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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第九章

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退かぬ時もある1

 食っては演劇観たり飲んでは演劇観たりといろんな物語で頭がいっぱいになるほど色々と観させてもらった。

 歌や踊りも色々とあってタとケも大満足だった。


 日も暮れてきた。

 タとケもいることだし少し早めに帰らせてもらおうかと思っていたらクオンシアラの使者を名乗る人が来て食事に招待された。


 流石にちょっと断れないのでご招待に応じることにした。


「相当気に入られているのだな」


 話しかけてきたもそうであるしわざわざ食事に招待されることなどまずあり得ない。

 理由は知らないけれどジはクオンシアラに気に入られているのだなとグルゼイは思った。


「まあでも今回は商談目的だと思いますよ」


 よく思っていただいていることは間違いないとジも同意する。

 ただ食事に誘う目的はよく思っているからだけじゃない。


 ジをよく思っている理由の1つでもあるフィオス商会の商品について話したいのだろうと考えていた。


「こちらです」


 お連れ様も、ということでみんなでぞろぞろと移動した。


「あれ」


「あっ! ジ!」


 案内された部屋に入るとすでに席についている人たちがいた。

 見覚えのある後ろ姿。


 振り返ってジを見つけたミュコがサッと立ち上がった。


「ん!」


「えへへ……」


 ミュコは笑顔でジに駆け寄ってギュッと抱きしめると軽く頬に唇を当てた。

 いきなりのことでジはボケっと驚いてしまう。


 頬を赤らめてミュコは笑う。


「ミュコちゃん!」


「私たちもいる!」


 タとケがジとミュコの間に割り込むように入ってくる。

 ミュコに対して自分達もいるという嫉妬心か、あるいはジに対する嫉妬か。


「タちゃんとケちゃんも久しぶりだねー!

 ステージから見えてたよ!」


 ミュコは腕を広げてタとケをギュッと抱きしめる。

 ちょっとむくれたような顔をしていたけれどミュコに会えた喜びの方が大きい。


 すぐに顔がニマニマとしてしまってタとケもミュコを抱きしめ返す。


「んー!」


 ミュコはタとケの頬に自分の頬をくっつけてグリグリとする。

 こうした人懐こさがあることは回帰前じゃ分からなかったことである。


 ほっこり光景にジもほっこりする。


 こうした場面にはグルゼイも気づかない間に柔らかな表情を浮かべる。


「それにしてもミュコたちも招待を?」


「うん。

 是非って言われてね」


 テレンシア歌劇団も全員ではない。

 劇団長であるニージャッドやエースの踊り子であるソリャンなどメインの数名がいる。


「全員でなんて言われたけどみんな王様となんてとんでもない!って言ってこうなったけどね」


 本当はテレンシア歌劇団全員招待されていたのだけど基本的には平民階級の人たちが集まっているテレンシア歌劇団なのでとても王様の前で食事なんてできないとなった。

 しかしテレンシア歌劇団も招待に応じないこともできなくて代表者が出席することになった。


 ミュコは疲れてるし休みたかったしジがどこかにいるなら探したいと思っていたので拒否しようとしたのだがミュコは是非会いたいと言われてしまった。

 困り顔のニージャッドのお願いを断れずに結局ミュコも食事会に参加した。


 けれどそれでよかったと思った。

 ジに会えたからそれだけでこの食事会に来た価値があったものである。


「ニージャッドさん、お久しぶりです」


「お久しぶりです、商会長殿」


「調子はいかがですか?」


「絶好調です。

 ミュコがアレを踊れるようになってから周りの評判も以前にまして良くなりました。


 他のみんなもミュコに負けないようにとやる気を出していますよ」


「観ていたので分かりますよ。

 全体的にもっと良くなっていますね」


「ありがとうございます。

 観てくださっていたことはミュコから聞いていますよ。


 商会長殿がいたともう何度も……」


「お父さん!」


「はははっ、これ以上はミュコに怒られてしまいますね」


 ミュコが顔を赤くする。

 ニージャッドも先ほどで不満顔で文句を言っていたのに全くもって顔が違うミュコについ口が軽くなってしまう。


「それと……」


「なんですか?」


「ううむ……なんと申しますか」


 急に口ごもるニージャッドにジが首をかしげる。


「問題なことはないと思うのですが……」


「何かあったのですか?」


「実は……」


「みんな揃っているな」


 何があったのか聞こうとした瞬間クオンシアラが部屋に入ってきた。


「ん、何があったか?」


「あ、いえ……」


「ほら、立っていないで席に着くといい」


「ジ、私の隣に……」


「ダメ!」


「ジ兄ちゃんは私たちの隣!」


 ミュコがジに隣に座るように言ったらタとケがサッとジの両腕に引っ付く。

 ミュコの隣にジが座ってしまうとジの隣は1つになる。

 

 そうなるとタとケのどちらかは隣に座ることが出来なくなってしまう。


「むむむ……」


「む〜」


「ぬ〜」


 小さい争い発生。


「ジ商会長」


「は、はい」


「是非私の隣に来ないか?」


 ここで第三勢力の参戦。

 クオンシアラが上座である長テーブル端の席に座り、その角にある席を手で指した。


 ニッコリと笑うクオンシアラにミュコや双子が敵うはずがない。

 少しばかり空気を察してジは逆隣にイスコを置いて席に座ることにした。


 しょうがなくミュコはタとケに挟まれるように座ることにしたのであった。

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