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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第八章

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ダンジョン調査3

 ただちょっとビヨンビヨンさせていると楽しいのは内緒である。

 しなやかさがありながらも丈夫で釣竿になんかも使えそうである。


 川も頻繁にいくところじゃないから釣りの経験もそんなにないけれど。

 とりあえず魔物の素材は売れるかもしれないから持っていく。


 ダンジョンから出てくる素材は一般に魔物を倒した時よりも採れる量は確実に少ないのだけどその代わりに傷や品質の劣化がないと言う利点がある。

 もう少し進むとまたドライウッドが出てきた。


 今度は2体。

 リアーネが下がってジとニノサンで前に出る。


 相変わらず一定の範囲に近づくまで動いてこず、接近すると枝を振り下ろしてきた。

 近くで見てみると振り下ろしも意外と速く感じるけれどまだ余裕はある。


 魔力感知でもほとんど普通の木と変わりないのでいきなり後ろから奇襲されたら大変かもしれない。

 ジもニノサンもあっさりとドライウッドを倒して枝が落ちる。


 このぐらいならリンデランがいても余裕がありそうと思いながら進む。


「おっ、おおっと!」


 広めの部屋に出た。

 今度は部屋の中にドライウッドではない別の魔物がいた。


 床からツタのようなものが伸びていてその先に大きなツボミみたいなものが生えている。

 なんだろうと思っているとツボミがジの方に向いて中から何かが勢いよく飛び出してきた。


 距離があったので慌てながらもジはそれをかわした。


「なんでしょう……?」


「ニノサン、後ろ!」


「おっと……危ないところでした」


 壁にぶつかって砕け散ってしまったのでそれが何なのか分からなかった。

 なんとなく破片を覗き込んだニノサンにまた魔物が何かを吐き出した。


 部屋に入って正面にいた魔物は見えていたが入ってきてすぐ横の部屋の角にいた魔物のことを見逃していたのだ。

 振り返りざまに剣を振って魔物が飛ばしたものを切り落としたニノサンは口でいうほど危なげがあったようには見えなかった。


「先に魔物を倒してしまおう!」


 少し萎んだように見えたツボミがまた膨らんでいる。

 次のものを飛ばそうとしていると気づいたジは飛んでくるのがなんであれ先に魔物を倒すのが優先だと判断した。


「リアーネ、そっちを!


 俺はこっちをやる!」


 ジが正面のツボミに、リアーネが部屋の隅のツボミに向かう。

 再びポンとジに向かって何かを飛ばしてくる。


「ほらよ!」


 ただ何であっても直線的に硬い何かを飛ばしてくるというだけなら恐ることもない。

 ジは腕に装備したフィオス盾でその何かをツボミに向かって弾き返した。


 自分の飛ばしたものが返ってくるなんて思ってもない。

 ゴンと鈍い音がして弾き返したものがツボミに当たってツボミはぐらりと揺れた。


「ほっ!」


 そしてジはその隙にツボミが繋がっているツタをスパッと切り裂いた。

 手応えの感じでは固くもない。


 比較的簡単に切り裂けた。

 倒した後を見てみるとコロコロと茶色いものが転がっていた。


 そして魔物が飛ばしたものを見てみるとそれも同じものであった。


「タネ……ですかね?」


 パッと見た感じではなんなのか分かりにくい。

 ドロップ品の方は安全だとニノサンが拾い上げてみる。


 どうにもタネっぽい。

 しかしジもこれをどうするのか分からない。


 まさか地面に植えればこの魔物が栽培でも出来るのだろうか。


「こいつは油だな」


「油?


 割ったら中が出てくるのか?」


「んーにゃ。


 細かく刻んで強く圧力をかけるんだよ。


 そうするとこのタネの身の中から油が採れんだよ。

 これ一個でも結構絞れるしなんか良い油らしいぞ」


 魔物に関してはリアーネの方が物知り。

 珍しくジに知識を披露できるのでリアーネも鼻が高そうである。


 人の頭ほどもあるのでかなりデカいけど油が採れるなら有用そう。

 これも持って帰る。


 植物系の魔物ってやつはあまり強くないけどクセがあるものが多いとジは思った。

 やはり動物系の魔物に対しては純粋な能力的に勝てないから独自の進化も遂げてきたのだ。


 あと割と植物系の魔物の素材って優秀だったりする。

 食べられたり加工して利用したりと使い道があるものも色々あるのだ。


 魔物が飛ばした方のタネは魔物判定らしく消えてしまった。

 今度は道が一本しかないのでそちらに進んでいく。


「ちょっと凶悪になってない?」


「なんだかトゲトゲしいと言いますか……先が尖ってますね」


 またドライウッドかと思ったらなんか少し違うものが通路に立っていた。

 何が違うと聞かれたらちょっと困るのだけどなんだか枝の先がとんがっているように見えた。


 先ほどまでいたドライウッドよりも全体的に先が細くてシュッとしている。


「気をつけてよ……?」


「分かってるって」


 リアーネが前に出ていく。

 万が一のこともあるのでいつでも助けに入れるようにしながら魔物の様子を伺う。


「突き……!?」


 ドライウッドは枝を振り下ろすだけだった。

 しかしこの木は先の尖った枝を勢いよくリアーネに向かって突き出した。


「ニードルウッドってやつだな」


 リアーネは剣の腹で枝の突きを防ぐと枝を強く振り払って幹を切り裂いた。


「ほとんど同じに見えましたけどね」


「まあ多分ほとんど同じだけど攻撃方法で違いを出してきてんだろ。


 でも刺された方が多分痛えわ」


「確かに突きの方がやられた時にケガを負ってしまいそうですね」


 ニードルウッドも枝をドロップした。

 ただこちらは先が尖っていてこれで突かれたら痛そうな感じであった。


 突くためなのかドライウッドのものよりもしなやかさがなくて固い感じがある。

 ジの個人的な感想ではドライウッドの枝の方が好みだった。

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