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大人の事情とお願いと3

 要は自分の子供が通うアカデミーの威信を落とさず、自分の子供を巻き込まないようにしながら、どうにか解決しろと言うのだ。

 頭の痛い問題だが決まった以上やるしかない。


 そこでアカデミー側も王様側も知恵を絞って思い付いたのがジであった。


「何もあなたのことを死んで良いからと呼んだのではありません。


 その側面があることは否めませんが1番の理由はあなたの能力です」


 ウソをついてごましてもしょうがない。

 ジならば貴族ほどの批判が来ないことはあるのだと認めながらも、それが1番の理由ではない。


「私は噂に聞くあなたの判断能力が必要だと思ったのです」


「判断能力ですか?」


 戦闘能力はそんなにないことは分かっているがそっちを期待されているのでなくてちょっと残念。

 誰かの前ではぼろぼろになっている姿しか晒していない気がした。


「そう、ダンジョンで生き残るために必要なのは適切な判断ができること。


 進む時、休む時、戦う時、そして引く時の。


 今話してより深く確信しました。

 あなたにはその判断能力があると」


 戦う上で最も必要なことは強さである。

 しかし生き残るなら、それが特に助けもないダンジョンの中であるなら個人の強さだけではどうしようもない。


「優秀な子供たちはたくさんいますが若さがゆえに他者を引き連れるのに適切な経験や能力を持つ者がどうしても必要だと私は考えたのです。


 それがあなたです。


 大人の薄汚い事情が絡むことは否定できません。

 ですがあなたに命を捨てろと言いたいのではありません」


「……そうですか」


 子供たちにダンジョンに潜ってもらわねばならない。

 ただ優秀な子を集めただけではダメだ。


 生存率を上げるためには率いる者が1人はいなければならないとオロネアは考えていた。


 まあ褒められているのに違いはない。

 ちょっとした嬉しさもあってジは複雑な表情を浮かべる。


「どうか1つご検討いただけませんか?」


「そうですね、お話は分かりました。


 けれどまさか俺1人だけ入るなんてこと……ないですよね?」


 話を聞くとアカデミーの子供は入れられないということになる。

 そうなると率いる者も何もなく、ジ単独で入っていくことになってしまう。


 身軽といえば身軽だがリスクが大きく、ダンジョンを1人で攻略する人なんて聞いたことがない。

 もし1人でやれっていうなら全力で拒否させてもらう。


「もちろんそのようなこともないわ。


 1人で入りたいというならそれは……止めはするけど。


 タイミングが良いというべきかのか分かりませんが実は国の方で才覚ある若い子供を集めた部隊があるのです」


「ああ……」


「本来はそちらの方でなんとかするつもりだったのですが実戦経験が浅く、まだ上下関係というか指揮系統も定まっていないのです。


 その部隊から必要な人をジ様の方で選んでいただいて、ダンジョンに挑んでもらいたいのです」


 そういえばそんなものあったことを思い出した。

 ラやエが所属している良い魔獣を従えることになった子供たちを集めた王国の部隊があった。


 じゃあそれでいいじゃんと思うのだがそちらの方もそちらの方で色々と問題があるのである。

 戦いのやり方は分かっても指示のやり方はまた別問題なのだ。


 ダンジョン攻略にも希望が見えてきたと思う。

 子供部隊の現段階の実力は不明だけど以前の訓練の様子をそれほど悪くもなかった。


 ついでに魔獣も優秀な子ばかりなので下手な大人よりも強い可能性が高い。


「俺が好きに選んでもいいんですか?」


「ええ。


 ただ……反発はある程度あるかもしれませんが」


「まあ内部でもまとまってないのにいきなり外からきた奴に従えって言われても当然のことですよね」


「……事情をご理解いただけるようでありがとうございます。


 アカデミーの子供でも、本人と親が承諾するなら同行しても構いません。


 ほとんどの子はどちらか、あるいは両方が拒否するでしょうけど」


「分かりました」


 正直なところ、アカデミーの子にはあまり期待していない。

 学問を学ぶアカデミーの子と兵士となるべく訓練されている子供部隊とはどうしても違いが表れてしまう。


 できない子ばかりではなくても親という大きな壁もあるので初めから外して考えた方が楽だ。


「そのダンジョンに入れるかどうか確かめてみたいんですがいいですか?」


「……はい。


 ジ様ぐらいなら大丈夫だと思いますがお確かめになられたいならそのようにいたしましょう」


 子供だけが入れるダンジョンなのだけどジには懸念していることがあった。

 今は子供のジであるが中身は過去を生きてきたことがあるジジクサイところがまだ残っている。


 精神的に子供ではないジがダンジョンに入れるかどうか不安なのであった。

 もし入れなかったらそもそもが破綻してしまう。


 不思議そうな顔をするオロネアをよそにジたちはペズヘンに案内されてアカデミーの中を歩いていく。

 相変わらず好奇の視線に晒されるがユディットはともかくジはあまり気にしていない。


「こちらが例のダンジョンです」


 アカデミーの地下にある倉庫として使われている部屋の1つに連れて行かれた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 交流して好印象を持っている王も含めての結論ならば、ダンジョンの危険度を計る等のために一度は駒を進めるのが必須で、ジの投入はやむなしという感じでしたか。
[気になる点] 毎回だけど、今回は特に説明とか会話の流れに違和感が。 判断力の話が指揮力の話になって、指揮の話をしてるのに一人で行かされることを疑って。
[一言] こんな言い訳にもなってない言い訳であっさり納得するのかよ
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