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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第四章

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3度目の攻略4

 床の何ヶ所かがカパッと開いて棒の先にグローブをつけたパンチが飛び出してきた。

 モロに当たると意識が飛んでしまいそうな勢いがあって罠があると分かっていても一瞬ビクッとなってしまった。


「う、わー……」


 これが本物のダンジョンなら鉄槍が飛び出してきているので優しいといえば優しいのだけどダメージは避けられない。

 

「この階から罠もありみたいだな」


 落とし穴ほど致命的じゃなさそうだが今のところ魔物よりも脅威度は高い。

 ジはそのままフィオスを呼び出したままにする。


 棒状から盾の形に変えて持って進むことにした。

 金属状になるのも結構お手のもの。


 剣や棒だけでなくもっと複雑な形とかこうした盾の形状にもなれるように練習していた。

 意外とフィオスにとっては楽しいようでちょっとした時間にフィオスの変形練習を行って色々な形になれるようになっていた。

 

 その甲斐あってか、それなりに表から見るとちゃんとした盾っぽくは見える。

 ただ裏から見るとフィオスの核の都合上ポコっとした部分がある。


 罠だけではない。

 角や後ろからの奇襲、遠距離攻撃の利用など魔物も一筋縄ではいかなくなってきた。


 けれど罠は最初の落とし穴ほど凶悪なものはなかった。

 よく観察して歩けば事前に罠を察知できるのでいくつかをジが見つけて、みんなもどういったものがあるが理解した後は先頭を交代して進んだ。


「ツボ……?」


「ツボみたいだな」


 角からの向こうを覗き込んだライナスが首を傾げた。

 進む先に魔物が見えた。


 ゴーストが何匹かと後はツボみたいな魔物なのか、物なのか。

 人形なのに物理攻撃が通じない不思議なゴーストは魔法で倒さなければならない。


 あとはユディットの魔法剣ならゴーストにも通じる。

 なのでユディットを先頭にして戦闘に突入することにした。


「頼むぞ!」


「やったるよー!」


「任せてください!」


 まだバレていないので角からの飛び出しながらエとリンデランが魔法を放つ。

 エが炎の球を、リンデランが尖った氷の塊を魔法で生み出す。


 魔法を放った後ろからユディットとウルシュナが前に出る。


「えっ!?」


「魔法が……」


 クルリとツボが振り返った。

 大きく口の端を上げて笑ったような顔がツボに付いている。


 魔法に気づいたツボは飛び上がった。

 ゴーストたちを庇うように魔法の前に出てきたツボは口を大きく開けた。


 みんなが驚きに包まれる。

 ツボの口に魔法が吸い込まれていき、2人の魔法はツボに完全に無効化されてしまった。


 ゲフッとゲップを吐き出すツボ。


「アンチマジックポットか!」


 希少種の魔物であるアンチマジックポット。

 魔力を喰らう不思議なツボの魔物で、アンチマジックポットの許容量を超える魔法か物理攻撃でしか倒せない。


「そいつに魔法はダメだ!」


「じゃあ……」


「危ない!」


 ならばとアンチマジックポットを攻撃しようとしたウルシュナにゴーストが迫った。

 魔法を吸収する物理攻撃しか通じない敵の存在に驚いて視野が完全に狭くなってしまっていた。


 ユディットが横からウルシュナに迫ったゴーストを切る。


「一度下がるんだ!」


 非常に厄介な組み合わせ。

 物理攻撃が通じないゴーストと魔法攻撃が通じないアンチマジックポット。


 魔法を使うとアンチマジックポットが前に出て、アンチマジックポットを攻撃しようとするとゴーストが前に出てくる。

 ユディットを押し出して戦ってもいいけどダンジョンが意図するところはそうではないだろう。


 そんなに難しく考えることもない。


「エ、ウルシュナ!


 デカいの一発頼むぞ!」


「やあっ!」


 エが魔法を放つ。

 先ほどよりも大きな火の玉。


 ゴーストが下がってアンチマジックポットが前に出て火の玉を口で吸い始める。


「そんな浅知恵みたいな連携で勝てると思った?」


 吸い切った炎の玉の向こうから剣が飛び出してきてアンチマジックポットを2つに叩き割った。

 大きな火の玉はアンチマジックポットの許容量の限界を狙ったのでもゴーストを狙ったものでもない。


 アンチマジックポットを前に引きずり出し、ウルシュナの姿を隠すための魔法であったのだ。

 よくあんな下手くそな指示で分かってくれたものだと思う。


「ウーちゃん、伏せてください!」


「わ、わっ!」


「エさんばっかりいい格好はさせません!」


 そして最後にリンデランが通路いっぱいの氷の槍を放つ。

 守ってくれるアンチマジックポットもおらず、逃げ道もない。


 ゴーストたちは氷の槍に貫かれて消えていった。


「リーデ、危ないじゃん!」


「ちゃんとウーちゃんには当たらないようにしてますよ」


 の割には結構ギリギリを通り過ぎて行っていたような。


「ふぅ〜ん?」


 コイツ、ジに良いところ見せようしただけなのでは疑惑。


「ウルシュナさん!」


「ん?」


「イェイ!」


「……ま、いっか。


 イェイ!」


 エとウルシュナがハイタッチする。

 見事な連携だった。


 焦りすぎて明らかに言葉足らずな指示であったのに2人はジの考えていることを完璧にやってくれた。

 ともあれ無事だったのでリンデランの疑問は忘れて手を上げるエにウルシュナは笑顔で応えることにした。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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