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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十九章

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全ての始まり5

「その子の力は何ですか?」


 神の力を宿しているのだとしたら簡単なものではないだろうとジケは思った。

 異形の魔物がどんな力を持つのか気になった。


「この子は時を操ります」


「時を操る……だって?」


「このように」


「えっ!?」


「今……あれ?」


 ジケの目の前にいたセクメルが消えた。

 そして次の瞬間にはジケの後ろに立っていた。


 全くもっていつ移動したのかも分からず、ジケもエニも困惑する。

 セクメルが速く動けるはずもない。


 なのに座った状態から後ろに回り込むまでの過程をすっ飛ばしたかのように、セクメルはジケの後ろに現れた。


「ほんの少しだけ時を止めました」


 それこそ時間でも止めなきゃ今の瞬間移動は説明できないとジケは思っていた。


「そんなのって……あり?」


 あまりにも力として強大で、常識はずれだ。


「これは……ビックリだな」


 目の前で力を見せてもらったが、時を止めるなんて突拍子もなさすぎてジケもすぐには受け入れられなかった。


「あぁ……」


「大丈夫ですか?」


 セクメルはスープの入っていた木のカップを落としてふらつく。


「ふぅ……ありがとね。すごい力だろう? しかもこれだけじゃないんだ。時は動いている。クロイーネの力を持ってすれば時間を戻すことも、進めることもできる」


「ええええっ!?」


「時間を…………戻す?」


 エニは何だそれとずっと驚きっぱなしであるが、ジケは一人内心で大きな衝撃を受けていた。

 ジケが視線を向けた先には大きめな器に入ったスープを食べているフィオスがいた。


 時間を戻す。

 そのことに対して、身に覚えがあった。


 ジケは一度人生を経験している。

 最後はおそらく死んだのだろうと自分でも思っていた。


 だが、何が原因なのか一切分かっていなかった。

 セクメルとクロイーネが何かの関わりがあるのかもしれない。


 そう思わずにはいられないのである。


「一つ聞いても?」


「何でも聞いてくれ」


「時は……どれだけでも戻せるんですか? 世界中の時を?」


「……理論上は可能だよ」


 セクメルはジケの質問に目を細め、少し考えた後に答えた。

 エニは変な質問なと思いながらも口を挟まない。


「ただ実際には不可能……なぜなら代償があるからね」


「代償とは?」


「これさ」


 セクメルは震える両手をジケに見せつけるように持ち上げた。

 触れれば折れてしまいそうな、小枝のようなしわがれた指をしている。


「最初にも言ったが、私は本来二十代……二十五なのさ。それがこうなってしまった。理由は時を操る力を使った代償のせいだ」


「まさか……」


「この力は強力だが……使用するたびに私の体から時間が奪われていく」


 セクメルの目から一筋の涙が流れた。


「私はそれを知らずに力を使いすぎた。気づいた時にはもう若さはなかった。そしてこの状態をどうにかしようと足掻くほどに、私の時間はドンドンと減っていく……それに時間を戻すのには膨大な魔力も必要だ。少し戻すだけでも大きな代償と魔力が持っていかれるだろうね」


 時を止める。

 すごく強くて便利な能力だ。


 セクメルは代償があるとは知らずに、時を止める能力を使って贅沢に生きていた。

 だが気づいた時にはもう遅かった。


 ふと自分の顔を見た時、二十代前半だというのに四十代五十代のように老け込んでしまっていたのである。

 時を戻そうと試みたこともある。


 戻すことはできたのだが、セクメルの魔力で戻せた時はわずかで、その代償の方が重たくのしかかることになってしまった。


「仮に……老いもせず長い寿命を持ち、莫大な魔力を持つ存在がいるなら自由に時を戻せるかもしれません」


「置いもせず長い寿命を持ち、莫大な魔力を持つ、か……」


 ジケは再びフィオスを見る。

 スライムの寿命を考えたことはない。


 老人になるまで生きたが、フィオスに老けたとか感じたことは一度もなかった。

 きっと自分が死んだ後もフィオスは生きていくのだろうとは感じていた。


「ただ……魔力は違うか?」


 フィオスが時を戻したのかもしれない。

 ジケは心の中でうっすらと考えていた。


 どうやって、というところはひとまず置いといて、なんだかフィオスならありうるのかもしれないと思ったのだ。

 フィオスならば代償として老けたところでなんの影響もない可能性がある。


 セクメルが口にする代償なんてフィオスにはないに等しい。

 けれどもフィオスにそんなことをする魔力があるのだろうかとジケは思った。


 それにやっぱりどうしてフィオスが時を戻せるだろうか。


「ただ私は死にたくない……だからどうにかする方法を調べました」


 ジケがフィオスと回帰の関係について考えている間にもセクメルの話は続いていた。


「そしてこの状態を解消する方法を見つけたのです」


「その、方法とは?」


「この老化はただ時間を奪われるだけのものではなく、一つの呪いなのです」


「一つの呪い……って?」


 エニは首を傾げる。


「呪いという表現が正しいのかは分かりませんが、神の力による代償は使用者を蝕む呪いのような性質を持っているのです。つまり……解呪することができるのです」


 セクメルがわずかな希望を込めた目でフィオスを見た。

先日は、ご心配、体調を労わるコメントくださいましてありがとうございます。

ひとまず絶不調の状態は抜け出して回復しつつありますので、少しずつ小説また書いていこうと思います。


のんびりと書きますので、のんびりお付き合いください。


インフルエンザつらいね!

皆さんもご体調お気を付けてお過ごしください!

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― 新着の感想 ―
なるほど・・・ しわしわ婆さんがどうやって聖杯(のレプリカ)を盗んだのかと思ってましたが 時を止めれば余裕ですねぇ
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