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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第六章

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食うか、食われるか10

「な、ヘギウス伯爵様!?」


「む?


 お主が責任者か?


 変異体の魔物が現れたと聞いて急ぎ駆けつけた」


 降ってきた人はパージヴェルであった。

 相変わらずド派手な登場だが馬を使うよりも早く現場に急行する方が大事だと思ったので全速力で駆けつけてくれたのだ。


「それでしたらあちらに」


「あっち……なんだあれは?


 …………ジ?

 ということはあれはフィオスか」

 

「ご存知なのですか?」


 むしろキャラッグにはフィオスというのが何か分からずゴブリンを包み込むスライムのことだと遅れて理解した。


「ジ!」


「ん……?


 あ、パージヴェルさん」


「こんなところで何をしている?


 いやこの状況はなんだ?」


 パージヴェルはゴブリンに目を向ける。

 未だに手をバタバタを動かしているゴブリンの首をユディットが切る。


 するとまた胴体が溶け出してゴブリンは再生を始める。

 ジ、ライナス、ユディットで交代交代でゴブリンの首を切り落としていた。


 今は3人に任せているけれど周りの騎士や兵士はゴブリンに異常があったらすぐに飛び込めるようにピリピリしている。


「意地のぶつかり合い……みたいなもんですかね?」


 フィオスからのやる気が伝わってくる。

 倒してやるとフィオスも思っているようでせっせとゴブリンを溶かそうとしている。


「何があったか説明してもらってもいいか?」


「俺じゃなくてあっちに聞けばいいのに……」


「知り合いの方が聞きやすかろう?


 それに例え厳しい状況であっても部下が死んでしまったなど報告したくはないだろう」


「子供の俺に言わせていいのかよ?」


「ならもう少し子供っぽい態度でもしてみせるんだな」


「おじいちゃーん」


「やめんか!」


「そっちが先に言い出したんだろ」


 口を尖らせて拗ねるような顔をするジ。

 出会った頃ならいざ知らずもう子供っぽい態度を取る年齢でもない。


 まあいいやとジはこうなった経緯を説明する。

 ちょっとした事情からジがスキムットを目指すことになり、なんだかんだで順調に移動していたのだけどモンスターパニックよる特殊な個体が出現。


 無人になった駐屯地があったりと怪しい気配がしていたのでスキムットまで急いでいたらその噂のゴブリンに遭遇して戦うことになってしまった。


「それでこれはなんだ?」


「このゴブリンは再生力に優れ、力や素早さも侮れない。


 代わりに物理的攻撃手段しか持っていない」


 ついでに知能も中途半端。


「フィオスはスライムなので物理攻撃はほとんど通じない。


 だからああやって閉じ込めてしまえばゴブリンに対抗する手段はないですよ」


「……お前さん、本当に可愛げがないな」


 何もフィオスがやらせてくれと思っているようだからだけでやらせたのではない。

 そこに勝算を見たのだ。


 フィオスは特別に攻撃手段を持たないけれどゴブリンもフィオスに対して有効な攻撃手段を持たない。

 もし取り込めてしまえば倒すまでいかなくともフィオスの中に閉じ込めて時間稼ぎぐらいできると咄嗟に考えた。


 ゴブリンの首を切り始めたのも思いつきだ。

 少しでもリスクを減らすぐらいのつもりだったのだけど切り離した後の体をフィオスがサクサク溶かすのを見てゴブリンを消耗させられると気付いたのだ。


「伯爵様ー!」


 ゴブリンを追っていたのはパージヴェルだけじゃない。

 各隊にいる実力者を集めた特殊部隊でゴブリンを探していた。


 パージヴェルが魔法と身体能力を使って爆速で駆けつけてくれたけど他の人も馬を走らせてようやく追いついた。


「説明はお願いしますよ?」


「俺がか?


 ……俺しかいないか」


 パージヴェルが駆けつけた部隊の人に説明をしに行った。

 見てみると何人かジでも知った顔がいる。


 過去で戦争なんかで英雄となった人もいて、ジの知っている顔よりはもちろんいくらか若い。


「こいつしぶてぇ!」


 もう何回首を切ったことか。

 それでもゴブリンは死なない。


 ただただゴブリンの首を切り落とすのも飽きがくる。

 呼吸もできないゴブリンは呼吸が必要のない体に進化しているがそれではわずかに命を長らえさせる効果しかない。


「本当に化け物ですね。


 首を切っても死なないだけでも信じられない能力なのに何度も体を再生させてくるのは恐ろしい」


「ただそれでもスライムに勝てないってのは面白いよな」


「フィオス様が特別なのもしれません」


「……お前フィオスにも様付けんのか」


「はい、会長の魔獣ですので」


「堅苦しいなぁ」


「少年たち、話は聞いた。


 よくやってくれたな」


 いい加減ゴブリンに飽き飽きしていたジたちのところに来たのは赤いカラーが目立つ鎧を身につけた渋い中年男性。


「赤牙騎士団の団長のリダヘーラ・ガイウェストだ。


 君たちがこの変異体のゴブリンを拘束してくれたんだろう?」


「俺ら……ゴホン、私たちがというよりこちらの方がやってくださいました」


 ピッと背筋を正して丁寧な言葉使いでライナスが対応する。

 騎士団長となれば上官も上官。


 末端の兵士であるライナスが雑な態度をとっていい相手ではない。

 礼儀作法については頭から抜けがちなライナス。


 よーく言い付けられているので取り繕えるぐらいにはなっていた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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