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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第六章

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マザーズダンスレッスン3

 アカデミー内で練習してもいいけどそうなると知り合いに見つかる可能性がある。

 ダンスの練習してますってバレてもいいんだけどバレるのなんか恥ずかしく思えてしまうのはなぜだろう。


 オロネアの配慮でオロネアの家でダンスレッスンを受けることになった。

 仕事は大丈夫なのかと聞いたら書類など持ち帰って処理すればいいし、アカデミーからオロネアの家は遠くないので問題があればすぐに駆けつけられるらしい。


 やるならさっさと始めねば時間もあまりない。

 オロネアは困惑する副学長に家で仕事することを伝えてジを伴って帰る。


 ちなみに帰りは馬車で、こちらフィオス商会特製の揺れない馬車だ。

 座面には高級なクッションも備え付けてあって快適なことこの上ない。


 オロネア邸の使用人は比較的高齢だったのが最初の印象だが何回かお邪魔させてもらううちに若い人がちょっと増えたような気がする。

 このままじゃ動けないからとオロネアと一度別れる。


 ジは部屋に案内された。

 部屋で待てばいいのかと思っていたら息を切らせた使用人の人がなんと動きやすい服を買ってきてくれた。


 悪いと断ろうとしたけどもう買ったものを返品もできない。

 老齢な使用人たちは口も上手く、手も早く、ジは自分でやると言ってもあっという間に着替えさせてもらうことになった。


 オロネアはドレスではなく動きやすいような簡素なパンツ姿だった。

 いつもの格好も麗人であるがピシッとした動きやすい格好も意外と似合っている。

 

 時折昔は〜などというが今でもその片鱗は隠しきれていない。


「さてやりましょうか」


「はい、お母さん」


 もうお母さんと呼ぶことに吹っ切れたジ。

 オロネアの方はよばれるたびに口の端が緩んで嬉しそうだし、おじいちゃん執事の人は感動した顔をしている。


 養子になったのでもないしやめてくれ。


「こ、コホン!


 最終的には曲全体の流れを頭で理解して体で覚えてもらう必要はありますがまずはやるべきは多くのダンスで組み込まれる普遍的な動きやステップから始めましょう。


 これさえできればなんとなくは踊れるようになりますから」


 リンデランからなんの曲を踊ればいいのかは事前に聞いた。

 オロネアもそれを聞いたのでひとまず何曲か絞って踊れるようにするつもりだ。


「それではやりましょうか」


「はい……お母さん……」


 初めてのことをやるのはいつでも緊張する。

 ただ過去には挑戦できなかったことに挑戦できるというのはちょっと楽しくもある。


 そうして始まるダンスレッスン。


 おじいちゃん執事が一定のリズムで手拍子を打ってくれてそれに合わせて体を動かす。

 いくつかの動きを教わり、それを繰り返す。


 不思議なものでオロネアがリードして動いてくれると円滑に動けるのに、そうでない時はアワアワと動きが悪くなってしまう。

 若いうちからやっとかなくてもいいべと思っていたけど慣れや体に覚えさせることが必要で小さい頃からやっておくことの重要性を理解した。


 そしてある程度年齢がいくと体にクセがつく。

 動かし方のクセ、体重移動や普段からやってしまっているクセがある。


 特にジは意識していなくても過去の経験もある。

 意識したことはなかったけれど疲れてくると腰をかばうような動きが出てしまうことが指摘された。


 もう腰なんて痛まないのに腰をかばうような動きをしてきた経験が長くて疲れると出てしまうようだった。

 ちょっと不思議がられたけれど説明もできない。


 何度もオロネアの足を踏んだりしながら練習する。


「あなたは筋がいいわ。


 運動神経も良くてセンスもある。

 この分ならすぐに何曲か踊れるようになるわ」


「教えてくれるお母さんがいいんですよ」


 なんだかんだたっぷりと練習に付き合ってくれたオロネア。

 慣れない動きで足がガクガクしているジはその場にへたり込むがジをリードしそれなりの年齢でもあるはずのオロネアはピンピンしている。


 やはりジの動きに無駄が多いせいで疲れるのだ。


「そういえばエの方はいいんですか?」


 外を見るとだいぶ時間も経っている。

 いつもならエを指導している時間もとっくに過ぎている。


「エはお仕事よ。


 急なもので…………いや、あなたならいいわね」


 悩むような素振りを見せたオロネア。


「少し前にモンスターパニックがあったでしょう?」


「キックコッコのやつですね」


「そう。


 あれは冒険者たちによって素早く沈静化されたのだけどモンスターパニックによって別の問題が起きてしまったの」


「別の問題ですか?」


「ええ、連鎖的モンスターパニックよ」


「連鎖的……モンスターパニック」


 オロネアは床に座るジの隣に座る。

 おじいちゃん執事が飲み物を持ってきてくれてジは受け取って一気に飲み干す。


「モンスターパニックは大きな出来事よ。


 当然人に影響はあるけど魔物が大量発生することは他にも影響を及ぼすの。

 環境の変化、他の魔物の移動、冒険者そのものの行動も変化するわね。


 そうした結果として連鎖的に別のモンスターパニックが起こることがあるの。


 それが連鎖的モンスターパニックと呼ばれるものよ」


 ジは思う。

 こんなことは過去になかったはずだ。


「他の人には秘密だけど今回の連鎖的モンスターパニックはある意味人のせいでもあるのよ」


「そうなんですか?」


「ええ、だから王国は兵士を派遣して早期の沈静化を図るつもりなの。


 それでエも急に召集されることになったわ」


「……そうなんですか」


「……心配?」


「はい」


「素直でいいわね。


 心配しなくても大丈夫よ。


 強い魔物がモンスターパニックを起こしたのではないから。


 むしろ人手と魔法が使える人が必要だからエも呼ばれたのね」


 そう言われても心配なものは心配だ。


「私が今心配しているのは連鎖的モンスターパニックの影響の方よ。


 もしかしたら大きな問題をこの国に残していくかもしれないと考えているわ」


 遠くを見つめるオロネア。

 ジはとりあえずエが無事に帰ってくればそれでいいと思っていた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
あの時のコッコハーレムに安全な空間プレゼントしてあげたら警備員になってくれてたかもね 後、無精卵も定期的に貰えたかもね
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