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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第九章

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ご招待1

「招待状?」


「南にあるモンタールシュという国で建国祭が開かれるのですがその食事会への招待状ですね」


「そういえばそんな話していましたね」


 ある日シードンに呼び出されたジ。

 めんどくせえ、お前が来いよと言いたい気持ちを抑えて向かってみるとそこはレストランだった。


 一国の宰相ともなれば良いものを食べている。

 再びタダ飯いただけることになったのでとりあえず不満を漏らすこともない。


 本日の護衛はリアーネ。

 最初は護衛らしく遠慮していたのだけどジがリアーネも一緒にというとあっさり受け入れた。


 今はジの隣で幸せそうな顔をしてお肉を頬張っている。

 ちなみに逆隣ではフィオスも喜びに打ち震えながらお肉を食べている。


 シードンはジに1通の封筒を渡した。

 ただの封筒ではなく豪華な細工の施されたそれだけでちょっとお高そうに見える封筒である。


「人の交流、あるいは盗掘団が意外と財物を溜め込んでいてそれに気を良くしたなんで話もありますが裏では別の目的があるようです」


「別の……目的?」


 聞き捨てならない言葉にお肉を切っていた手が止まる。


「招待するかどうかを検討するにあたって向こうのほうでもジさんについて調査したようです」


 調べられていると聞いて良い印象はない。

 けれど怪しい人を招待するわけにもいかないので調べるのは当然のことであり、ジも理解はできるので調査されたことについては文句はない。


 けれどジについて調べた結果に呼び寄せたい裏の目的を持つなど何があるのだろうかと首を傾げる。


「ジさんの商会についても調べたようでして、こちらを経由して馬車の注文が出来ないかと……」


「あー、なるほど……」


 今現在ジの商会は半ば休業中となっている。

 木材の入手が困難なために馬車を作れないので新規の注文を受け付けていない。


 馬車の修理や振動吸収用のクモノイタの交換などは受け付けているのでお休み多めにして交代で店番をしているぐらいである。

 フィオス商会で作っている揺れの少ない馬車のことを知ったけれど現在新規の注文を受け付けていないことも知ったらしい。


 フィオス商会のことを調べれば当然評判も耳にすることになり、向こうとしても欲しくなった。

 そこでジを招いての直接交渉という裏の目的なのである。


 それがなくてもジを招待するつもりはあったけれど是非とも来て欲しい理由があったのだ。


「そのためにジさんだけではなくお付きの方など人数も緩く受け入れる方針のようです」


 商会として交渉したいのならそうした人員も必要になる。

 ジの商売のやり方からなかなか他国に来てもらって交渉するというのもやっていない。


 接待的な側面もあった。


「ここだけの話、もし招待をお断りになられても商談だけはさせてほしい……などというお願いもありまして」


「そうなんですか……」


「さらに実は国内でもいくつかフィオス商会に関してなんとかならないかと意見もありまして」


「なんとかってなんですか?」


「事情は理解しているから商会の方に文句は言わないようですが木材不足は国の責任で、商品を作るためになんとかしろなんて言ってくる人もいるのです」


「…………そうなんですね」


 そんな苦情があるだなんて知らなかった。

 今まだご予約いただいているお客様はいる。


 どうしても木材が手に入らないのでもう少しお待ちくださいとちゃんと手紙は出していたのだけどまさかそんなところに苦情入れている人がいるだなんて予想外。


「まあ招待を受けるも受けないもジさんにお任せいたします」


 ーーーーー


「ということで旅行に行きます!」


 招待状を開封してみると丁寧な挨拶と共に建国祭に招待することとチラリと馬車を買いたいこと、その接待のためなのか同行者も自由にどうぞと書かれていた。

 みんなで行っていいというのならばもちろんそうさせてもらう。


 だがしかしお店だったり家だったりを長期間無人にはしておけない。

 キックコッコのお世話なんかもあるのでお留守番要員も必要だ。


「ぬぬぬぬぬぬ……」


 渋い顔をしているのはエ。

 もちろん行きたいところなのであるが今現在教会で働いていて、どうしても外せないお仕事がある。


「お土産……」


「なんか買ってくるから。

 そんな顔すんなよ」


 もうちょっと早く言ってくれていたらと思わざるを得ない。


「うーん……」


「ユディットもあれかな?」


 忠誠の騎士としてはどこまででも付いていきたい。

 けれどユディットにも少し事情がある。


 ユディットの弟のシハラが体調を崩して熱を出してしまったのである。

 ジが治療してからというものシハラは元気に過ごしてきた。


 なんでも治療してくれたジに恩返しをすべくシハラもユディットに習いながら剣を振るっているらしいがここ最近の気温の急降下に体調を崩してしまった。

 ケガなどは魔法で治すことができるが風邪などの単純な不調は一時的に和らげることが出来ても完治までさせるのは意外と出来ない。


 昔ながらの温かくして栄養あるものでも食べて大人しくしているのが一番というところに落ち着くのだ。

 けれど以前の例もある。


 体調の悪い弟を置いてもいけないのである。


「まあ今回はリアーネとニノサンに護衛はお願いしてユディットは家の方頼めるか?」


「うぅ……分かりました」

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