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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第四章

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裏での取引1

「この間はありがとね」


「取引だからな」


 後日ジは再びアカデミーのダンジョンを訪れていた。


「そちらのカッコいいお姉さんはどなたかな?」


「リアーネだ。


 俺の忠誠の騎士だ」


「えっ?


 あの、なんだっけ、ユ……なんとかもキミの騎士じゃなかった?」


「ああ、そうだよ。


 ユディットもリアーネも俺に忠誠を誓ってくれた立派な騎士だよ」


「ほ、ほぇ〜」


 アカデミーにはリアーネを伴っていた。

 ユディットを連れてこなかったのはダンジョンでちょっとばかり正気を失ったとか、頼りないからとかではない。


 リアーネが必要だったからリアーネを連れてきたのである。


「ええっとこいつ……こちらの方、は?」


「ははっ、いいよ、いつもの口調で」


 護衛騎士としての戦力で言えばリアーネの方がユディットよりも上だけど護衛騎士っぽい態度で言えば丁寧なのはユディットの方だ。

 長年のクセというか、ずっと荒い男たちの間でやってきたなめられない言葉遣いはそう簡単に直るものではない。


 アカデミーということは貴族の子息である可能性が高い。

 粗雑な言葉遣いをして咎められるのはリアーネではなくジの方になる。


 気をつけてはいるのだけどまだまだである。

 ジもそれに関して指摘することなんてしない。


 リアーネはリアーネでいいのだ。

 そんなんで不愉快になって文句を言ってくる貴族なんてジもお呼びでない。


「で、どうだ?」


「うふふっ、ジ君のおかげか上手くいきそう。


 というかオロネアがボスを倒しても消えないタイプのダンジョンだから利用できるなら利用した方がいいなんて言ってくれてね」


 ボスを倒して消えるダンジョンもあれば消えないダンジョンもある。

 エスタルを倒さないことにはどっちのダンジョンか分からないけど倒しても消えないダンジョンと大きく出ても確かめられる人はいない。


 なので今からダンジョンがあると公表してしまうよりも実はダンジョンではなく初代学長エアダリウスが作ったドールハウスというものでしたとした方がいいと説得を試みた。

 学内での話はそこでまとまり、オロネアは国の方にも同様の説明をしに行った。


 王城でどんな反応だったのかはエスタルには分からないけれど帰ってきたオロネアの反応は悪くなかった。


「僕はこのままいてもよさそうだ!


 ありがとう、ジ君のおかげだよ!」


「まあ、あんな風にお願いされちゃね」


 ジが急にエスタルへの態度を軟化させたのには理由がある。

 ずっと隙あらばエスタルの首を切り倒そうとしていたジがダンジョンを保護してほしいなどとオロネアを説得したのには2人の間に取引があったからであった。


「これが例の物だよ」


 エスタルはすり抜ける扉横に立てかけてあった剣をジに渡した。


「おっ、ありがとう」


 ジは剣を受け取ると鞘から抜く。

 雪のような真っ白な直刃の剣身の剣が姿を現した。


 羽のように軽く、見るものを魅了する美しさをしているこの剣の刃をよく見ると剣身と同じ白いオーラをまとっていた。

 これは魔剣である。


 ユディットが持っているものと同じで剣そのものが魔力を持っている。

 特殊能力などがあるものではないけれど魔力を持っているのでアーティファクトの一種で宝物庫にはこうしたものも収集されていた。


 珍しい顔をしているとリアーネは思った。

 ほんのりと頬を赤くしてニンマリとしているジ。


 そりゃだって全男子の憧れである魔剣。

 ジだって過去の何も知らなくてもっとガキなころは落ちてた木の棒を魔剣だと言って他の子供とチャンバラごっこに勤しんだ時もある。


 今だって魔剣は欲しい。


 本来なら運命を見ることでダンジョンクリアに加えてクイズにまで正解したご褒美とする予定だった。

 しかしながらジの運命はなかった。


 何でもできる自由なジには運命はなくて予定していたご褒美を与えられなかった。

 なので代わりにもう一個何か欲しいものあげるよってことになった。


 宝物庫をエとリンデランも含めて


 クイズに正解したのはジなのでジだけしか貰えないけどアーティファクトの博覧会状態なので見てるだけでも楽しかった。

 その中でこの魔剣が目についたのだ。


「レーヴィンのこと大切にしてね!


 絶対!

 絶対だよ!」


「もちろんさ。


 まあ、まだ俺が使うには大きすぎるから少しの間は観賞用だけどな」


「使ってあげてよー」


「後々な」


 レーヴィンという純白の魔剣。

 これはジがダンジョンで戦ったあの女性の幻影が使っていたものであった。


 幻影の時は使ってなかったけどあの女性が実際に生きていた時に使っていた。


 例え死にかけのジジイであっても男子は少年の心を持つ。

 ジも自分だけの魔剣を持てて非常に嬉しかった。


「後は……これ。


 約束だから持ってきたけど本当にいるの?


 持って帰れる?」


 レーヴィンだけではない。

 レーヴィンの横に立てかけられていたものにエスタルが不安そうに視線を向けた。


 そこにあったのは大剣というにもあまりにも不恰好で取手の付いた金属の塊と言った方がいいぐらいのものが置いてあった。


「取引忘れたのか?」


「そうじゃなくて……これを本当に持って帰るのかなって思ったんだよ」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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