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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十九章

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大泥棒復活?

「第五代目パルンサン……」


 市政の噂というものにも耳を傾けておく必要はある。

 もはやジケの記憶する人生とは大きく変わってしまっているが、大きな出来事についてはまだまだ起こる可能性があった。


 油断せずに、情報収集して状況に変化がないかを見極めるのは非常に大切なのだ。

 ただ特定の事柄ならともかく、何の目的もなく情報を集めるのも難しい。


 とりあえず仲間たちに近況でもうかがいながら変わった話はないか、なんて聞いて回る程度のものだ。


「最近時々聞くんですよ」


「パルンサンって有名な泥棒だろ? しかも五代目って……」


 フィオス商会の方に顔を出して、色々とメリッサに話を聞いてみた。

 ジケがいない間も商会の方は順調に稼働していたようで、何の問題もない。


 メリッサはお客に接することも多く、相手からポロッと噂話を聞いたりする。

 何か話はないかと聞いてみたらパルンサンという言葉が出てきた。


「私も詳しくは知らないんですけどね。どうにも最近色々な貴族のところに泥棒が入るらしいんです。お金なんかも盗まれて……孤児院とかに置いとかれるそうです」


「ふーん……また変な話だな」


「五代目って適当でしょうけどね」


「初代から数えたら……それぐらいってことなのかな?」


 最近噂になっている泥棒がいるらしい。

 色々な貴族のところから物を盗み出しているらしく、全く証拠も残さない鮮やかな手口から同一人物であると見られている。


 それをかつていた大泥棒になぞらえて呼び始めたのだ。

 パルンサンと関わりがあるかどうかは本人しか分からないが、多分周りが勝手に言っているだけで関わりなどないのだろうなとジケは思った。


 ついでに盗んだ物は適当に捨ててあったり、お金を貧しいところに渡していたりと不思議な行動もまた噂になる原因らしい。


「泥棒ねぇ……一応警戒しておくか」


 多少ジケも色々持っている。

 盗まれて困るようなものはヘギウス商会に預けてあるものの、盗まれてもいいものなんてない。


 お金も多くはヘギウス商会に預ける形にしてあるので、現金としてジケの手元にあるのは多くない。

 それでも警戒しておくに越したことはないだろう。


「最近は武闘大会のせいか、とりあえず話を聞いてみるなんて人も多いですね。そこから購入まで至る人もいるのですが……」


 武闘大会で人が増えたせいで、買わないけれどフィオス商会の商品の話を聞きに来るような人も増えた。

 メリッサもなかなか大変らしく、ため息混じりの報告なっていた。


 ーーーーー


「いや、俺じゃないって!」


 パルンサンと言われて、一人思い当たる人がいる。

 以前ちょっと泥棒に手を染めていて、しかも相手にバレないように盗み出す技術がある。


「そんなことしてたら殺されちゃうって!」


 ソコイは慌てたように首を振る。

 ジケは全く相手にバレないような手口で物を盗み出すといえば、ソコイのことを思い出したのである。


 あり得ないだろうなとは思いつつ、たまたまソコイが家に来たので聞いてみた。

 シェルハタが家にいるので、ソコイはちょいちょい様子見という名目で会いに来る。


 前は隠れていたからあまり頻繁に会えなかったが、今は堂々と会うことができる。

 シェルハタもソコイが来ると嬉しそうにしていた。


 ジケが五代目パルンサンお前じゃないよなと聞くと、ソコイはすぐに否定した。

 反応を見るにパルンサンの話は知らないわけじゃなさそうだ。


「パルンサンと呼ばれてる人の分かってるのか?」


「ううん、分かってない。噂になってるからこっちでも調べてるし、物盗まれた貴族でもうちに犯人探してほしいなんて言ってきてる人がいるけど……まだ何も分かってないんだ」


 ソコイは肩をすくめる。

 一般的な噂になるほどなのだから、五代目パルンサンについて情報屋が知らないはずはない。


 しかし情報屋でも一般的な噂レベルのことしか把握していない。

 調べてはいるが、全く正体すら分からないのである。


「ただ狙われてるのは魔道具らしいけどね」


「魔道具?」


「高価な絵とか、宝石とかそんなものは盗まないで魔道具を盗んでる……っていうのが今のところの共通点かな」


 どんな物を盗まれたのかということから調べて、魔道具を狙っている可能性が高いというところは突き止めた。

 だけどそれだけで犯人を特定することはできない。


「何がしたいんだろうな?」


「さあ……分かんない。実際盗むのは俺よりも上手そうだ」


 ソコイにも分からない以上は、ジケにも分からない。

 五代目パルンサンなんて言葉は過去でも聞いたことがない。


 魔道具なんてないし、狙われる可能性も少ないかなと思いながらジケは他のことを考え始めたのだった。

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