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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第五章

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トリトリパニック5

「つまりはあのキックコッコたちはなんらかの原因で大量発生してるってことか」


「そうだろうな。


 この森にあんな多くのキックコッコがいるとは思えない」


「師匠、どこ行くんですか?」


 また森の奥に行こうとしているグルゼイ。

 行ったところでキックコッコが待ち受けているだけだ。


「1人倒れてしまった冒険者がいた。


 今ならまだ死体だけでも回収出来るかもしれない」


 キックコッコの波に飲み込まれたらおそらく助からない。

 しかし今ならまだ形のある死体ぐらいは残っている可能性がある。


 基本的に外に捨て置かれた死体は時間が経つと回収出来なくなる。

 大体の場合魔物に食い荒らされてしまって骨も食べられたりそこらに持っていかれて分からなくなる。


 キックコッコは不思議な去り方をした。

 突かれていて顔がわからなくなってもこの状況であれば身元の特定ができる死体のはずである。


 知り合いでもないが冒険者としてのマナー、同業としての慈悲である。

 息を整えながら森の中に戻っていく。


「わ、私たちも行きます!」


 転んだカイルという冒険者の仲間たちもカイルのために森の奥に行く。

 ユダリカにはゼスタリオンに乗って上から監視をしてくれるように頼む。


 上から見ればキックコッコの大群にすぐに気づけるだろう。


「みんな、もうちょっと先に倒れてるのが見えるよ」


 上から見ていたユダリカにはうつ伏せに倒れる人の姿が見えた。

 ジたちにもすぐにそれが見え始めた。


 もっとボロボロになっているのを想像していたけれど思いの外綺麗。

 激しく突かれるようなことはなかったみたいである。


「カイル!」


「尊い犠牲だな……」


 転んで犠牲になったことでキックコッコの邪魔になって他の人が助かった……と考えるのは少しばかり美化しすぎだが転んだだけと考えてやるよりはいい。


「し……死んで…………ない」


「生きてるの!?」


 キックコッコに踏みつけられて足跡だらけで半ば地面にめり込んでいるカイルはほんの僅かに手を上げた。

 なぜなのかキックコッコはカイルをあまり気にしなかった。


 ただひたすらに逃げるみんなを追いかけてカイルは踏みつけられただけだった。

 囲まれて突かれたら死んでいたかもしれないが踏まれて通過されただけにとどまったので死にはしなかった。


 瀕死には違いないけど死んではいない。


「動けるか?」


「む、無理……」


「早くここを去らなきゃまたキックコッコが来るかもしれない」


「ググッ……痛くても我慢するので運んでください……」


「歯を食いしばれよ」


 カイルという冒険者はグルゼイや仲間の冒険者たちの手によって交代交代で運ばれて町まで戻ることになった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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