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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第九章

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何の遺跡だったのか3

 一見隙間もないように見える。

 しかし扉である以上全くなんの隙間もないことなんてあり得ない。


 たとえわずかでも隙間がある。


「ここか?」


 フィオスを動かしているとプルンと揺れた。

 フィオスが隙間を見つけた。


 そのままフィオスを少し強めに押し付ける。

 周りから見ても何をしているのか分からないだろう。


 しかしジとフィオスには分かっている。

 細い隙間にフィオスがじわじわと体を流し込んでいる。


 固体のようで液体のようなフィオスにとってわずかでも隙間があるなら体をそこに入れることができる。

 ただし核があるので実際は核分の隙間がなきゃ全部入れられないが一部を入れるぐらいは容易い。


 隙間を辿ってフィオスが広く伸びていく。

 体を隙間に入れているので少し小さくなったフィオス。


 扉の縁をグルリと一周回ってフィオスが隙間に入り込んだ。


「よし、フィオス、頼んだぞ」


「何してるんだ?」


 黙って見ているつもりだったけどどうしても気になってしまった。

 リアーネがジの手元を覗き込む。


 リアーネが見てもフィオスが小さくなったことすら分からない。


「まあ見てなって」


 ニヤリと笑うジ。


「よし」

 

 しばらくそうして壁にフィオスを押しつけていたジがスッとフィオスを壁から離した。

 

「ニノサン、リアーネ」


「なんでしょうか」


「おう」


「ここら辺押してくれないか?」


「押す……ですか?」


「うん、できれば力一杯」


「よっしゃ、押せばいいんだな?」


「やりますか」


 ニノサンは不思議そうな表情をしたがリアーネはニカッと笑うと腕を振って手を扉のところに押し付ける。

 リアーネを見てニノサンもジのやることに意味のないことはないはずだと疑問を追いやって扉に手をかける。


「せーの!」


「ふっ!」


 2人で一斉に力をかける。


「お、おお!?」


 そんなことで開くはずがない。

 バジリトはそう思っていたけれど扉がズズッと少し動いた。


「おい、みんなも手伝え!」


 もしかしたらと思った。

 力自慢の数人が手伝って石の扉を押すと少しずつ押されていく。


「よい……しょ!」


「う、うわっ!」


「やったぞ!」


 石の扉が押し倒されて向こう側にいた人が慌ててそれを避けた。

 石の扉を押し開くことができた。


 みんなの顔にホッとした安堵が浮かぶ。


「何をなさったのですか?」


 押したってびくともしなかった石の扉が急に押せるようになった。

 ニノサンは理由も分からず首を傾げた。


「こいつのおかげさ」


 ジは笑って抱えていたフィオスをニノサンの顔の前に差し出した。


「フィオス……がですか?」


「そう。スライム舐めたらダメだよ」


 フィオスは以前家の前にブッ刺されたアダマンタイトという超硬い金属すら溶かして食べたスライムである。

 そんなフィオスにしてみれば硬くとも石は石。


 ジは隙間にフィオスを流し込んで石の扉の縁を溶かして切ったのである。

 あとは大人たちの力で石の扉を押してもらったのである。


 とんでもない力技。

 ジとフィオスだからできたのだ。


「助かりました」


 バジリトはジに頭を下げた。

 何をしたのかは知らないがジが石の扉を破壊して押し開けられるようにしたのは確かだった。


 その後の調べて外側の扉の脇にスイッチがあって押して石の扉を開けるようになっていたことが分かった。

 やはり内側から開かないようで誤って表にいた人の何かがそのスイッチに触れてしまったのかもしれないということになった。


「さすがフィオスですね。

 主人とフィオスがいなければどうなっていたことか」


 ニノサンに褒められてフィオスが誇らしげにプルルンと揺れた。

 他にも部屋があったが念のために半分人を通路に残し、事前に扉の開閉スイッチの有無を確認してから入ることになった。


 命綱にもなるジはとりあえず安全な通路側にいることにお願いされたので後の部屋は覗き込むぐらいだった。

 けれどどの部屋も2番目の部屋と同じで獣でも飼っていたかのような大きな傷跡が残っていた。


「古代にあった魔物の飼育場でしょうか?」


 何も残っていないのであまりにもヒントが無さすぎる。

 バジリトは困ったように頭をかきながら推測を口にしてみる。


 とてもじゃないが人がつけた跡には見えない。

 どうにかして魔物を運び込んで飼育していたのかもしれないと考えた。


 魔獣以外の魔物を趣味で飼うなんて悪趣味な人はどんな時代にも一定数存在する。

 もしかしたらそうした悪趣味な人が魔物を飼っていた施設の可能性もある。


 だとしてもかなり大きな飼育場である。

 1体や2体ではなく、しかもかなり凶暴な魔物を複数飼っていたことになる。


「ここもどこまで続くのでしょうか」


 数部屋確認したけれどどこも同じで変化もない。

 まだもっと奥に続いているがどこまで続くのかも分からない。


「魔物だ!」


「お下がりください!」


 進んでいくと魔物が現れた。

 出てきたのは骨のような魔物、いわゆるスケルトンというやつである。


 バジリトたち調査隊の中でも戦いを担う人たちが前に出る。

 ニノサンとリアーネも剣を抜くが下手に前に出ると邪魔になる可能性もあるので戦いは任せる。

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