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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第五章

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お試しいかがですか?1

「せっかく来ていただいたんですしちょっとお話しましょうか」


 一通り食事も終わりまったりした時間が流れる中ジはパージヴェルとサーシャを連れて外に出た。

 そして外にある馬の繋がれていない馬車の中に入る。


「むむ?


 思いの外寒くない……」


 日が傾き気温が下がってきている外。

 ちょっと秘密のお話的な雰囲気を出すのに場所を変えてみたのだけどそれだけじゃない。

 

「馬車の中なのに寒くないわね」


 馬車の中も当然の外と同じくらい冷えていると思ったのに温かくはなくてもそれほど寒くなかった。

 予想外の温度に2人は驚く。


「その布のおかげかしら?」


 座席には布の塊が2つ。

 馬車の中が温かい理由としてはそれぐらいしか思いつかない。


「流石サーシャさん。


 ですけどこれはあくまで補助です」


「あら……どういうことかしら?」


「色々とヒントは散りばめてましたよ」


「娘が欲しいって話じゃなさそうね?」


「それは違います」


 来るかどうかも分からない親を呼びつけて娘さんをくださいなんて言うほど神経が図太い人間じゃない。


「分からんな……」


 腕を組んで首を振るパージヴェル。

 普通の人なら気づかないからしょうがない。


「そうね……私の予想では暖かい部屋と寒くない馬車、それにレディーフレマンのケーキが関係しているかしら?」


「お見事です」


「けれどそれがどう言ったものなのかはお手上げよ」


 ものを見る目はサーシャの方がありそうだ。

 パージヴェルも商家の人間だったのなら見習ってほしいものだ。


 ジは今回新商品も試していた。

 子供しか来ないのならそれでもよく、周りの環境に対して不満を抱かなければ成功だと考えていた。


 しかしパージヴェルやサーシャも来たのでついでにちょっとだけ商談をしようと思った。


「新商品というか……新しく馬車を加工しようと思ってるんです」


「なに、馬車をか?


 もうお前さんのところの馬車は生活になくてはならないほど快適だろうに」


「もっと……快適になるとしたら?」


「な、なんだと!?」


 もうこれ以上快適になるなんて革命と言ってもいいとパージヴェルは思う。

 歳を取れば取るほどに馬車での移動は多く、馬車での移動は苦痛になる。


 ジが作ってくれた馬車はその点で移動による苦痛を取り除いてくれた素晴らしい商品だ。

 それがさらに快適になるなんて想像もつかない。


「分かったわ」


「なに?」


 勘が悪くてもここまでいえば分かりそうなものだけど。


「この馬車ね」


「……どういうことだ?」


 一瞬分かっているふりをしようとしたけどジはそれを察した上で細かなことに触れずに話を進めようとする可能性もあるので下手なプライドは捨てる。


「部屋が暖かかったり、持ち帰り禁止のケーキをキンキンに冷えたまま持ち帰ってきたりしてみました。


 馬車……暑い季節は暑く、寒い季節は寒くありませんか?」


「それは当然……はぁっ!」


 察しの悪いパージヴェルも気づいて息を飲んだ。

 外の環境による変化は薄い馬車の壁では防げない。


 暑ければ馬車の中は暑く、寒ければ馬車の中は寒いのが常識だ。

 けれど今はどうか。


 外はそれなりに寒い。

 ここまで来るのに馬車の中でもコートを着ていたけれど今は必要を感じていない。


 これがいつもの馬車で再現できるなら。


「ジよ……」


「なんですか?」


「私とお前の関係は決して浅くないはずだ」


「そうですね、殺されかけたぐらいの関係はありますね」


「うっ!」


 優位に事を進めようとしたパージヴェル、失敗。

 どんな過去が2人にあるのか非常に気になることだけど軽く触れても良くなさそうなことなのでサーシャは疑問をわきに追いやった。


 今一瞬の疑問よりも大切なことがある。


「あなたのやろうとしていることは何かしら?」


 何となくわかるけどそれを何と表現していいかサーシャには言葉が見つからなかった。


「俺の作ろうとしているものは快適な馬車。


 揺れず、そして中にいても寒くなくなりすぎず、暑くもなりすぎない快適な馬車を作るつもりです」


 そんな便利なのは不可能だ。

 ある程度のコントロールはできるけど後は馬車を持つ人たちに委ねられる。


「まあ実際にはそんなに寒くなく、そんなに暑くならないぐらいでしょうけど」


 寒さについてはおおよそ問題はない。

 人が乗れば馬車の中の空気が暖められてきっと快適になる。


 暑さについては難しい。

 外で突っ立っていたり、何もしていない馬車よりはマシと言えるぐらい。


 金があったり魔法の実力があればかなり快適にはできるけど。


 とりあえず商品に必要なのはプロモーションだ。

 初めて使う人にとってはかなり快適になることは間違いないので多少大袈裟に言っても問題なし。


「また新しく馬車を買わせるつもり?」


 だとしたらとんでもないことだ。

 ジのフィオス商会で馬車を購入、予約した人は山といる。


 今でも待ち望んでいる人は列を成しているはず。


「いいえ、そこまでは。


 これは一から作り直さなくても加工で出来るのです」


「ほほう?」


 また馬車を買えとなると流石に批判は避けられない。

 しかし加工するぐらいなら文句を言う人はいても受け入れられる。


 嫌ならやらなくてもいいことでもある。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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