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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第五章

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長持ちしてくれればいいな2

「何か欲しいものでもあるのか?」


 こんな言い方をされてはジにも分かる。

 リンデランには何かしらの望みがある。


 ジもリンデランに何をお返しとすればいいのか迷っていたところだったので望みがあるならありがたい。

 貴族のお嬢さんの望みがジに叶えられるなら叶えてあげるつもりだ。


 リンデランは嬉しそうに笑顔を浮かべる。


「ええとこちら」


「……招待状、かな?」


 リンデランは懐から封筒を取り出した。

 ヘギウス家の家紋が描かれた封筒は紙だけでも上質そうだ。


「近々私のお誕生日パーティーをやるんです。


 前回のお誕生日はおじいさまが戦争に行ってらしたのであまり盛大にもやれなかったのですけど今回は平和になりましたしちゃんとお祝いしてくれることになりまして。


 是非ともジ君にも来てほしくて……」


「行くのはいいけど……」


「いいけど?」


「これをお返しにするのはダメだ」


「……何でですか?」


「仮にお願いでも何でもなくても俺は行くよ。


 だからこれはお返しにならない」


 リンデランの誕生日パーティーにご招待されたらジは断るなんてことはしない。

 予定が入っていても後回しにしてリンデランを優先する。


 お願いだったりお返しにするまでもない。

 そんな心意気にリンデランもニンマリ。


 ジは忙しいのにもちろん来てくれると言ってくれるだけでも嬉しい。


「ふへへ……ありがとうございます」


「お返しは何かいい誕生日プレゼントでも考えなきゃな」


「じゃあそうしてください」


 簡単にそう言うけど女の子に何をあげたらいいんだ。

 結局悩むことになるジであった。


「とりあえず実験をしていこうか」


 悩むのは後でもいい。

 今日来てもらった目的を果たす。


 まずは冷蔵室。

 壁はやや茶けていて他の部屋と少し雰囲気が違う。


 これはパロモリ液を厚めに壁に塗っているためであった。

 部屋の隅にある水を凍らせてもらう。


 そしてリンデランには2種類の氷を作ってもらう。

 魔力のみで作った氷と水を用意して水を凍らせた氷である。


 ここらへんもどちらがいいのか試していく。

 細かく砕いたものや大きなものなど氷も変えて食品を分けて置いてみる。


 あとはキーケックがやると言うのでキーケックに任せてみるけど上手くいけば食品を長く保つことができる。

 そうすると安い時にでも買っておけばいい。


 塩漬けとか燻煙したものも別に嫌いじゃないけどそのまんま置いておけるならその方がいいだろう。


「これってもしかして……時々ジ君のお家に来たほうがいいですかね?」


 この感じだと一回氷を出して終わりということはないとリンデランは気がついた。

 そこから連鎖的に考えた。


 合法的にジに会いにいく理由が出来た。


「そうだね……リンデランがいいならだけど……


 ダメならどこかで魔法が得意な人でも探すよ」


「ダメです!」


「り、リンデラン?」


 ジなら上手く人を探してきてしまう。

 そうなるとこのせっかくの機会が失われてしまうことになる。


「ジ君の実験は大切なものです!


 他の信用もできない人に任せちゃダメです!


 私が、ジ君のために頑張ります!」


 この機会は逃さない。

 リンデランはジの手を取って真っ直ぐに目を見る。


 改めてこう近づくと綺麗な顔をしていると思う。


「リンデラン……ありがとう」


「氷溶けちゃう」


 僕もいるよ!と言わないだけ偉いキーケック。

 リンデランが出した氷で部屋は冷え始めているのだけど2人の周りだけ気温が高めになっている気がした。


 ちゃんと空気読める子キーケック。


「うちでご飯食べていけよ。


 きっとタとケも喜ぶよ」


「いいんですか?


 じゃあそうします!」


 一通り凍らせたり氷を作ってもらったりした。

 結構魔力を使ったと思うのだけどリンデランはピンピンしている。


 ジの魔力も6フィオスあるけどそれじゃ全く太刀打ちできない。


「ふんふふーん!」


「ご機嫌。


 僕帰ろうか?」


「あっ?


 別にいてもいいんじゃないか。


 家にゃ師匠や双子いるし」


 特にリンデランと2人きりになるということではない。

 そんな変な気の使い方されても困る。


 まあ、良い子なのでキーケックの頭を撫でてやる。


「えへへっ……」


 家を出て移動する。

 斜め向かいのジの本宅。


 ものの数秒の移動だ。


「って、何でいるんですかー!」


「俺も知らんぞ」


 ジの家、エとライナスとユダリカとウルシュナがいた。

 というか先に飯を食べていた。


 ユディットやニックス、ワなんかもいるがそこら辺はいてもおかしくないけどこの4人はなぜいるのかジも分からない。


「今日休みだったから遊びに来てやったぞ」


「同じく。


 タとケの作るご飯も食べたくなったし」


 まあこの2人は休みになったら来てくれることもある。

 こんな風に休みが重なることは滅多にないけどないことでもない。


「俺はジの親友だからな!」


 何でキーケックを見て言う。

 その後ろでライナスも俺が本当の親友だろって良い顔すんな。


「私はリーデんとこのおじいちゃんにリンデランがジのとこいるから行ってこいって……」


「もう!」


 この後しばらくパージヴェルはリンデランに口を聞いてもらえなくなる。

 良かれと思って、ではないのは明らかだ。


「……はははっ!」


 なんか無性に面白くなった。


「どうしたんだよ、ジ?」


「楽しくって、幸せでさ!」


 そんなに広くない家にみんないる。

 貴族も貧民も関係ない。


 過去では死んだ人も、まだ生きていた人も関係ない。


 もっとこれからも続けばいいな。

 きっと幸せではないこともあるけれど今はこんな幸せで楽しい時間が長持ちしてくれればいい、そんな気持ちだった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
まあ、今までが今までだったからその反動でユダリカ面倒になってもいいんじゃない? 正史だったら悲惨な事になってたのだし
[気になる点] ユダリカ変にめんどくさくなったよな
[一言] 300話達成おめでとうございます
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