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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第六章

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食うか、食われるか1

「お守りいたします、商会長様」


「お願いします、騎士様」


「鳥肌立ったわ」


「お前が先に言い出したんだろ!」


「それに俺騎士じゃないしな」


 ジが座る部分以外に荷物をパンパンに詰め込んでスキムットに向けて出発する。

 護衛についたのはなんとエとライナス。


 他にも普通に騎士とか何人かいるけれどまさか子供部隊からも人を出すとは思ってなかった。

 エンクラットの方は知り合いだとは知らなかったみたいだけど魔法の実力が高く、子供部隊なら抜けても大きな問題がないために子供部隊からも護衛に付けられた。


 ジのことを配慮してのことかもしれない。

 知り合いがいる方が気兼ねなくて楽なので文句もない。


 騎士と兵士の違いは何か。

 それは騎士としての叙勲を受けるかどうかが真っ先に浮かぶ。


 騎士爵という当人一代限りの爵位が与えられる。

 子供に受け継がせることはできず死んだら継承されない。


 貴族じゃないけど平民よりは上みたいなものだ。

 そして騎士になると馬が与えられる。


 自分だけの馬だけど国の方で厩舎が用意してあったり世話してくれたりと騎士にかかる負担はない。

 お金持ちなら自分で世話することもあるけど大体の人は国の厩舎に預けている。


 ついでに給料面でも異なってくるのだけど騎士になると国から土地を与えられることがある。

 ただそれは国有地のほんの一部、寝転がれば埋まってしまうぐらいの広さ。


 そんな土地どうするのかといえば国が借りる形で国の元に戻すのだ。

 騎士は土地を貸すことでお金を得られて国は土地を今まで通り国のものとして使う。


 これが騎士である。

 ライナスは叙勲もされてなきゃ馬もない。


 ただの一般兵士。


「お前の師匠は来てないのか?」


 ライナスの師匠とはロイヤルガードであるビクシムのことである。

 国の最高戦力でもあるビクシムがいてくれると非常に心強い。


 弟子であるライナスがいるなら師匠であるビクシムがいてもおかしくはない。


「師匠?


 師匠はいないよ。


 こんな風にして国が荒れると他国の動きが慌ただしくなるから色々やることがあるってさ」


「まあそうか。


 大変だな」


「俺じゃなく師匠がな」


「それでもお前も国守ってくれてるわけじゃん?


 ありがとな」


「やめれよー、照れんだろー!」


 ビクシムがいないのは残念だけど裏を返せばビクシムがいなくても対処できる事態であるということ。

 剣のロイヤルガードなので魔法が必要なこの状況で出張ってくることがないだけかもしれないけれど。


 元は青々と茂っていたはずの森は完全に枯れていて、寂しさを感じさせる。

 魔物はいない。


 虫にやられたのかあるいは逃げたか。

 隠れてやり過ごしても食料もないのでどこかに移動するしかない。


 むしろよく地面を見ると虫が通って時間が経っているから草が生え始めているところすらある。


「んでわざわざなんでこんなとこまで来たんだ?」


 ライナスはジの性格を知っている。

 都市の中ならともかく都市の外に出るのは危険がいっぱいで好まない。


 もっと小さい時は貧民街の危ないところに行くのも嫌がっていたぐらいだ。

 安全思考、あまり冒険はしたがらない。


 その上護衛もユディットだけでこんな遠くまで来るのはジらしくない。

 

「建国祭がこの先にあるだろ?」


「けんこく……あれか、なんか美味いもん食えて休みもらえる日。


 騎士には警備に駆り出されるみたいな文句言ってた人もいるな」


「たぶんそれ。


 俺はフィオス商会として劇団を呼んで催し物を開催しようと思って連絡を取ってたんだ。


 そしたら来てくれるってんでリアーネが同行してたんだけどこの騒ぎで食料が足りないって。

 だから食料を運んでやろうと思ってきたら……」


「こんなことになってたってわけか」


「その通り」


「なになに、劇団って何すんの?」


 横で話を聞いていたエが近づいてくる。

 エとライナスの護衛としてふさわしくない態度に顔をしかめている騎士もいるがジと知り合いのようなので口を出さない。


 こんな状況でも通行させるなら立場があると騎士は考えたからだ。


「俺がお願いした劇団は歌ったり踊ったりだな。


 貧民街にいるとあまりしらないけど演劇だったり魔獣のショーだったりやってるところあるみたいだな。


 俺は見たことないけどさ。

 美味い物の方がいい」


「じゃあ美味い物だしたら?」


「タとケが大きくなったらフィオス商会で出してもいいかもな。


 まだ今は早いけど」


「私も踊ったげよか?


 同期に踊りの上手い子がいて、私も才能あるって言われたんだ」


「へえ、見てみたいな」


「……やっぱりだめ。


 あんたはダメ」


「なんでだよ?」


 軽く手を上げて踊るフリをしてみたエ。

 ジが優しく見てる。


 自分が踊る時もあんな風に優しく見ていてくれるだろうかと考えると途端に顔が熱くなった。

 他の人なら多分優しく見られようが下手くそと言われようが平気だけどジがそんな風に見てくるのはなんだか恥ずかしく思えた。


 顔を見られたくなくてエは少し歩くペースを落として馬車の窓から見えない位置に移動した。


「とにかくダメなの……もし見せるんならスッゴイ練習するから」


 どんな踊りでもジはきっと笑って褒めてくれる。

 でもどうせ見られるなら本当に上手かったと思わせたい。


「期待してるよ」


 顔も良く鮮やかな赤い髪をしているエが踊るときっと美しく映えるだろうとジは想像できた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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