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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第九章

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奇妙なデュラハン1

 こうなると結果がどうなるのか知るまで帰ることはできなくなってしまった。

 遺跡研究所から国の方に報告が上がって国から冒険者ギルドに要請が渡った。


 モンタールシュの中でも優秀な冒険者パーティーが討伐に向かったのだが結果的に失敗した。

 成功の報告もなければ冒険者パーティーは帰ってもこなかったのだ。


 つまりは魔物にやられてしまったということなのだろう。

 急遽派遣された他の冒険者パーティーが遺跡の扉が開きっぱなしになっていたことを確認した。


 中に入ってみるといくつかのスケルトンはそのまま残されていたのだけど肝心のデュラハンはいなくなっていた。

 これはまずいと国の方でも人を出してデュラハンを探しているのだけど未だに見つかっていなかった。


「こう?」


「そう、こう」


 テレンシア歌劇団もどうするのか悩んだようであるがどうせなら休暇ぐらいのつもりでジたちの出発を待って一緒に行くことにした。

 どうせクオンシアラの計らいのおかげでいい宿に泊まっていられるのだし羽を伸ばすことにしたのだ。


 暇なのでミュコはタとケに踊りを教えていた。

 タとケも真面目にミュコから踊りを習っていて小さい踊り子たちは日々上達を見せていた。


 もしかしたらかえって次の公演する時にはタとケも項目に組み込まれるかもしれない何て思っていた。


「にしてもデュラハンはどこにいるんだろうな」


 最初の冒険者が失敗したのは痛かった。

 デュラハンを封じていた扉が開きっぱなしになってしまってスケルトンとデュラハンが遺跡から放たれてしまった。


 スケルトンは何体か見つけられて討伐されたものもいるようであるがそもそも何体いたのかも知らないので終わりかどうかも分からないのだ。

 広めの部屋で踊りの練習を眺めていたジは軽くため息をついた。


 優秀な冒険者が失敗したとなるとバジリトの判断は間違っていなかったがもう少しデュラハンのことは知りたかったなと思った。

 1番目のパーティーが帰ってこずに状況の確認のために派遣された2番目のパーティーによると遺跡の奥の方は損傷が激しくて詳細な調査がないことには何も分からないらしい。


「おーい、そろそろ寝るぞー」


「今日はミュコちゃんと寝るー」


「一緒に寝るー」


「そうか、じゃあ俺は先に部屋に戻るから。

 あんまり夜ふかしするなよ」


 踊りの先生ともなっているミュコにタとケはよく懐いている。

 ミュコも多少お姉さんぶったりなんかしてタとケのことを可愛がってくれていた。


 宿の中であるしミュコが面倒を見てくれるのならタとケの心配をしなくてもいい。

 ジは大きな部屋を出て自分が泊まっている部屋に戻る。


 部屋ではソコと相部屋になる。

 悪夢を見ることもあるのでその時に起こしてあげる係であるから相部屋なのだ。


「寝るか……」


「そうだね……ふわっ」


 ジとソコはゴソゴソとベッドに入る。

 なんだか目が冴えちゃったなとジは思ってフィオスをムニムニと触っていた。


 しかしソコはスースーと寝息を立てて寝始めていた。


「……ソコ?」


 完全に真夜中になった。

 フィオスをいじっていたジもなんだか眠くなってきたと思っていたら寝ていたソコがおもむろに立ち上がった。


「おい……どこいくんだよ!」


 わずかに月明かりが差し込むだけの暗い部屋の中ソコはゆっくりと歩き出した。

 部屋を出てどこかに行く。


 催したのかなとも考えたがそれにしてはジが声をかけてもソコから反応は帰ってこない。

 また何か異常なことが起きているとすぐにピンときた。


 剣とフィオスを引っ掴んでジはソコを追いかける。


「くっ……ニノサン、起きてくれ!」


 フラフラと歩いていくソコを追いかけながらジは途中の部屋のドアを叩く。

 その部屋はニノサンが泊まっている部屋である。


「主君……何が」


「緊急事態だ!

 リアーネも起こしてくれ!」


 寝ぼけたようなニノサンがドアを開けて顔を出した。


「……分かりました!」


 緊迫したようなジの声にニノサンはすぐに意識を覚醒させた。


「意外と速いな……!」


 最初はフラフラと歩いていたのに徐々にソコの足も速くなっていく。


「ソコ!」


 宿の外まで出てようやくソコに追いついた。

 ジが肩に手をかけて振り向かせるとソコはとてもウツロな目をしていた。


「壊さなきゃ……」


「壊すって何をだよ!」


 力が強くジの手を振り払うとそのままソコはまた歩き始めてしまう。

 月が照らす中目的があるようにソコはズンズンと歩いていく。


「……ごめんなさい!」


 まだみんなは追いかけてこない。

 仕方なくジは剣を抜くと地面をバツ印に切り付けた。


 何か痕跡を残さないと追いかけてこられないと考えた。

 どこに向かっているのか分からない。


 月があっても外は暗くてジも魔力感知でどうにか歩いているのにソコはサクサクと歩いていく。


「こっちは……」


 早歩きのようなソコについていくと何となく向かっている方向が分かってきた。


「主人!」


 そうしてソコのことを追いかけているとニノサンたちが追いついてきた。

 ニノサンとリアーネ、そしてグルゼイも来てくれている。

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