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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第六章

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閑話・フィオスと実験と居場所1

「実験します」


「はい、実験!」


 ある日授業のないキーケックを助手として斜め向かいの実験ハウスにジはいた。


「そして本日のゲストはフィオス!」


「フィオス!」


 実験のための分厚くて丈夫なテーブルの上にプルンとフィオスが乗っている。

 今日の実験の目的はフィオスについて知ること。


 スライムについての調査である。


「まずは本を読んでやってみてたことがあるんだ」


「本?」


「そ、初めて会った時にスライムのことが知りたくて本を探していただろ?


 その本の作者はスライムを知りたくて色々試してみてたようなんだけど面白そうな記述があったから俺も試してみたんだ」


 本の中身を読んでなるほどと思った。

 その前兆というか、やれそうな気配はすでにあった。


 ジは大きな桶を用意するとその中にフィオスを入れる。


「フィオス、ポーション製造だ」


 かつてスライムを飼って研究していた研究者がまとめた魔物の生態についての本。

 この中に書いていたもので結局最後まで検証することができなかった仮説の1つ。


 ある時少し家を空けた研究者。

 帰ってくるとスライムがいなくなっているので探してみるとスライムは研究室にいた。

 

 その間にスライムは部屋を抜け出して何を思ったのか研究室に入り込んだのだ。

 そして床に散らばるガラス片。


 どうやったのかは知らないけれどテーブルの上に置いていたビーカーを落として割ったようだった。

 しかし床にはガラス片以外中に入っていたはずの薬剤は見当たらない。


 スライムが吸収してしまったみたいだった。

 思い起こしてみると危険な薬剤でもないのでガラス片を片付けてその時は終わりにした。


 それからしばらく経ってスライムが薬剤を飲み込んだことなど忘れていた研究者は突然転んだ。

 研究所でもあり自宅でもある室内で思い切り倒れるように転んで腰を打ちつけた。


 段差なんかなく転ぶ場所ではない。

 何かぬるっとしたものを踏んで滑ったのだ。


 腰をさすりながら床を確認するとそこには液体。

 全くもってこぼした覚えもない液体が床にこぼれていた。


 その時は分からなかった。

 気づかぬ間にこぼしたのかもしれないとスルーした。


 だけどたびたびその液体は床にこぼれていた。

 それでようやく疑問を持ち、原因を考えた。


 記憶をいくら辿ってもそんな液体こぼしていない。

 ふとスライムが目に入った。


「だけどその研究者は結局スライムがやったって特定まではできなかったみたいだけどね」


 自分の魔獣でもないスライム。

 どんな条件下で液体を出しているのか立証することができずスライムがやったと特定できなかった。


 ただまあ研究者の家には研究者の他にスライムしかいないのでスライムだろうと書いてあった。


「そして俺はこれがフィオスにもできるのだと思ってる」


「どうして?」


「そりゃ金属のマネ出来るんだから液体のマネも出来るだろうっちゅうわけよ」


「……たしかに。


 分からなくない」


 フィオスに金属を食べさせると体を金属のように変えられるようになった。

 ならば特定の効果を持った液体を食べさせると体をその液体に変えられるのではないかと予想した。


 つまりその液体をフィオスは生産できる、はず。


「ということでたまーに教会行ってポーション買ってフィオスに飲ませてたんだ」


「なんというブルジョア……」


 本当にできるか分からないのに教会製のお高いポーションをフィオスに飲ませていたという話にキーケックビックリ。

 そんなこと普通の人はやらないし研究機関でも許可が降りるはずもない。


「フィオスは俺の魔獣だからな、やってくれとお願いすればやってくれるさ。


 ……出来るならな」


 もし出来なくてもそれが出来ないと分かることは進歩である。

 これまでに使ったポーション代は痛いけど出来ないことが分かれば切り替えて次に行ける。


「ふうむ……でも何かでてる」


 そうしてフィオスに任せて桶を眺めていたジとキーケック。

 ジワリとフィオスの体から液体が滲み出てきていた。


「おおっ……」


「まさか本当に?」


 見てると少しずつ液体が増えていく。

 ただそのペースは圧倒的に遅い。


「どう?」


「んー……多少は」


 桶を傾けてようやく少しだけチャポリと隅に溜まるぐらい。


「えいっ!」


「痛い!」


「いや、切ったの自分の指だから」


 ジはナイフで指先を切った。

 それを見てキーケックが顔を青くする。


 何もキーケックの指を切ったのではないのに。

 浅く切った指先から血が滲む。


「それとって」


「ん……」


 小瓶を受け取る。

 キーケックに桶を斜めに支えてもらって小瓶に液体を掬う。


 液体の透き通った緑の見た目は教会の質の高いポーションと良く似ている。

 それを切った指先に垂らしてみる。


「ポーションだぁ」


 ジの指先の傷がスーッと治っていく。

 青い顔をしていたのが一転キーケックが目を輝かせる。


 ギュッとジの手を取りマジマジと観察する。

 治りが早く治った後もとても綺麗。


 安いポーションならもうちょっとゆっくり治るものだけど高いポーションはこれぐらいの傷ならかなり早く治る。


「とりあえず治療の効果はあることは確認できたな」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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