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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第九章

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遺跡と悪夢3

「ソコ……やめろ!」


 ソコの腕を掴む手に力が入り爪が立って腕から血が滲む。

 ジがソコの手を引き剥がそうとするけれど力が強い。


「フィオース!」


 このままではまずいと思った。

 護衛としてきていたニノサンもすぐに状況を察してジを手伝ってソコの手を引き剥がす。


 ジはフィオスを呼び出した。

 フィオスは押さえつけたソコの両手に絡みついて金属化する。


「うっ!」


 押さえつけられて暴れるソコの手が当たってジはゴロゴロと転がる。


「嫌だ……やめて……ごめんなさい……お願い……」


 ソコは頭を振りながら涙を流して同じ言葉を繰り返す。

 これまでも時々悪夢にうなされている時につぶやくように言葉を発していることはあったけれどここまではっきりと繰り返しているのは初めてである。


 どう聞いても尋常ではない。

 声色は悲しげで苦しそう。


「ソコさん、何か見えますか?」


 冷静なのはモーメッマ。

 あまりソコの状態としては良くないが悪夢と深くリンクしている今なら悪夢を見せている相手のことを何か引き出せるかもしれないと思った。


「ごめんなさい……もう許して……」


「ソコさん!

 なんでもいいです、見えるもの、ニオイ、感触、あるいはもっと頭に浮かぶ言葉でも!」


 ソコが苦しんでいるのは分かっている。

 しかしこの苦しみから解放されるためにはソコが何かヒントを見つけ出さねばならない。


「…………埃っぽい……」


 モーメッマの言葉が届いたのかソコの目にわずかに光が戻る。

 泣きながら歯を食いしばって頭に浮かんでくる悪夢を言葉にしようとする。


 悪夢というか、悲しくて重たい感情が頭の中に流れ込んでくるような感覚。

 ぐちゃぐちゃとしてまとまりがなく、そこから何かを拾い上げようと思っても砂をつかむようなものだった。


 悲しげな感情の中にソコは一瞬埃っぽさを感じた。


「部屋……暗い……閉じ込められてる。

 でもここにいなきゃいけない……」


 するといくつかの情報が急に頭に浮かんだ。


「……お願い……殺して……」


「おい、ソコ……ソコ!」


 物騒な言葉を最後にソコがふっと倒れた。

 ジが確認すると息はある。


「良かった……」


「気を失ってしまったようですね」


「……暗いところに閉じ込められてる?」


「そう言っていましたね。

 ソコさんは頑張ってくれました」


 声はかけたものの呪いの影響に立ち向かうのは容易なことではない。

 ソコよりも程度の軽い後遺症ですら耐えきれないような人も過去にはいたのでモーメッマは感心していた。


「ひとまずここを出ましょうか。

 またあのようなことが起きても困りますしここのものはあまり触れてはいけませんので」


「ああ、すいませんバジリトさん」


「いえ、この国の遺跡で見つかったものが原因なのですから大なり小なりこちらにも責任はあるでしょう」


 そんなことで責任なんかないはずなのにバジリトは気を利かせてくれた。

 気を失ったソコをニノサンが背負って遺跡研究所にある医務室に運んだ。


「閉鎖的な空間に監禁されている……ということでしょうか?」


 一応ちゃんとした医者にソコのことを診てもらう。

 体については大丈夫そうなことは確認されたのでとりあえず一安心。


 体は大丈夫でも精神的なショックがあるかもしれないのでソコが目を覚ますまで動かすこともできない。

 改めてソコが頑張って引き出した情報について考える。


 埃っぽい、暗い、部屋に閉じ込められている。

 呪いの相手がどこかに監禁されているような状態であることは間違いない。


 けれどそれは監禁されている相手自身も望んでいるような感じであった。

 許してほしいとか助けてとかそうした言葉も繰り返していた。


 監禁状態で暴行でも受けているのではないかとモーメッマは推測を立てていた。

 けれどそう考えてもおかしなことはある。


 相手も呪いの影響下にあるとしたら呪いによる洗脳状態にあるはずである。

 閉じ込めて暴行を加える理由などない。


 無抵抗が故に殴りつけることもあるかもしれないがモーメッマには理解ができない。


「何にしても……殺してくれだなんて悲しすぎるよ……」


 気絶する直前に口にした言葉。

 自分を殺してくれだなんて口にするのはとても悲しいことだとジは思っていた。


 ジは過去で死にそうなほどツラくて周りに当たり散らすような荒れた時期もあったけれど死にたいと思ったことはなかった。

 どんな時でも死にたくはないと思っていた。


 死にたくなるほど惨めでも、死ねるほどに過酷な状況でも生にすがりついていた。

 なのにこの相手は死にたいと願っている。


 何があったらそんなことになるのだ。

 何がそんなにこの彼か、彼女かも分からない相手を追い詰めているのか。


 ソコも助けたいけどそんなに苦しでいる人も助けたいなと思ってしまうのもジらしいなとニノサンは思っていた。

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