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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第六章

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リアーネからの救援要請3

 子供を本気で殺すほどには堕ちてはいないが痛めつけるぐらいは心も痛まない。

 何回か殴ってやれば大人しくなる。


 ガキだがこんなところにいる以上は何か持ってるだろう。

 今夜はどの店で酒を飲むか。


 そんなことを考えてリーダーは空を見上げた。


「うわぁぁぁぁ!」


「な、なんだ!」


 聞こえてきたのは叫び声。

 それはジやユディットのものではない。


 リーダーが視線を戻すと真っ先に切りかかった男の腕が宙を舞っていた。


「ぐわっ!」


「は、早いぞ!」


 1人1人の実力は大したものではない。

 けれど人数は多いし弱いといっても手加減出来るほどの実力もユディットにはない。


 全力を持って相手を倒しジを守る。


「くっ……まずはあっちのガキを狙え!」


 ユディットの実力が自分たちよりも高いことをすぐに悟った男たちは狙いをジに変える。


「会長!」


「死ねっ!」


 リーダーの思惑としては人質にするつもりだったがユディットの思わぬ実力とそれによる焦りのせいで普通にジに切りかかってしまう。


「へっ?」


 切った、と思った。

 なのに手応えはなく、剣が当たる瞬間までそこにいたはずなのに気づいたら振り下ろされた剣の横にジは移動していた。


「カッ……ハッ……」


 ヒュンと無情な音がした。

 鋭い痛みを感じて喉を手で押さえるが手の下からドパッと血が流れる。


 体格的なところや魔力の多さを押し出されるとキツいところはあるがそれでも実はジの方が今はまだユディットよりも強かった。

 戦いの勘や細かい技術などは過去もあるジが優れていて、練習としてユディットが本気でかかっていっても勝てなかった。


 かつまだ若いユディットにはないとっさの冷徹さがジにはある。

 後ろから見ていた他の男たちには何が起きたのか見えていない。


 喉から溢れる血を押さえようとしているのも後ろから見るとただ背中を丸めているだけのように見えるのだ。

 男が倒れ、地面に血が広がってようやくジに切り倒されたのだと気づく。


「どこ見ている!」


「グッ!」


 男たちを軽く切りつけ道を開けさせてユディットがリーダーを攻撃する。

 俯瞰して状況を把握し指示を出すリーダーを先に潰す。


 ジの実力を信頼しているからこそリーダーを倒した方がむしろ安全に戦えると判断した。


「ガ、ガキのくせに!」


「さっさと倒れろ!」


 リーダーの実力も大したことはない。

 けれどユディットの実力が高いことをもうリーダーの方も分かっているのでリーダーは攻めではなく防御と回避に徹する。


 そんなに強くなくても守りに徹底されると落としきれないユディット。

 早く倒さなきゃという焦りも攻めきれない原因である。


「何をしている!」


 でも別に自分だけでも倒せそうとジが思っていると道の先の方から馬に乗った騎士が走ってきた。


「ヤバい!


 逃げ……」


「逃すかぁ!」


「ええい、邪魔をするな!」


 盗賊たちが慌てて逃げようとするがユディットはしつこくリーダーを狙う。


「フィオス、いけ!」


 他の男たちも逃げるのでジはフィオスを呼び出して投げた。


「うっ、フギャッ!」


 投げられたフィオスはポヨンと跳ねて逃げる男の足元に滑り込む。

 グニュリとフィオスを踏み抜く。


 柔らかくて弾力のあるフィオスを踏んで男が思いっきり転倒する。


「ふん!」


「うっ!」


 そしてジは剣を逆手に持ち直して槍のように投擲した。

 やや狙いはずれたけれど別の男の脇腹をかすめて、痛みに怯んで転ぶ。


「大人しくするんだ!」


「グググ……降参します!」


 騎士たちが到着して盗賊たちにかかっていく。

 けれど逃げてしまった者たちを除けばジによって転ばされたか、ユディットと戦っていたリーダーしかいない。


 リーダーの方は数的にも不利とみるや剣を投げ捨てて地面に伏せて降参した。


「大丈夫ですか?


 ……助けは必要なかったようですが」


「いえいえ助かりました、騎士様」


 みるとすでに数人倒れているしリーダーもすぐに降参、逃げられたのも1人だけ。

 子供が盗賊に襲われていると連絡があって来てみたが甘い考えで襲いかかったようだとすぐに分かる。


「失礼ですがこの先に何か御用で?」


「はい。


 ちょっと行かねばならなくて」


「あー……その」


「何かありましたか?」


「ええ、モンスターパニックの影響がありまして」


「影響ですか?」


「そうなんです。


 小型の虫が大量発生しまして、色々なところに広がっているんです」


「もう少し詳しくお伺いしても?」


「この先に村があります。


 そこまで送り届けるついでにお話いたしましょう」


 盗賊の生きている者は縛り上げて連れていき、死んでいる者はその場で燃やして処理する。

 逃げた盗賊は2人ほど追跡に出した。


「先日首都周辺で起きたモンスターパニックのことはご存知で?」


「ええ、キックコッコの大量発生ですよね」


「そのモンスターパニックとはまた別でモンスターパニックが発生しているのです。


 ですが原因はそのモンスターパニック、とその処理の問題と言いましょうか」


「どういうことですか?」


「大きくいえばモンスターパニックが原因で別のモンスターパニックが発生したのですが上手く人の方でコントロールできれば起きないかもしれないモンスターパニックだったと分かってきたんですよ」


 騎士を率いている小隊長はため息をつく。

 オロネアに言われた連鎖的モンスターパニックの問題だ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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