表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

424/1258

過去には知らぬ闇1

 異端審問官が所属しているのは異端審問部と呼ばれるところで元々は普通の宗教の一部門であった。

 規模が大きくなってその宗教から独立したものが現在の異端審問部である。


 様々な紆余曲折はあったけれど今は魔神崇拝者や悪魔を追いかける宗教団体という扱いになっている。

 そのために他の宗教のように各都市に教会などの活動拠点がある組織ではない。


 首都には大神殿があるが異端審問部は大神殿にもなく町中に別の拠点を持つ。

 当然ボージェナルにも異端審問部の拠点はない。


「色々な形はありますが長く活動するなら借りてしまう最初から大きなところを借りてしまうのが楽ですから」


 ひとまず仕事の処理が終わってウィリアについて異端審問官たちが拠点としている家に来た。

 大きな邸宅だが別荘地で使わない間は貸し出しているところを異端審問部で借りている。


 長期的に使うなら最終的には宿より安上がりで人目を気にすることもなくていい。

 異端審問官も人付き合いが悪い人が多いので町中の宿より少し外れたところにある家の方が気が楽なのだ。


 もっと長期的に活動するなら家を買ってしまうこともあるし小規模ならどこかの教会にお世話になることもある。


「すいません……みなさんお茶なんて飲まないからお酒か水しかなくて……」


「お構いなく」


 それなりに大きなお屋敷なのでちゃんとした貴賓室がある。

 貴賓室に通してもらったグルゼイとジの前に水の入ったコップが置かれた。


 飲まないし来客も基本的にないから紅茶の茶葉を置いておくこともない。

 ただお客さまに何も出さないのは心苦しいので水を出した。


 子供がいるのに酒は出せない。


「では状況をご説明しましょう」


 グルゼイとジの前に座ってウィリアが説明を始める。


「私たち異端審問官が魔神崇拝者や悪魔を追っていることはご存知かと思います。


 常に情報に気をつけているのですがここ最近魔神崇拝者の活動が活発化しているとみられる地域がありました」


「それがこの国か?」


「いいえ、この国の隣にある帝国です」


「帝国だと?」


「そうです。


 実は帝国領内で魔神崇拝者の怪しい動きがあると情報をキャッチしたんです。


 ですが帝国は我々に非協力的で……」


 普通の国は異端審問官も要請を断らない。

 魔神崇拝者を追いかけるという大義名分があるし他の宗教も異端審問部を支援している。


 断れば魔神崇拝者との関わりを疑われるし支援している宗教との軋轢も生まれる。

 だから疎ましく思いながらも己の潔白を晴らすためにほとんどの国は異端審問部の調査を受け入れるのだけど中には一切の協力を断る国もある。


 それが帝国であった。

 帝国は皇帝が神の子孫だとする思想があって、他の宗教を受け入れないわけではないが好きにはさせない。


 なので調査をしたいと異端審問部で申し入れを行ったのだけど受け入れられなかった。


「一部の先輩方はこっそりと調査しているんですが成果は思わしくなくて。


 そこで周辺国でも調査を行うことにしたのです」


 帝国に魔神崇拝者がいることの明確な証拠でも見つかれば帝国だって異端審問官を受け入れざるを得ない。

 帝国内だけでなく周辺でも活動していると踏んで調査を続けていた。


「そこでこの国でも魔神崇拝者が活動している可能性があることも掴んだのです。


 他の国でも確認されたのですがどうにもこの国での活動が活発になっているようで我々も色々と調べていました。


 そんな時に内紛が起きてしまったんです」


 最初のキッカケはリンデランたちが誘拐された事件。

 犯人は死んでしまって魔神崇拝者の追跡も出来なかったがより詳細な調査を行うことを決定するには十分であった。


 異端審問官は中立だ。

 国の政治には関わらない。


 戦争の中で無理矢理調査を続ければ意図せずどちらかの勢力に与することになってしまうかもしれない。

 戦争が終わるまで異端審問官は引き上げるつもりだった。


「しかしその内紛のおかげでむしろ魔神崇拝者が炙り出されました。


 色々あったようで……私は担当ではないので知らないのですが子供が誘拐されたとか」


 その話はもちろん知っている。

 なんならジやグルゼイは当事者だったりする。


 ビッケルン領地での事件でこの国でも魔神崇拝者が影で活動していることが確実となった。


「相手も巧みに情報を隠していて中々尻尾を掴ませません。


 ですが調べる中で魔神崇拝者の目的が単に隠れて活動するだけでなくこの国を揺るがそうとしている可能性があることも分かったのです」


「この国を揺るがすだと?


 乗っ取ろうとでもしているのか?」


「まあ、こちらの予想も入っているので確実なことは言えません。


 ですが国が荒れれば活動はしやすくなりますし魔神崇拝へ人を引き込みやすくもなります」


 かつて戦争を誘発してその隙に信者やお金を集めたなんてこともあった。

 最終的にそんな目論みがバレて国民が1つになって魔神崇拝者は倒されたがそのような思惑があっても不思議ではない。


 ジも驚いていた。

 過去ではあまり魔神崇拝者の話を聞かなかったから魔神崇拝者と異端審問官が動いている話は衝撃的だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 今まで指摘はしませんでしたが、誤字脱字はこの話まで沢山ありました。 今回は1回の説明内に連続して似たような言い回しや首をかしげたくなる言い回しがあったりしたので報告します。 まぁ、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ