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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十章

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あの子は何者1

「女性部門三位リアーネ様、子供部門優勝ユディット様、子供部門決勝トーナメント出場ジケ様、ご入場です」


「二人とも……そんな目をしないで」


 ジケはリアーネとユディットと王城を訪れていた。

 今日は武闘大会の受賞パーティーが行われる日だった。


 嫌がるリアーネもシェリランによってドレスアップしてもらい、ジケとユディットもしっかりした格好をしている。

 名前を呼ばれてホールに入ったのだけど、ジケよりも先に呼ばれたことにリアーネとユディットは引っかかった様子だった。


 武闘大会で上位入賞した二人の方が先に呼ばれることは当然だ。

 名前の順番などジケは気にしない。


「失礼致します。三位入賞、それにご優勝おめでとうございます。私はデドイアンと申すもので……」


「私はカドラス・ウェズドービアと……」


 大会の成績と名前を呼ばれたものだから、ユディットとリアーネはあっという間に囲まれてしまった。

 対してジケはあまり興味を持たれていない。


 運良く勝ち上がった貧民の子供だと見られているのかもしれない。

 サラッと棄権してしまったことも影響している可能性がある。


「まあ、目的通りにはなったな」


 ユディットとリアーネを取り囲む人からそっと離れる。

 目立たないようにと棄権したのだから目的に適っている。


 若干の寂しさはあるものの、取り囲まれるよりはいいかなと思う。


「ジーケー君!」


「おっ、リンデラン」


 ジケの腕に抱きついてきたのはリンデランだった。

 武闘大会の受賞パーティーではあるが、武闘大会で成績を残した人と貴族が直接会えるような交流の場でもある。


 要するにスカウトの場も兼ねているのだ。

 当然ながら高名な貴族も参加している。


 ヘギウスももちろん招待されているのだった。


「へへへっ、ご入賞おめでとうございます!」


 ジケの腕に自らの腕を絡ませて、リンデランは笑顔を浮かべる。


「ああ、ありがとう」


 半予選トーナメントを勝ち抜いて八人に残った時点で一応入賞という扱いである。

 だからパーティーにも呼ばれているわけだった。


「どうですか? うちの騎士になりませんか?」


 リンデランは少しイタズラっぽく目を細めて笑う。


「魅力的なお誘いだけど、俺には俺のやることがあるからな」


「そうですか。残念です」


 口では残念と言いながらも、さほど残念ではなさそうにニッコリしている。


「でもリンデランに困ったことがあったら騎士のようには駆けつけるぞ?」


「ふふ、期待してますね。騎士様」


 うっすらと頬を赤らめたリンデランは熱っぽい目でジケのことを見つめる。


「それで……あっちは何してるんだ?」


 知らない人が見たら関係を勘違いされてしまいそうだと思ったジケは、話題を変えることにした。

 ジケの視線の先にはウルシュナがいる。


 ヘギウスがいるならゼレンティガムもいる。

 別にセットというわけではないものの、貴族としての格が同じなので片方が呼ばれていればもう片方もいる可能性が高い。


 そしてそんなゼレンティガムのウルシュナはというと、抵抗していた。

 ウルシュナの後ろには母親のサーシャ。


 サーシャは笑顔を浮かべたままウルシュナの背中に手を伸ばしていて、ウルシュナは険しい顔をして全身に力を込めている。

 どうやらサーシャに背中を押されていて、ウルシュナはそれに抵抗しているらしいが、何をしているのかとジケは不思議そうにその様子を見ていた。


「この子も行けばいいのに行かないからよ」


「別に自分でいけるし!」


 リンデランのように積極的に行けばいいのに、久々にジケに会うものだからウルシュナは少し照れてしまった。

 放っておけばウルシュナも挨拶ぐらい行っただろうに、運悪くモジモジしているところをサーシャに見つかった。


 このままじゃリンデランに先を越されてしまう。

 だから物理的に背中を押していたのだった。


 なんかお母さんに背中を押されていくのは嫌だとウルシュナは全身で抵抗していたのだ。

 微笑ましい親子のじゃれあいである。


「ウルシュナも久しぶり」


 リンデランにしてもウルシュナにしても、忙しくてしばらく会えていなかった。

 観客席にいるのは見ていたので分かっていたが、元気そうで何よりだ。


「ん……久しぶり」


 抵抗を続けながらもウルシュナははにかんで手を振り返してくれる。

 実際はジケを狙っていたような貴族もいたのだけど、ヘギウスとゼレンティガムに囲まれていては声をかけられなくなっていた。


「ちゃんと……見てたよ。強かったじゃん」


 最後にトンと背中を押されて、ウルシュナも諦めたようにジケのそばにやってきた。

 離れて応援していた時にはない照れ臭さがあるようで、ウルシュナは視線を明後日の方に向けている。


「わっ!?」


「今も見てくれよ?」


 ジケはフィオスを呼び出すとウルシュナの視線の先には差し出した。

 急に視界が青くなってウルシュナは驚いてしまう。


「ジケ君、強くてカッコよかったです!」


 どうですか! と言わんばかりの顔をしてウルシュナがジケの顔を覗き込む。

 褒められ待ちの犬のような雰囲気がある。

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