表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

502/1258

またまたダンジョン4

「負けらんないからね!」


 そう言ってやる気の燃えるウルシュナの目はジの方を向いている。

 ウルシュナはジに負けてから努力をしてきた。


 自分に自惚れがあったことを自覚したし悔しくてたまらなかった。

 誘拐された時もジは機転を効かせ、諦めることはなく、そして強い敵にも立ち向かった。


 ズルい、と思った。

 正直な話ウルシュナの方が恵まれた環境にいる。


 魔獣だって強いしジに劣るところなんてなかった。

 でもジは強い。


 戦いにおいてだけでなく、人として強い。

 見ると追いつけそうな背中なのに追いつけず、それなのに歩みを緩めて共に歩いてくれる優しさもある。


 勝ちたいというよりも、負けたくないとウルシュナは思っていた。


「俺も負けられないな」


 最初にあった頃は勝てたのに、なんて言うようでは情けない限りだ。

 ジはニヤリと笑うとダンジョンを進み始める。


 トロールブロッサムも時折出てくるようになった。

 ドライウッドなんかと混じったりして厄介度は結構高くなったけれどみんなで連携を取って戦えば危ないことはなかった。


 面白いのはトロールブロッサムも頭だけではなく体に生えていたり、ちょこんと頭に一輪だけなんてこともあったりして様々な生え方をしていた。

 トロールブロッサムの粉末もなんだかんだと袋いっぱいに溜まった。


「階段……それに階段を守る魔物か」


「中ボスってところか」


 ウロウロと地図を埋めながら進んでいくと階段のある部屋に着いた。

 階段の前には魔物がいた。


「なんか気持ち悪い……」


 エが顔をしかめる。


「うん……私なんかイヤ」


 それだけではなくウルシュナやリンデランもイヤそうな顔をしている。

 表情には出さないけどみんなその魔物の造形に不快感を覚えている。


 言うなれば巨大な口。

 口の周りを覆うように触手のようなツタが生えている。


 そしてさらに細いツタの先にギョロギョロと動く目のようなものが付いているものも何本も見えていて、非常に気持ち悪いのだ。


「ボリヴィーってやつかな?


 私も噂でしか聞いたことないけど」


 流石のリアーネもイヤそうな顔をしている。

 一体何があったらあんな魔物生まれてくるんだと思う。


「どんな魔物?」


「んー、あんまり知らないんだ。


 麻痺にしてくるとか、人食べちゃうとかそんな感じ」


「そっか」


 けれど戦わないことには階段にも行けなさそうだ。

 リアーネとユディットが前に出る。


 複数ある奇妙なボリヴィーの目が2人を見つめる。


「うわぁ……」


 思わずジも声を漏らした。

 ボリヴィーが口を開けると粘液がねちゃりと糸を引いた。


 大きさは人よりも二回りほど大きなぐらいのサイズでリアーネとユディットはそれぞれ左右に回り込むようにゆっくりと移動する。


「リアーネ!」


 ボリヴィーが動き出した。

 ツタを巧みに足のように動かしてリアーネに向かって走る。


 意外と速くてあっという間にリアーネと距離を詰めたボリヴィーはツタを振り下ろす。

 リアーネの胴体ほどの太さもあるツタが風を切り裂いてリアーネに向かう。


「はっ!」


 リアーネは剣を振るってツタを切り飛ばす。

 けれど2本、3本と怯むことなく次々とリアーネにツタが襲いかかってくる。


 リアーネはツタの1本を剣で受ける。

 あえて踏ん張らずに吹き飛ばされることで距離を取ろうとしたけれど思いの外ツタの威力が高くて想定よりも勢いよく飛んでいく。


「俺もいるぞ!」


 ボリヴィーの後ろからユディットが迫る。

 背中から切り付けてやろうとしたけれどボリヴィーのいくつもある目はちゃんとユディットも見ていた。


 横殴りに振られたツタをユディットが飛び退いてかわした。

 速いし目がいくつもあるせいか視界が広くて隙もない。


 けれどどんな感じの戦いなのかは分かった。

 ジもフィオスを盾にして前に出る。


 リアーネ、ユディット、ジでボリヴィーを囲むように陣取る。

 注意を分散させて戦う。


 申し訳ないけどウルシュナはお休み。

 初めての相手だしリスクが高い。


 ギョロギョロとボリヴィーが目を動かして3人を確認する。


「会長!」


 弱そうなのはジだと判断したボリヴィーがジに襲いかかる。


「ここは……フィオス、ソードモードだ!」


 ジはフィオスを剣にする。

 片手にはすでに魔剣であるレーヴィンを持っている。


 つまりフィオスが剣になることでジは両手に剣を持つことになった。

 集中を高める。


 様々な角度から襲いかかってくるツタ。

 剣1本だったら対処も難しかったかもしれないがジは両手に持った剣を素早く振ってツタを切る。


「ジ君、すごいです!」


 ジがレーヴィンばかり多用しているとちょっとつまらなそうな感情をフィオスが持っていることにジは気がついた。

 しかしやはりフィオスは切り札であり、この先もレーヴィンをメインに使っていくことにはなる。


 なのでちょっと考えてみた。

 別にレーヴィンを使いながらフィオスも使えやしないかと。


 たどり着いた答えが双剣だった。

 レーヴィンは魔剣で切れ味が高いのに意外と軽い。


 片手で扱うにはまだ辛いところはあるけれどなんとか扱えなくもない。

 フィオスも最近すっかり高い切れ味を誇る剣になれるようになった。


 その上戦っていても切れ味をすぐに復活させられる最高の剣でもあるしフィオスソードも結構軽量。

 剣として共に戦うとフィオスも嬉しいらしく日頃ちまちま練習していた成果をここで披露する時がきた。


 ただまだまだ未熟な技術。

 最初は勢いが良かったけどすぐにツタに剣の回転が追いつかなくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ