 今も顔を覗かせるとヒスが朝ごはんを作ってキーケックに食べさせようとしているところだった。


「……美味しい」


「本当? 今日のは自信あったんだ」


「いつも美味しい。ヒスの料理自信持っていい」


「……ありがとう」


 下手するとぶっきらぼうにも聞こえるような言い方だけどキーケックは単にウソをつけず正直に物を言う子なだけである。

 ヒスもそれを分かっている。


 キーケックに褒められてヒスは頬を赤く染めているがキーケックはそれに気づいていない。

 一回や二回食事を抜いても平気だけどやっぱりお腹は空く。


 食べ始めると体が空腹を自覚し始めたようにキーケックは朝ごはんをがっつき始めた。

 食べるキーケックをヒスはニコニコと見ている。


「……タイミング悪かったかな?」


 空気が読めないほどジも鈍くはない。

 少しばかり甘い雰囲気が漂っていることを察した。


「……おや、会長殿ではないですか」


 しかしそこにクトゥワが2階から降りてきてジに気が付いてしまった。


「あっ、えっ!」


「ジ、おはよう!」


 ヒスはクトゥワとジに気がついて顔を赤くし、キーケックはジに向かって嬉しそうに手を振る。


「あ、うん。おはよう」


 ちょっと出ていく判断するのが遅かったなと思うけどクトゥワが来てしまったのならあまり変わらないかと開き直る。


「え、ええと……会長も食べますか?」


「食べてきたから大丈夫。ありがとう」


「クトゥワさんもどうぞ」


「ああ、悪いねヒス」


 見られていたかもしれないと思うと顔が熱くなるヒス。

 ごまかすように食事を勧めるけどもちろんジのお腹は空いていない。


「今日はどのような用事で?」


 この中で唯一空気を読めていないクトゥワも食卓に着く。

 階段を降りてきたらまず玄関のところにいるジに気がついたのだからしょうがない。


「特に用事があったわけじゃないんだ。でもみんなどうしてるかなって」


 こうして考えてみると仲間も増えたものである。

 最初なんてエとラもいなくなってジ1人とフィオス1匹だけになってしまったと思ったのに段々と周りに人が増えてきた。


 ジそのものはそんなに変わらないはずなのに、ほんの少し勇気を出してみただけでこうも変わるのかと驚いてしまう。


「会長殿のおかげで不自由なく過ごせております」


 クトゥワは穏やかな笑みを浮かべる。


「生活も実験も……皆さんの魔獣についてお調べしたいと言えば協力もしてくれますし会長殿は私の考えを柔軟に受け入れてくれる。こうしてキーケックとも過ごせますしとても感謝をしています」


「そんな……俺はただクトゥワさんを信じているだけですよ」


 回帰前の知識もある。

 クトゥワが後々に成功する人であることも知っている上に実際会ってみると研究に真面目で熱意もある人なのでジも信頼することができた。

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[一言] 600話達成おめでとうございます
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