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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第四章

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3度目の攻略2

 落とし穴がどこにあるのか分からないので手前気味に止まる。


「あくまでもこっち向かないってか?


 ……なんでもいいけどよ、お前らのせいで!


 お前らのせいで師匠にむっちゃ怒られたんだからな!」


 ライナスがどうなったのかは師匠であるビクシムにも伝わってしまっていた。

 明らかに周りに迷惑をかける行いだったのでひどく叱られた。


 先にジとのことがあったからだいぶ殊勝な態度だったので一回ぶん殴られるだけで済んだけれど鍛錬の内容は重たくなった。


「全部、お前らのせいだ!」


 ライナスの体からバチバチと電気がほとばしる。

 接近戦闘を主にするライナスであるが契約している魔獣は魔力的にも優秀であって魔法を使う選択肢も大いにあり得る。


「吹き飛べ、このクソヤローが!」


 ライナスが手を突き出すと太い雷が放たれた。

 集まって座る3匹のゴブリンに雷は当たって、ゴブリンたちが体を震わせる。


 黒い煙を上げてゴブリンたちは倒れ、そして消えていく。


「ふんっ!


 ザマァみやがれ!」


 これまで見たことがなかったライナスの魔法の実力。

 魔法が専門ではないためにだいぶ荒削りなところはあるけれど進む道を魔法にしても十分やっていけそうだ。


 ジが同じことをやろうとしたら体からほとばらせた電気だけで魔力が枯渇していたことだろう。


 スッキリしたような、ちょっと自慢げな表情を浮かべてライナスは戻ってきた。

 ゴブリン如きにあんな魔法使うことはなかったけれどやらなきゃ気が済まなかったのだ。


「おつかれー」


「うぃ!」


 ジがスッと手を上げるとライナスはそれに自分の手を打ち当てる。

 魔力云々よりも大切なことがあるのである。


「フィオス、頼むぞ」


 ジはフィオスを呼び出して棒状にする。

 みんなを下げて、いざという時のためにユディットを後ろに控えさせて棒で床を叩きながら一歩ずつ前に進む。

 

 ゴブリンがいなくなってしまったのでなんとなくでやるしかないけれどしょうがない。

 そしてジには分かっていた。


 少し他のところよりも床を強く叩く。

 すると床が抜けて大きな落とし穴が口を開いた。


 やっぱりと思った。

 離れていると分からないけどそれなりに距離を詰めると魔力の感知で目には見えない僅かな床の隙間が分かった。


 大きく開いた落とし穴。

 空でも飛べない限りは避けられもせず、飛び越えられもしない。


 これは罠だ。

 ジはハッとした。


 落とし穴がではなく、この通路やあるいはここに至るまでが罠であったのだ。

 セーフルームからもほど近いこの真っ直ぐな一本道。


 明らかに油断をしているが一瞬で倒すには少しだけ難易度もある3匹のゴブリンがいる。

 バレれば厄介なので真っ直ぐな道を素早く突き進んでいかなければならない。


 普通に歩いていくだけでも引っかかりそうだけどさらに巧みにゴブリンで吊り上げようとしている。


 もっと広く言えばダンジョンの作りから誘導もされている。

 曲がりくねったルートを進んでいるけれどここまでに至る道を見ると階段から反対側の方に進んでいる感じになっていた。


 だから自ずとそちらの方向に進むべきものだと勝手に思い込んでいた。

 この通路もその方向に伸びているので怪しい道なのに当たりの道だと進むことを前提にしてしまっていた。


「ここはハズレの道だな」


 無理に渡ることができないわけじゃないが無理に通らなきゃいけない道を用意しているとは思えない。

 改めて慎重さを取り戻しながら他の道を探すことにした。


 時折ウルフ人形みたいなのと戦いながら道を探す。

 そうしてさまよっていると落とし穴のあった長い一本道の向こう側に出てきた。


「回ってきたのか」


 遠くに見える落とし穴。

 結構ぐるっと遠回りしてきたことになる。


「そしてまだ続くのか……」


 そこからさらに進んだ先にあったのは階段であった。

 上ではなく、下に行く階段。


 下では何が待ち受けているのか分からないので階段前で少し休憩を取る。


「不思議なダンジョンですよね」


 リンデランが首を傾げる。

 アカデミーの教育の中には冒険者的なことも学ぶことが出来る授業もある。


 ダンジョンについての授業内容もあった。

 原理原則も分かっていない不思議な場所だがとにかく人に対する殺意の高いものであると習った。


 その分リターンもあるので挑む人は後を絶たない。

 どのダンジョンにしても命の危険がつきもので危ないものなのだけどこのダンジョンは命の危険を感じず、まるで成長でもさせてくれているようだ。


 その点に関してはジも同じ意見である。

 一度荷物持ちとしてダンジョンに同行させられたことがあるがダンジョンは口を開けた怪物のようで、中は常に空気が重たく死を願われているような感じがしていた。


 魔物は恐ろしく、見た目にも怖いものなのにこのダンジョンにいるのはデフォルメされた魔物の人形。

 なぜ話題に上らなかったのか疑問でならない。


 軽く休んだら階段を降り始める。

 先頭はジ、そしてユディット。


 今のところ罠に気づく可能性が1番高いのがジで、落とし穴などがあった時にユディットならジョーリオの糸で助かる可能性があるからだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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