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変えられた未来1

「おいっ!


 あれなんだよ!」 


「うちも掃除係の召使を雇ったんだよ」


「なら人間雇えよ!」


「疲れ知らず給料いらずだぞ」


「問題はそこじゃねー!」


 久々にラがジの家に帰ってきていた。

 出て行った時とは家は様変わりしていた。


 外観がボロっちいことに変わりはなくボロっちいままなのだけど中身は違っていた。

 だいぶ家の中は小綺麗になっていた。


 ところどころ補修されてだいぶまともな感じになっていた。


 そして迎えてくれたのも可愛らしい双子となっていた。

 タとケの双子がラを出迎えてくれていた。


 ちゃんとその後ろにはグルゼイがいて怪しい人だったらすぐに飛び出していける準備もしている。

 他に大人がいない時は双子はドア越しに用件を聞くようにちゃんとしている。


 ラがジの知り合いであることはグルゼイも知っているので中に入れてもらった。

 たまたまジは隣の家で作業中だったのでタが呼びに行った。


 ラの部屋は取って置いてあるのでラは自分の部屋に向かった。

 何かが置いてあるものでもないけど一応ジがラの部屋だと与えてくれたものだから見に行く。


 そこにそれがいた。


「なんで動くガイコツがここにいんだよ!


 しかも俺の部屋に!」


「ずいぶん使われていないのか埃が溜まっていましたのでお掃除しておりました」


「だ、そうだ」


「だー!


 なにその当然のような態度!」


 ラの部屋にいたのは逃げだした魔物っぽくない不思議なリッチのウダラックであった。

 あのまま教会に隠れていてはそのうちウダラックは見つかってしまう。


 ウダラックを隠すいいアイデアとは単純で家に匿ってしまえばいいと考えていたのであった。

 まさか人が住む家にリッチがいるなんて誰も考えない。


 なのでジは夜中にこっそりとウダラックを家に招き入れていた。

 最初こそタとケも怖がっていたけれど持ち前の明るさと綺麗好きで料理上手なウダラックはあっという間に2人に気に入られた。


 グルゼイも怒っていたけれどここはジの家だし、双子がウダラックを援護したものだから折れてしまった。

 ウダラックはリッチであるが性格の属性としては少なくとも悪ではない。


 そこらへんにめざとい双子が大丈夫だというならグルゼイも折れるしかなかったのだ。


 そんでもってウダラックは古くなった家の補修をしたり掃除をしたりして普段は過ごしていた。

 なんか教会から物を持ち込んで何かしていたりもするけれど危険が伴うことじゃなきゃそこにジは干渉はしない。


 これまでは両隣の家をやってもらって様子見していたけれどウダラックは細かいところまで丁寧で掃除の腕も補修の腕も上々だった。

 なのでジたちが住む家も任せたのだけどタイミング悪くラの部屋を掃除中だった。


 意外と家が大きいから掃除が大変でほんと掃除してくれるウダラックは大助かりだった。


 ラの悲鳴でジも慌てて帰ってきた。

 ケが止めなかったらラがそのままウダラックに切りかかっているところであった。


 ダメー!とラを止めるケと爆笑するウダラックは中々カオスな光景だった。


 ジが来てすぐさまラはジに詰め寄る。


 下手な冗談で返してみるがラは納得がいっていないようである。

 前にリッチに助けられたんだから受け入れられるかなと思ったがそうも行かなかったようだ。


 興奮していたラだがジが冷静でいると段々と落ち着いてくる。

 ウダラックからも敵意は感じないし興奮しているのはラ1人だけだしで、おかしいのは自分なのかと疑問すら湧き始める。


「まあアレは放っておいて大丈夫だから」


「私をアレ呼ばわりとはひどいですね!」


 とか言いながら笑うウダラック。


「掃除頼んだよ」


「お任せください」


「お、おい、へんなもの触んなよ!」


「エッチなものがあっても触りませんのでご安心ください」


「ねーよ!」


 若干ラは不安そうだけど掃除を監視してるわけにもいかない。

 ジは乾燥させたお手製茶を淹れてラの前に置く。


 過去ではフィオス以外には振る舞ったことのないお茶。

 この人生ではもう家にいるみんなにも振る舞った。


 甘いものが好きなグルゼイには不評だった。

 

 タとケは思いの外平気だった。

 双子は料理をするのでいろんな味に慣れていた。


 タよりもケの方がお茶を気に入ってくれたようだった。


 意外だったのはリアーネ。

 お茶なんて好まないと思ったら1番お茶を気に入ってくれたのはリアーネだった。


「にがぁい……」


 分かってたけどラはお茶を一口飲んで渋い顔をした。

 過去でも確か毎回持ってきてくれたのは甘いお菓子だった。


 ラも甘いもんが好きなのでこの苦みのあるお茶は苦手だろうなと思った。


「これが前に言ってたお茶さ」


「お……そうか、なかなか大人っぽい味だな」


「そうだろ?」


 言うてジもこのお茶は手持ち無沙汰で紅茶を買うお金もなかったから作って飲んでいたもので最初から好きだったのではない。

 飲んでいると段々と美味しくも感じてこられるのだ。


 フィオスも呼び出してフィオスにもお茶を淹れてやる。


 リアーネよりも誰よりも気に入ってくれているのはこのフィオスかもしれない。

 上手いもんでカップに覆いかぶさって中のお茶だけを少しずつ飲んでいるのだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり記憶あるんだな
[一言] 異端審問官に目をつけられてるヤツの家にアンデッド住み着いてるのアウトでは
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