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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第八章

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トリ頭とは言わせない3

 倒せずともこのまま優位を保って戦えばリアーネとユディットが駆けつけてくれる。

 

「……マズイ!」


 一応魔力を感知してパムパムの方も気にはしていた。

 パムパムはウェアウルフの爪をかわして蹴りを繰り出して反撃していた。


 ウェアウルフの方もパムパムの蹴りをかわして互いに激しい攻撃の応酬を繰り広げていたのだがウェアウルフがその戦いに焦れてしまった。

 狙いを集まって怯えているキックコッコに変えた。


「コケー!


 コケェーーーー!」


「パムパムー!」


 キックコッコに迫るウェアウルフ。

 パムパムは地面を蹴ってその前に翼を開いて立ちはだかる。


 パムパムの胸がウェアウルフの爪で切り裂かれる。


「くそッ!」


 ジは踏み込んで大きく剣を振る。

 素早く鋭い横振りにウェアウルフが後ろに飛んで剣をかわす。


 その瞬間身をひるがえしてパムパムの方に向かう。


「パムパムから離れろ!」


 パムパムにトドメを刺そうとしているウェアウルフに背後から切り掛かる。

 もう1体のウェアウルフが声を上げ、後ろからジが来ていることを伝える。


「無駄だ!」


 真剣にさらに魔力を込めて、魔法すら切り裂く斬撃を生み出す。

 ウェアウルフの悲鳴が響く。


 ジが振り下ろした剣はガードしようとしたウェアウルフの左腕を切り裂いた。

 そのまま仕留めたかったが後ろからウェアウルフが迫っていた。


 ウェアウルフの爪を振り返りながら剣で受ける。

 腕を切られたウェアウルフはそのまま下がる、かと思った。


 けれど切られたウェアウルフはとっさに怒りを覚えた。

 痛みもあるが邪魔をしてくれる人間に対して攻撃を選んだのだ。


 慎重にならねばならぬ。

 そう思ったばかりなのに判断を誤った。


 下手に力を抜けば今爪を防いでいるウェアウルフに押し切られ、回避行動を取らないと腕を切られたウェアウルフにやられる。

 上手い行動が思いつかない。


 迫り来る痛みに覚悟を決めた瞬間だった。


「コケーーーー!」


 切られたウェアウルフの爪がジに当たりかけた瞬間横からパムパムが強烈な蹴りをくらわせた。


「パムパム!」


「コケッ!」


「フィオス!」


 胸を切り裂かれたパムパムだけど致命傷なほど深い傷ではなかった。

 その時キックコッコの治療を終えたのかフィオスが跳ねてくるのが視界の端に見えた。


 ジはフィオスを手元に召喚して並び立つパムパムの胸に押し当てる。

 教会印のポーションをマネできるフィオスがパムパムの胸に張り付く。


 ジワジワとパムパムの傷が治っていく。


「……パムパム、協力するぞ」


 1人じゃ倒すのは難しい。

 戦っていて多少の慣れてきたしフィオスも戻ってきたので倒せないこともなさそうだけどまたキックコッコを狙われたら厄介である。


「パムパム、こう……いいな?」


 腕を切られたウェアウルフは非常にお怒りの顔をしているが真正面に構えてしまうと意外とどちらから動くべきかの探り合いになる。

 その間にジはこっそりとパムパムに作戦を伝える。


「コケ」


 横でパムパムがうなずく。


「行くぞ!」


 ジとパムパムが先手を打ってウェアウルフに向かって走り出す。

 狙うのはもちろん腕を切られた方のウェアウルフである。


 パムパムが先にウェアウルフに蹴りかかる。

 腕を切られて動きは鈍くなったけれどウェアウルフは上手く蹴りを回避する。


 しかしそこにジが出てきて追撃する。

 ウェアウルフの胸が浅く切り裂かれて血が飛ぶ。


 キックコッコの悲鳴が上がった。

 相手はウェアウルフ1体だけではない。


 無事な方のウェアウルフがいて仲間がやられるのを手をこまねいて見ているはずがないのだ。

 パムパムの後ろから襲いかかるウェアウルフにキックコッコたちが悲鳴を上げたのである。


 パムパムは体を反転させて、翼を広げ、ウェアウルフの爪に再び切りつけられた。


「コケェー!!!!」


 しかしウェアウルフの予想通りにはいかなかった。

 帰ってきた手応えは固く、次の瞬間にはパムパムに顎を蹴り上げられて体が浮き上がった。


 パムパムは飛び上がって高くバク宙するように蹴りを繰り出した。

 翼を広げて空中でクルリと後ろに回転するパムパムの下からジが飛び出した。


 蹴り上げられて空を見上げるウェアウルフには何が起きたか分からなかっただろう。

 ジの剣がウェアウルフの胸を突き刺した。


 そしてジの後ろに着地したパムパムは素早く体を反転させながら蹴りを繰り出して迫っていた腕を切られたウェアウルフの顔を蹴りつけた。


「遅れてすまないな!」


 蹴られてぶっ飛んだウェアウルフを駆けつけたリアーネが一刀両断する。


「……でも助けもいらなかったみたいだな」


 ジが剣を抜くとウェアウルフはゆっくりと後ろに倒れた。


「ま、俺だってやるときゃやるのさ!」


 過去のジだったら勝てなかっただろう。

 しかしグルゼイの厳しい鍛錬に耐えて色々な経験をしてきた。


 ジだって確実に成長しているのである。


「フィオス」


 ジがフィオスを呼んだ。

 パムパムの胸に張り付いたフィオスがまた丸くなってジに跳ね寄ってくる。


 また胸を切り裂かれたに見えたパムパムだけどパムパムの胸にはフィオスがくっついていた。

 治療のためにくっつけたのだけどそのままくっついていてもらうことでウェアウルフの不意をつこうとジは考えた。


 パムパムの胸で金属化したフィオスはウェアウルフの爪を防いでくれた。

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