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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第七章

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驚きの再会4

「そ……そう」


 全く冗談でもなさそうな顔をして真剣に語るニノサンにジも照れていいんだか、引いたらいいんだか分からない。


「いつか父は言いました。


 お前は真面目すぎるから自分1人で身を立てるのは難しいが騎士は向いている。

 その真面目さを生かしてくれる主人を見つけろと」


 きっともっと良い人いるよと思わざるを得ないが何を言っても通じなさそうだから黙っておく。


「なぜか領主様には魔法による誓いを立てる気にはならなかったのですがこのためだったと今なら思えます!」


「……お待ちください」


「何ですか?


 そもそもあなたは一体何者ですか?」


「私は会長の第一の騎士です。


 聞けば元々敵だったらしく会長にこっぴどくやられたようですね」


 別に運良く勝利、というか撃退できただけでこっぴどくやられたなんて事実はない。


「隙を狙って復讐するつもりかもしれません。


 あなたことを信頼できません。


 私には会長をお守りする義務があるのです!」


「なるほど……その心意気、感心いたします!」


 対抗心メラメラなユディットだけどニノサンはむしろそんなユディットの騎士としての態度に感心していた。

 それでこそ騎士。


 そしてユディットのような忠誠の騎士を抱えるジの人物評価がさらに上がる。


「ですが認めていただかねばなりませんね」


「どうしたって認めませんよ」


「こうした時のやり方は昔から決まっています」


「へぇ?」


「決闘です!


 私が勝ったら認めてもらいますよ」


「受けて立ちますよ!」


「おい、そんなことは後にしろ。


 ジ、来るんだ」


「俺ですか?」


「俺の弟子だからな、話を聞く権利がある」


 一触即発の空気の中、ジの騎士になるかどうかでユディットとニノサンがバチバチやり合っている。

 ニノサンの実力は高い。


 最近成長中のユディットではあるが流石に敵わない。

 ユディットやめとけと言う前にグルゼイが部屋に入ってきた。

 

 呼び出されたのでひとまずユディットとニノサンは衝突は避けられた。

 グルゼイについていくと船長室に漁業ギルド救助部隊を率いる人やバルダーを含めた異端審問官の偉い人、救助された船の船長や商会長などが集まっていた。


 そこにグルゼイとジ、ジの護衛としてのユディットと今回のことで大きな働きをしたニノサンも呼ばれていた。


「正体不明の襲撃者か」


 話し合われるのは救援を出すことになった原因について。

 話し出した商会長によるの襲ってきたのは知らない魔物であったという。


 海で活動することも多く、色々な魔物を見てきたけれど初めて見る魔物でもちろんこのあたりの海域でも見たことがない魔物だった。


「しかも魔物は強かったです。


 力もあるしある程度の再生力もあるみたいでした」


 形態としてはマーマンに近い二足歩行の魔物であったがマーマンよりも人間に近いような姿をしていた。

 鱗の生えた人間だが体は妙に膨らんでいるように大きくて力も尋常ではなく強かった。


「なんの前触れなくいきなり海から飛び出してきて……こちらも応戦したのですが相手の方が強かったのです。


 さらにはあいつら我々の仲間をさらっていったのです」


 戦いの時のことを思い出して船長が悔しそうに唇をかんだ。

 魔物たちは倒した船員たちを海に投げ入れてどこかに連れていってしまった。


「ニノサンがいなければ全滅していた可能性もあります」


 ここで活躍したのがニノサンだった。

 獅子奮迅の働きで魔物を倒し、みんなを救った。

 

 その後もう一度襲撃にあった時にはニノサンを中心に戦った。

 ただ人は守れても船までは守りきれなかった。


 なんと魔物は仲間が戦っている間にマストをへし折ってしまったのだ。


「3度、4度と襲われれば耐えきれないことは目に見えていました。


 そんな時にニノサンが魔法でバリアを張ってくれたのです」


 ケガ人も多くて戦闘も航行も厳しい。

 船から救援要請だけを慌てて出してニノサンが船全体を魔法で守って魔物の侵入を防ぐことにした。


「もう少し到着が遅れていたら魔力が尽きていました」


 バリアを攻撃することもあったがなんとか耐え切って船は漂流していた。

 潮の流れから目的地に近づいてはいるので救援要請を受け取れば助けにきてくれる希望はあった。


 本当ギリギリのところで間に合った。

 自分の働きがピックアップされてニノサンが誇らしげな顔を浮かべてユディットを見る。


 ユディットもムッと悔しそうな顔をする。

 まあ、能力の高さは認めざるを得ない。


 けれどこんなところにまで遺恨を持ち込むのは良くないぞとジは小さくため息をついた。


「その魔物の死体は保存していないのですか?」


「見たこともない魔物でしたので持ち帰るつもりでしたが急速に腐ってしまいまして。


 臭いもひどく、ケガ人がスペースを圧迫していましたので致し方なく海に投げ捨てました」


 調査してもらうつもりはあったが魔物はあるかに早い速度で腐り始めて、ひどい腐敗臭を漂わせた。

 置いておく場所もなければケガ人の衛生状況も心配されるので魔物を持っていくことは断念してしまったのであった。


 こんなことなら生きて捕らえられればよかったがそんな余裕もない。

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