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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二章

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騎士の誓い8

「おかえり!」


「おかえり〜」


 家に帰るとタとケの双子が出迎えてくれる。

 あの事件以来双子にも固定の家と保護者が必要ということになり、ジの家に居着くことになった。


 言うほど年齢も変わらないジが保護者扱いでいいのかと思ったが下手な大人に任せるよりよほどいいだろうと大婆がジの家に住むように双子に言ったのであった。

 双子もジの家ならばと二つ返事で住むことになり、ジも双子のことは放っておけないので住まわせることに承諾した。


 ちゃんとした家に住むようになって双子は料理に目覚めていた。

 平民のおばさんが営んでいるちょっとした飲食店みたいなところで双子はお手伝いをしていて、そこで料理も教えてもらっていたりした。


 ジに感謝の気持ちを伝えたくて練習していた結果幼いながら料理の腕は上達してきて、中々楽しいということに気づいてしまった。

 今では双子も看板娘と並んで料理人もちょっとやらせてもらったりなんかしていてお店はそれなりに繁盛している。


 平民の料理は素早く無駄なく美味く失敗なくなのでお手軽で双子でも作れちゃうものも多い。

 お金はジ持ちなのだがお礼の気持ちと言われ、料理をするのが楽しそうな2人を見ているとジも断れない。


 ジはあまり料理する方ではないのでキッチン周りは綺麗にしても寂しいものだったのだが、飲食店でもらってきたお古の道具やおねだりに負けて買ってしまった道具で充実してきていた。


 ジも負けてお金を出していたのだがそれよりも財布の紐がゆるゆるになっている人物がいた。

 グルゼイである。


 ジの家に住み着いているのは双子だけではなくグルゼイも一緒に住んでいた。

 つまり今はグルゼイとタとケの3人が居候しているのである。


 そしてこの双子はとんでもないのだとジは改めて思った。


 少々見た目が厳つめで、人を近寄らせない雰囲気を放っていたグルゼイだったのだが、双子は全く物怖じしないでグルゼイグルゼイと近づいていった。

 料理が好きで同じ家にいるのだから当然食事の時にグルゼイも呼ぶし、小さい家では顔を合わせないなんてことの方が難しい。


 父性とでも言うのだろうか。

 グルゼイの中に双子を愛おしく思う気持ちが生まれてしまった。


 愛される才能が双子にはある。

 ジのマネをしてグルゼイのことをシショーと呼んでもグルゼイは怒りもせず顔を綻ばせたりもするようになった。


 こうなってしまうと完全にグルゼイは双子に堕ちてしまっている。

 包丁や鍋などの調理器具や調味料まで買ってあげたり、はては一緒に買い物まで付き合う始末。


 保護者となってくれているので問題はないのだが思いもよらない変化にジはグルゼイの態度を中々受け入れ難くあった。

 そのくせ鍛錬では自分に厳しいのだから文句も言いたくなる。


 ただまああんまり強くジを扱きすぎると双子に嫌われてしまうので少しだけ優しくなったりはしている。

 双子の中での優先順位はジの方が高いようだ。


 過去で会ったときにはこんな出会いも経験してなかったのでグルゼイはもっと偏屈で頑固な爺さんになっていた。

 抱くイメージと違うので混乱するけれど悲しい孤独な爺さんでいるよりも遥かに今はいいので何も言うまい。


 双子としても親は恋しいのだろう。

 覚えているかは別にして母親や父親のような優しい愛に飢えた側面があることは否定できない。


 グルゼイを父としてるか、祖父としているかは分からないけれどそうしたところに重ねてみていることは確かだ。

 とりあえず兄ではないだろう。


 それは自分の役割だとジは思う。


 グルゼイは甘いだけでもない。

 みな双子には甘いのだけれど叱って怒る大人はほとんどいないのであるがグルゼイは普段は双子に甘くても怒るべき時は怒る。


 だからこそ親のように感じる思いが強いのかもしれない。


 今のところこの奇妙な同居関係は上手くいっている。

 ただ全く問題がないかと言えばそうでもなかった。


 双子がご飯を作ってくれて夕食は終わり。

 日が沈めば監視の目が緩み、悪人が動き出すので特に子供は外出を控える。


 ランプなんてものを使っていられる余裕はジの家にはない。

 油を燃やすランプはあるのだが非常時用なので普段は使わず、家の中は夜には真っ暗になる。


 魔道具のランプは高くて買えない。

 過去の経験からするともっと先の時代になればお安くなるが、今はまだジには手が出せない。


 どうしてもというならロウソクに火を灯して夜を過ごすことはある。

 寝てしまった方が安上がりなのでジはそうしている。


「今日もいい?」


 潤んだ瞳でそう言われるともう断れない。


 あの事件はケに大きな傷跡を残した。

 体ではなく心のほうにである。


 暗いところに閉じ込められてしまったせいなのか暗闇が怖くなってしまった。

 なので助けに来てくれたジもいないと眠れないようになり、毎晩当てがわれた部屋ではなくジの部屋に来るようになっていた。


 片方がいるということはもう片方もいる。

 タだけではダメでジまで居てなんとかケは落ち着いて寝られるらしい。


 しかも暗闇がダメで明かりが欲しいというのでロウソクにも火を灯している。

 寝ている時にロウソクを付けっぱなしにするのは危ないので2人が寝るのを待っていつもジが消しに行っているのである。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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