表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1247/1285

異端がいたんです1

「お手紙、拝見いたしました。今異端審問官も読んでおりますので少々お待ちください」


「……帰ってもいいですか?」


「苦手なのは分かりますが、もう少しお付き合いください」


 札を提出したジケとリアーネは大神殿を訪れていた。

 目的は悪魔の笛を預けに来たのである。


 ライナスはジケとリアーネに肉を奢った後、荷物なんかを置きに兵舎の方に戻っていったので今はいない。

 ビクシムが書いてくれた、何が起きたのかの手紙をアルファサスに渡した。


 サラサラと内容を読んだアルファサスは、すぐに動いてくれた。

 布でぐるぐる巻きにされた笛を受け取り、安全のために頑丈な箱に投げ入れてしまった。


 ただそれだけで終わりではなく、ジケたちに影響はないかとか笛が安全なものかなど調べることは多い。

 そのために悪魔の専門家でもある異端審問官が来ることになったのだけど、ジケはあまり異端審問官に良いイメージがない。


 良い人たちがいるということはもう分かっているのだけど、対して印象の良くない頭の固い人たちがいることもまた確かなのである。

 来るなら良い人たちの方がくればいいなとジケは思う。


「それにしても帰ってきてくれてよかったです」


「俺がですか? なんでまた……」


 アルファサスに心配するなとは言わないが、心配するような関係でもない。

 というか、いなかったことすら知らないだろうとジケは思った。


「エディユニさんですよ」


 その呼び方はまだジケも慣れない。

 エディユニとはエニのことである。


 オロネアの養子となって新しく与えられた名前がエディユニなのだ。

 ただエニはみんなにエニと呼んでくれと言っていた。


 慣れ親しんだ名前であるし、なんだかまだエディユニと呼ばれるとむずむずするのだ。

 エディユニならエニと略してもおかしくはない。


 あまりエニの正式な名前を知っている人は多くないのだけど、エニの直属の上司であり大神殿の重役でもあるアルファサスには知らされていた。

 アルファサスも人前ではエニと呼ぶが、知っている人の前、つまりジケの前ではちゃんと正式な名前で呼んだりするのだった。


「ここ数日、なんとなく集中力がなく、ソワソワしているなと思っていたのです」


 基本的にエニの情緒は安定している。

 アルファサスとしてはそんなところも好ましく思っているのだが、時としてエニもイライラしたり落ち着かなかったりすることがある。


 部下の機嫌をいち早く察しても、アルファサスは何も言わない。

 エニがアルファサスに当たることはないが、いつもより気を使って言葉を選び仕事を割り振る。


 後に機嫌が良さそうな時にさりげなく聞いたりする。

 そうしたことを繰り返して、何回か聞いてみればパターンが見える。


 エニの機嫌が悪い時は大体ジケが原因だったりするのだ。


「今時期のことを考えると武闘大会ですかね? 予選会のためにどこかにいっていて、帰ってきた……そんなところでしょう」


 アルファサスはズバリ言い当てた。

 エニの機嫌がいい時も大体ジケが理由だったりする。


 基本的に大神殿で過ごしているアルファサスだが、市政の噂に疎いというわけでもない。

 武闘大会が開催されていることも知っている。


 武闘大会について聞いた話とエニの態度を合わせると答えが出るのである。


「さすがですね」


「人と接する仕事ですからね。今は書類ばかり相手ですが」


 アルファサスは穏やかに笑う。

 叩き上げでここまでの位置に上り詰めたアルファサスの人を見る目は鋭い。


 偉ぶることなくいまだに直接治療や人の悩みも聞いたりするし、これまでに培ってきた経験は決してまやかしではないのだった。


「アルファサス神官長……お客様です」


 ドアがノックされた。

 エニがドアを開いて顔を覗かせる。


 一瞬だけジケがいる、という顔をした。

 何してるのか聞きたい気持ちはあるけれど、今は仕事中なので一応公私は分ける。


「こちらに案内していただけますか?」


「分かりました」


 ジケが大神殿に寄付していることも知っているので、そうした関連の話かもしれないと疑いの目を向けつつも、仕事のためにさっさと行ってしまった。


「来たようですね」


「誰が来たかな……」


「失礼します。異端審問官のウィリア……あれ?」


「あっ、良い人きた」


「むっ? おお、久しぶりだな!」


 部屋に入ってきたのは男女二人の異端審問官であった。

 黒い鎧を身にまとった異質な出立ちの二人のことをジケは知っていた。


 ウィリアとバルダーである。

 二人は、かつて港湾都市のボージェナルで起きた悪魔騒動の時に共闘した異端審問官だ。


 頭が硬くて、なかなか話も聞かない人も多い中で、普通の人に近い感覚で付き合える人といっていい。

 ジケとしても一番ありがたい異端審問官であった。


「悪魔関連と聞いてきましたが……まさかまたジケ君だったとは意外ですね」


「悪魔に好かれるタチなのかもしれないな」


「悪魔に好かれても嬉しくないですよ」


 他の人なら高圧的に話が始まったのかもしれないけれど、ウィリアとバルダー相手なら打ち解けて話を進められる。


「まあ話を聞かせてもらおうか」


 バルダーは椅子に座る。

 体格も大きいのに、大きな鎧を身につけているので椅子も窮屈そうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ