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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十九章

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フィオス、信者を獲得する3

「そうでふね……もう……限界です…………」


 セクメルもすぐに同意する。

 もう喉元までポーションで埋め尽くされているような感覚だった。


 ちょっとでも触れれば口からポーションが溢れてしまいそう。


「準備するんでちょっと待っててくださいね」


 流石に家のど真ん中で頭からポーションを被せるわけにはいかない。

 こういう時にちょうどいいものがある。


 個人用の浴槽だ。

 体拭き事業は今のところオランゼが上手くコントロールしてやってくれて、盛況である。


 一般の人向けにはたっぷりお湯を使える体拭き事業を提供しているが、ジケたちは個人的に入れる浴槽を持っている。

 貧民街向けお風呂事業も継続しているので、そんなことをやっている特権みたいなものである。


「歩くたびに……チャポチャポ音がする……」


 口から溢れないようにセクメルを慎重に浴槽まで移動させた。


「これを被せればいいのか?」


「ああ、頼むよ」


 浴槽の真ん中に立ってもらって、横でリアーネがポーションの入った聖杯を持って待機する。


「それじゃあ行きますよ」


「はい、お願いします!」


「よっこいしょっと!」


 リアーネが聖杯をひっくり返して、セクメルに頭からポーションをかける。


「どうだ……? おっ?」


 フィオスポーションを被せられたセクメルの体が淡く光り出す。


「うっ……くぅ……!」


 セクメルは全身に熱を持ったように感じて、うめくような声を出して耐える。

 何かの変化が起きている。


 しかし淡く光っているためにジケたちにはよく見えない。


「どうなってんだ……?」


「きっとこれは……上手くいってるんだよ」


 全身の変化に耐えきれず、セクメルは膝をつく。

 うつ伏せに丸くなって、体からメキメキと音がしている。


「本当に大丈夫……?」


 人体からあまり聞かない音にエニは不安そうな顔をしている。

 ジケも正直かなり不安な音だと思ったが、今できるのは見守ることだけである。


「はぁ……はぁ……」


 セクメルの体の光が収まった。

 ただ浴槽の中にいるので今どんな感じになっているのかジケたちからは見えていない。


 呪いが解けて若返ったのかどうか、ジケたちは固唾を飲んで見守る。


「どう……ですか?」


 ジケがそっと声をかける。


「……ぐすっ」


 返事はなく、涙をすするような音が聞こえてきた。


「どうですか? 私……二十代に見えますか?」


 セクメルが顔を上げて、ジケたちの方を向いた。


「……ええ、見えますよ」


「はぁ……本当だったんだな」


「本当の顔、そんな感じなんですね」


 セクメルの顔は若返っていた。

 絶世の美人というわけではないが、顔立ちは整っていて優しそうな顔をした普通の女性であった。


 真っ白だった髪も本来の濃い青色が戻っている。

 顔だけではなく、手や足など全身がしっかりと元の年齢になっている。


 肉付きも戻っていて、声もしわがれた老婆のものとは大きく異なっていた。


「ありがとうございます……ありがとう、ございます」


 セクメルは涙を流す。

 死にたくないとは言いながらも、老いて朽ちていくことを覚悟していた。


 せめて死ぬなら老婆ではなく、自分の本来の姿で死にたいと思っていたぐらいである。

 またこうして本来の年齢に戻れて、胸に抱えていた不安や恐怖が弾けるように涙が止まらない。


「ジケ様……そしてフィオス様、ありがとうございます!」


 浴槽から出てきたセクメルは床に両膝をついて頭を下げた。


「もはや私には身一つしかありません。ですがこのご恩……絶対にお返しいたします! フィオス様に忠誠を捧げます。一生かけても、少しずつでもご恩お返しいたします」


「あっ、フィオスなのね」


 ジケにも感謝をしているが、セクメルは呪いを解いてくれたフィオスの方により大きな感謝を抱いていた。


「フィオス様は神のスライムでございます! フィオス様こそ慈愛に満ちた神が遣わした天女の如き存在にございます」


「……なんか思ってたのとリアクション違うね」


「そだな。感謝ってか……崇拝?」


 セクメルはキラキラとした目をして、ジケに抱かれるフィオスのことを見ている。


「もちろん! フィオス様とご契約なされているジケ様に忠誠を誓うということでもございます!」


「うーん……別にそんな忠誠とかいらないんだけど……あっ! フィオスは喜んでるから……いいのかな?」


「認めていただけるのですね! ありがとうございます!」


 かなり急な崇拝者にジケは困惑してしまうが、フィオスはぴょんとセクメルの頭に飛び乗った。

 これも呪いが解けて、重圧から解放された一時的なテンションだろうと思うことにした。


「なんでもお申し付けください! フィオス様のためならなんでもいたしますので!」


 ただフィオスは手放しで神のスライムと褒めてもらえるのが嬉しいようだ。


「うん……まあ、いいか」


 フィオスがいいならそれでいい。

 少なくともフィオスに感謝しているならジケたちの害になることもない。


「よかったな、フィオス」


「……本当にいいの?」


「問題が起きたらそん時はそん時だよ」

 

 フィオスは初めての信者を獲得した!

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フィオスが国宝級になってしまった。バレたらヤバい
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